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用語集

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Ra(平均演色評価数)
[よみがな] あーるえい
[英訳] average color rendering index
平均演色評価数。照明で物体を照らすときに、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているかを示す指標。 Ra100は、自然光が当たったときと同様の色を再現していることを意味する。

ITO
[よみがな] あいてぃーおー
[英訳] ITO(Indium-Tin-Oxide)
ITOとは、酸化インジウムにスズを添加した化合物のことで、導電性を持ちながら高い透明度を有し、その光透過率は約90%に上る。このため、電子で表示を制御する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの電極として理想的であるとされている。

ITO電極
[よみがな] あいてぃーおーでんきょく
[英訳] ITO electrode
ITOとは、酸化インジウムにスズを添加した化合物のことで、ITO電極とはこの化合物を電極として用いたものである。一般に透明性と導電性両方に優れる特長がある。

アクティブマトリクス駆動
[よみがな] あくてぃぶまとりくすくどう
[英訳] active matrix driving
アクティブマトリックス方式とは、液晶や有機ELディスプレイなどの駆動方式の1つで、ディスプレイ上の各画素にアクティブ素子(スイッチング素子)を配置することで、選択した画素ごとに信号のオン、オフ制御を可能にする方式で、アクティブ素子にはTFT(薄膜トランジスタ)などが用いられる。

アセン系化合物
[よみがな] あせんけいかごうぶつ
[英訳] acene compounds
アセン (acene) またはポリアセン (polyacene) とは、有機化合物のうち、複数のベンゼン環が直線状に縮合した構造を持つ炭化水素の総称。有機半導体、蛍光色素などの性質が研究される化合物群である。

アモルファス
[よみがな] あもるふぁす
[英訳] amorphous
アモルファス (amorphous)、あるいは 非晶質(ひしょうしつ)とは、結晶のような長距離秩序はないが、短距離秩序はある物質の状態。これは熱力学的には、非平衡な準安定状態である。amorphous は、morphous(形を持つ)に「非」の意味の接頭辞 a‐ が付いた語源である。アモルファスの特徴として、均質で等方性であることが挙げられる。結晶状態とアモルファス状態では、同じ物質でも物性が大幅に変わることがある。

アモルファス高分子
[よみがな] あもるふぁすこうぶんし
[英訳] amorphous polymer
特定の構造を取らない、ランダムな鎖状態の高分子。 非晶性高分子とも呼ばれ、液体状態あるいはガラス状態を取る。

アンダーソンの法則
[よみがな] あんだーそんのほうそく
[英訳] Anderson's rule
アンダーソンの法則は、2つの半導体材料をヘテロ構造にした場合にそれぞれのバンド構造がどのように接続されるか計算するためのモデルで、1960年にR.L. Andersonにより発表された。このモデルでは、ヘテロ構造を構成する2つの半導体の真空レベルが同一のエネルギーになると仮定している。

暗電流
[よみがな] あんでんりゅう
[英訳] dark current
光電効果を示す半導体などの電気素子に電圧を加えた時に、熱的原因、絶縁不良、結晶欠陥などによって光を当てない時でも流れる電流のこと。光を当てた時は IL+I0 の電流が流れるが、このうち I0 が暗電流で、IL は光を当てることによって生じた電流の増分で光電流という。光電素子においては、暗電流が光検出感度の下限を決める大きな要因である。

アンビポーラ型有機発光トランジスタ
[よみがな] あんびぽーらがたゆうきはっこうとらんじすた
[英訳] ambipolar organic light emitting transistor
有機発光トランジスタは有機半導体の発光特性と電荷輸送特性を融合した新しいデバイスである。p型トランジスタ駆動の電圧条件を考えた場合、ソース電極から有機半導体層中に正孔が注入・輸送され、有機半導体層/絶縁膜界面に蓄積される。一方、有機半導体が両極性であれば、ドレイン電極からは電子が有機半導体層中に注入され、有機半導体層/ 絶縁膜界面を伝導することになる。その結果、単一の有機半導体層中に両キャリアが蓄積し、理想的には擬似的なpn接合界面がトランジスタチャネル中のピンチオフ点近傍に形成される。チャネルとして用いる有機半導体材料が発光性能もあわせ持つ場合、この擬似的なpn接合界面においてキャリア再結合に基づくエレクトロルミネッセンスが観測される。

アンビポーラトランジスタ
[よみがな] あんびぽーらとらんじすた
[英訳] ambipolar transistor
薄膜トランジスタは、印加されたゲート電圧によって蓄積層を形成してコンダクタンスを制御する。これは通常の MOSFET が反転層を形成してコンダクタンスを制御するのとは大きく異なる。すなわちn型のキャリアは電子、p型のキャリアはホールであることも特徴であり、同時にソース電極およびドレイン電極付近でpn接合を形成しない為、チャネル層の物質如何によってはpおよびn型両方の特徴を兼ね備えるアンバイポーラとして機能する。

イオン化エネルギー
[よみがな] いおんかえねるぎー
[英訳] ionization energy
イオン化エネルギーとは、原子、イオンなどから電子を取り去ってイオン化するために要するエネルギーのことを指す。ある原子あるいは分子がその電子をどれだけ強く結び付けているのかの目安である。有機半導体では基底状態のHOMOの電子を真空順位に取り出すのに要するエネルギーがイオン化エネルギーに相当する。

イオン伝導
[よみがな] いおんでんどう
[英訳] ionic conduction
イオン結晶、電解質溶液、溶融塩などにおいては、イオンの運動によって電流が流れる。こうしたイオン伝導では、電流に伴って物質の移動が生じ、電極における化学変化がおきる。イオン結晶の格子間原子や空格子点の拡散による電気伝導度は、欠陥濃度をn、拡散係数をD、ボルツマン定数をkB、絶対温度をTとしてσ=ne2D/kBTで与えられ、欠陥濃度nと拡散係数Dの積に比例する。

一重項励起状態/励起一重項状態
[よみがな] いちじゅうこうれいきじょうたい
[英訳] singlet excited state
一重項基底状態にある分子中の電子が光吸収などによってより高いエネルギー状態へ励起したとき、励起一重項状態または励起三重項状態となる。一重項状態は、すべての電子スピンが対になった分子状態である。一重項状態では、励起電子のスピンは基底状態電子のスピンと対(逆向き)となる。三重項状態では励起電子は基底状態の電子と対ではなくなり、平行スピン(同じ向きのスピン)となる。三重項状態への励起は、禁制遷移であるスピンの反転を含むため、分子が光吸収によって直接的に三重項状態を作る確率は低い。一方、一重項励起状態から系間交差により三重項励起状態に遷移しやすい化合物が知られている。

一重項励起子
[よみがな] いちじゅうこうれいきし
[英訳] singlet exciton
一重項励起状態にある分子のことを一重項励起子と呼ぶ。有機ELの内部において、電子とホールの再結合で分子が励起状態になる場合に、1:3の割合で一重項励起子と三重項励起子が生じる。一重項励起子と三重項励起子の違いは励起準位にある電子のスピンの向きが基底状態と違うか同じかということに起因している。再結合により分子が励起状態になったとき、励起準位にあるスピンの向きが打ち消し合っていれば、励起一重項状態である。スピンの向きが同じであれば、励起三重項状態である。

一重項励起子生成効率
[よみがな] いちじゅうこうれいきしせいせいこうりつ
[英訳] singlet exciton production efficiency
有機分子の励起状態には、一重項励起状態(S1)と三重項励起状態(T1)の二つのスピン多重度の異なる状態が存在する。通常の蛍光型素子において、生成された励起子のうちEL 発光として利用されうる一重項励起子の生成割合を、一重項励起子生成効率と定義している。電子と正孔の再結合による励起子生成過程では、スピン統計則に従って、一重項励起子が 25%の確率で、三重項励起子が 75%の確率で生成すると考えられている。

異方性(移動度の異方性)
[よみがな] いほうせい(いどうどのいほうせい)
[英訳] anisotropy
異方性は物体の物理的性質が方向によって異なること。移動度異方性はキャリアの移動する方向によって移動度が異なること。

異方的、異方性
[よみがな] いほうてき、いほうせい
[英訳] anisotropic
ある対象の性質や分布が方向に依存しないときそれは等方的であるという。また、方向に依存するとき異方的であるという。水やガラスは光学的性質に関して向きによらないので等方的であるが、液晶や結晶は向きによって異なる偏光応答をするので異方的である。等方的な性質、異方的な性質をそれぞれ等方性、異方性と呼ぶ。

色温度
[よみがな] いろおんど
[英訳] color temperature
色温度とは、ある光源が発している光の色を定量的な数値で表現する尺度である。単位には熱力学的温度の K(ケルビン)を用いる。色温度は、表現しようとする光の色をある温度(高熱)の黒体から放射される光の色と対応させ、その時の黒体の温度をもって色温度とする。青い(短波長光)ほど高エネルギーであり、したがって色温度は高い。逆に、赤い(長波長光)ほど低エネルギーであり、色温度は低い。朝日や夕日の色温度はおおむね 2000 K であり、普通の太陽光線は 5000 - 6000 K である。

色再現性
[よみがな] いろさいげんせい
[英訳] color reproducibility
ディスプレイがどの程度現実の色を再現しているかを表す指標である。色再現性は、色度座標において、ディスプレイの3源色である赤(R)、緑(G)、青(B)の3点が形成する三角形の大きさで評価され、三角形の面積が大きいほど、色再現性は良い。例えば、NTSC(National Television Standards Committee)規格では、R(0.67, 0.33)、G(0.21, 0.71)、B(0.14, 0.08)であり、白色はW(0.310, 0.316)と定義されており、NTSC比で100%や90%、110%などと表現される。

陰極
[よみがな] いんきょく
[英訳] cathode
陰極(カソード)は外部回路へ電流が流れ出す電極のこと。外部回路から電子が流れ込む電極とも言える。電気分解や電池においては、カソードは電気化学的に還元が起こる電極である。

エアマス(AM)
[よみがな] えあます
[英訳] Air Mass (AM)
エアマス(AM)は太陽光スペクトルを扱う時の、大気の条件を表わすもので、AMの後の数字が太陽光が地表に到達するまでに通過する大気の量(エアマス)を表す。AM0は大気を通過しない、つまり大気圏外での太陽光スペクトルを示す。AM1は地表に垂直に入射した場合の太陽光スペクトルで、大気は地球表面をほぼ一定の厚さで覆っているため、太陽光は最短距離で地表に到達し、通過する大気の量がもっとも少なくなる。いつもAM1のような状態であるのは赤道直下のような場所だけ、日本のような緯度が高い場所では太陽光が通過する大気の量はこれより多くなり、通常は1.5倍のAM1.5を標準的な地表の太陽光スペクトルとして使っている。

エキサイプレックス(エキシプレックス)
[よみがな] えきさいぷれっくす
[英訳] exciplex
励起錯体ともいう。分子Aが電子的に励起されて A*になり、近傍にあるほかの分子Bと錯体を形成するとき、この錯体をエキシプレックスという。

エキサイプレックス(エキシプレックス)発光
[よみがな] えきさいぷれっくすはっこう
[英訳] exciplex emission
エキサイプレックス励起状態が基底状態へと遷移する際に発する光をエキサイプレックス発光と呼ぶ。

エキサイマー(エキシマー)
[よみがな] えきさいまー
[英訳] excimer
分子Aが電子的に励起されてA*になり、近傍にある同種の分子Aと二量体を形成するとき、エキシマーあるいは励起二量体という。

液晶
[よみがな] えきしょう
[英訳] liquid crystal
液晶は、液体と結晶の間に出現する中間相の一種である。細長い分子や円盤状の分子が、分子の方向はある規則に従って並んでいるが、重心位置には結晶のような3次元秩序を持たない状態の総称である。

液晶高分子
[よみがな] えきしょうこうぶんし
[英訳] liquid crystal polymer
液晶高分子は液晶相を形成しうる高分子である。高分子液晶、液晶性高分子などとも呼ばれる。

液晶性有機半導体
[よみがな] えきしょうせいゆうきはんどうたい
[英訳] liquid crystalline organic semiconductors
ある温度領域で液晶相を示す有機半導体物質が液晶性有機半導体である。液晶性有機半導体は、液晶相を発現する温度領域では、分子が自己組織的に配向した液晶相と呼ばれる結晶よりもやわらかい分子凝集相を形成する。液晶性半導体では分子間を電荷がホップして移動する(電子的伝導)ことにより高速の電荷移動が起こり、シリコン半導体とは電荷移動のプロセスが異なる。液晶性半導体は、液晶特有の自発的配向性によって比較的容易に液晶分子の方位を制御でき、また、化学構造的特徴から多様な有機溶媒に高い溶解性を示すなどの特長をもつ。

ST吸収
[よみがな] えすてぃきゅうしゅう
[英訳] ST absorption
基底状態から最低励起三重項状態への光学的遷移のこと。禁制遷移のため、一般に吸収確率は小さい。

ST分裂
[よみがな] えすてぃぶんれつ
[英訳] ST split
ある物質を電子的に励起した際の最低励起状態において、そのエネルギー準位が励起一重項状態(電子対のスピン向きが逆)と励起三重項状態(電子対のスピンの向き同じ)に分かれること。そのエネルギー差(ΔEst)は、一重項励起状態のエネルギーから三重項励起子のエネルギーを差し引いたものである。有機半導体では、励起子の結合エネルギーが大きく、ΔEstは一般に大きい。有機分子のST分裂は、遷移した電子と残された電子の交換訴力に由来するので、HOMOとLUMOの軌道の重なりが大きいほど大きくなる。

n型半導体
[よみがな] えぬがたはんどうたい
[英訳] n-type semiconductor
n型半導体とは、電子が多数キャリアとして電荷を運ぶ半導体である。負の電荷を持つ自由電子がキャリアとして移動することで電流が生じる。 例えば、シリコンなど4価元素の真性半導体に、微量の5価元素(リン、ヒ素など)を不純物として添加することでつくられる。5価の元素の添加により生じる余剰電子は、伝導帯のすぐ下にあるドナー準位に収容される。このドナー準位と伝導体のバンドギャップは小さいため、ドナー準位の電子は熱や光エネルギーを受けて伝導帯に励起され、自由電子となって電気伝導性を与える。n型半導体をつくる為の不純物をドナーといい、この不純物より形成された準位をドナー準位という。負( negative)の電荷を持つ自由電子が多数キャリアであることから、英語の頭文字をとってn型半導体と呼ばれる。有機半導体におけるn型半導体は、一般に電子アクセプター性のπ電子系有機化合物のことを指し、LUMOが真空準位に対して深いエネルギー準位に位置し、電子を他の分子から受け取りやすい性質を特徴とする。n型有機半導体は、電子を与えた後にラジカルアニオン(負の荷電体)となり、これが有機半導体の電子として機能する。

nチャネルトランジスタ
[よみがな] えぬちゃねるとらんじすた
[英訳] n-channel transistor
電界効果トランジスタのドレイン・ソース間の電流が流れる領域をチャネルという。n型チャネルでは負電荷を帯びた電子がキャリアとなる。これに対し、p型チャネルではホール(正孔)がキャリアとなる。

NTSC比
[よみがな] えぬてぃーえすしーひ
[英訳] NTSC ratio
色再現性を表現する方法で、NTSC色座標の三角形の面積と比較する方法。例えば、「色再現範囲はNTSC比70%」のように表現する。

MIS構造キャパシタ
[よみがな] えむあいえすこうぞうきゃぱした
[英訳] MIS structure capacitor
MIS構造とは、金属電極(Metal)/ 絶縁層 (Insulator) /半導体層 (Semiconductor) 積層構造のことであり、一般にキャパシタ(コンデンサ)として動作する。

エレクトロルミネッセンス
[よみがな] えれくとろるみねっせんす
[英訳] electroluminescence (EL)
エレクトロルミネセンス(EL)とは、主に半導体中において、電界を印加することによって得られる発光を指す。注入型と真性に分類される。 注入型ELは電界によって電子と正孔を注入し、その再結合によって発光をさせるものである。一方真性ELは電界によって加速した電子が何らかの発光中心に衝突し、その発光中心が励起されて発光するものである。なお発光物が有機物か無機物かで区別され、前者は有機EL、後者は無機ELと呼ばれる。一般的には、有機ELといえば注入型、無機ELといえば真性ELを指す。なお、無機半導体の注入型のELは発光ダイオードと呼ばれる。

演色性
[よみがな] えんしょくせい
[英訳] color rendering
演色性とは、照明で物体を照らすときに、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているかを示す指標で、平均演色評価数(Ra)を使って表すのが一般的。 Ra100は、自然光が当たったときと同様の色を再現していることを意味する。

OLED
[よみがな] おーえるいーでー / おーれっど
[英訳] OLED(Organic Light Emitting Diode)
OLEDとは Organic Light Emitting Diode の略で、発光材料に有機物質(Organic)を使ったLED(発光ダイオード)という意味。OLED は電流を流すと自ら発光する素子で、電流による発光はエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence(EL))と呼ばれる。有機ELと同義語と考えてよい。海外ではOLEDの方がよく使われるが、日本では一般的に有機ELと呼ばれることが多い。

オーミック接触
[よみがな] おーみっくせっしょく
[英訳] ohmic contact
オーミック接触とは、オームの法則に従って線型の電流-電圧 (I-V) 曲線を持つ2つの導体の間の電気的接合で、整流作用の無い接合である。抵抗の小さいオーミック接触は、電荷が2つの導体間のどちらの方向へも流れやすくし、整流による遮断や電圧しきい値による余剰電力損失を無くすために用いられる。一般的に「オーミック接触」という言葉は、オーミックな振る舞いの達成に技術を要する半導体と金属のオーミック接触を暗に指している。

オーミック電流
[よみがな] おーみっくでんりゅう
[英訳] ohmic current
オームの法則に従って流れる電流。

ON/OFF比
[よみがな] おんおふひ
[英訳] on/off ratio
電界効果トランジスタのON/OFFは、ゲート電極への電圧印加の有無(ON/OFF)に対するソース電極・ドレイン電極間の電流値の比である。

会合体
[よみがな] かいごうたい
[英訳] aggregate
同種の分子が2個以上比較的弱い分子間力によって集合し、一つの単位として行動している状態を会合と言い、このような単位を会合体という。会合体を構成している分子の数(会合度)が少ないとき、その数によって二量体、三量体などと呼ぶ。色素の会合体では、単量体に比べて光吸収スペクトルが長波長側にシフトするJ会合体と短波長側にシフトするH会合体がある。

開口率
[よみがな] かいこうりつ
[英訳] aperture ratio
開口率とは、画素面積に対する発光面積の割合である。発光面積が大きいほど、個別の画素の輝度は低くて済む。アクティブマトリックス型有機ELディスプレイにおいては、ボトムエミッション型に対して、トップエミッション型は開口率を大きくするために有効である。

外部量子効率
[よみがな] がいぶりょうしこうりつ
[英訳] external quantum efficiency
外部量子効率(ηφ(ext))は次式で定義される有機ELの性能を示す重要な指標である。ηφ(ext) = (素子から取出したフォトン数) / (素子に注入したキャリア数)。

開放電圧
[よみがな] かいほうでんあつ
[英訳] open circuit voltage
太陽電池の外部に流す電流が0Aの時の電圧を開放電圧と呼ぶ。太陽電池の性能の一つの指標となる。

界面
[よみがな] かいめん
[英訳] interface
有機 EL 素子の基本構造は発光層を陰極と陽極で挟んだ単純な単層であるが、実用的な素子においては、高い発光効率と信頼性の確保の観点から多層構造がとられている。例として陽極上に、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)が重ねられ、最後に金属電極が形成された5層構成などが挙げられる。そのため、酸化物電極と有機薄膜、有機薄膜と有機薄膜、有機薄膜と金属電極といった多数の界面が含まれ、これらの界面状態の理解が重要である。

界面準位
[よみがな] かいめんじゅんい
[英訳] Interface state
界面の存在(あるいは形成)によって生じる電子の準位(電子状態)のことを界面準位と呼び、界面準位はその物質のバルクの準位とは一般に異なっている。その原因として、共有結合性の物質の場合は界面におけるダングリングボンドの存在、分子性の物質の場合はバルクと界面における環境の差(隣り合う分子の種類あるいは数が異なる)に起因すると考えられる。

化学気相成長法
[よみがな] かがくきそうせいちょうほう
[英訳] Chemical Vapor Deposition, CVD
化学気相成長、化学気相蒸着または化学蒸着は、さまざまな物質の薄膜を形成する蒸着法のひとつで、石英などで出来た反応管内で加熱した基板物質上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する方法である。切削工具の表面処理や半導体素子の製造工程において一般的に使用される。

拡散係数(拡散定数)
[よみがな] かくさんけいすう
[英訳] diffusion coefficient
媒質中での粒子の拡散の速さを表す比例定数。ある濃度勾配のもと、単位時間当たりに単位面積を通過する物質の量として定義する。なお、励起子の拡散距離は拡散定数と励起子の寿命の積の平方根に比例する。拡散定数はキャリアの飛程に依存し、フェルスター型で共鳴に基づく移動の一重項励起子は飛程が長く、デクスター型で電子移動(交換)に基づく移動の三重項励起子は飛程が短い。ただし、一重項励起子は基底状態への遷移が許容で寿命が短く、三重項励起子は基底状態への遷移が禁制で寿命が長いため、両者の拡散距離は同程度となることもある。

拡散電流
[よみがな] かくさんでんりゅう
[英訳] diffusion current
拡散電流とは、半導体中の電荷キャリア(ホールや電子)の拡散による電流のこと。拡散電流は、半導体中の荷電粒子の濃度の不均一性のために起こる電荷の移動による電流である。これとは対照的に、ドリフト電流は、電場によって電荷キャリアに働いた力による電荷キャリアの動きによるものである。

可視光線
[よみがな] かしこうせん
[英訳] visible light
人間の目に光として感じる波長範囲の電磁波で、波長範囲の下限は360-400 nm、上限は760-830 nmである。 可視光線の波長は nm(ナノメートル)単位で表されることが多い。

カシャ(Kasha)の法則
[よみがな] かしゃのほうそく
[英訳] Kasha's rule
カシャの法則は、電子励起した分子の光化学に関する法則である。その意味するところは、発光(蛍光もしくは燐光)のほとんどは、与えられた多重度の最低励起状態から起こる、というものである。1950年にアメリカの分光学者マイケル・カシャにより提唱された。この法則は、励起分子の発光スペクトルに関連する。光子を吸収すると、基底状態(S0と記し、一重項状態であるとする)にある分子は、光子の波長に応じて、いかなる電子励起状態(Sn(n>0)と記す)にも励起しうる。しかしながら、カシャの法則により、発光(S状態の場合は蛍光)のほとんどは、最低励起状態であるS1状態から起こると考えられる。S1状態からのみ発光が起こると考えられるので、この法則は、発光波長は励起波長に依存しない、と言い換えることができる。

画素ピッチ
[よみがな] がそぴっち
[英訳] pixel pitch
画素ピッチは画素(ピクセル)の繰り返し単位の長さのことである。たとえば、160ppi (pixel per inch)の精細度のディスプレイの場合、画素ピッチは、25.4 mm / 160 = 159 マイクロメートルである。

画素密度
[よみがな] がそみつど
[英訳] pixel density
画素密度とは、1インチあたりのドット数を示した数値で、一般にppi(pixel per inch)やdpi(dot per inch)という単位で表される。

活性層
[よみがな] かっせいそう
[英訳] active layer
光・電子デバイスにおける活性層とは、デバイスの性能を発現するための層を意味すると考えられる。有機トランジスタでは有機半導体層が活性層である。

価電子帯
[よみがな] かでんしたい
[英訳] valence band
価電子帯とは、絶縁体や半導体において、価電子によって満たされたエネルギーバンドのことである。 価電子帯の頂上から伝導帯の底までのギャップが、バンドギャップである。半導体や絶縁体においては、バンドギャップ中にフェルミ準位が存在する。

画面解像度/HD/Full-HD
[よみがな] がめんかいぞうど
[英訳] display resolution
画面解像度とは、映像のきめ細かさを表す数値。表示される画面に何個の点(ピクセル)を並べるかで表現される。例えば、「HD」「フルHD」「4K」の順できめ細かさが増し、それぞれの値は、HD:1440×1080ピクセル、フルHD:1920×1080ピクセル、4K:3840×2160ピクセルである。

カラミティック液晶
[よみがな] からみてぃっくえきしょう
[英訳] calamitic liquid crystal
液晶状態を形成する液晶材料は、その性質を示す材料の分子は概ね円盤状と棒状の形状を取る。前者をディスコチック液晶、後者をカラミティック液晶と呼ぶ。カラミティック液晶は、分子が一軸配向しただけの液体的なネマティック相と、層状構造を有するより結晶に近い構造を持ったスメクティック相に分かれる。スメクティック液晶は、分子が相互に近接して並んでいるため、分子間の電荷移動が円滑に進行し、電子伝導が進行する。それに対して、ネマティック相は分子の配列がよりルーズであるため、分子間の電荷移動が円滑に進まない。それに加えて、流動性が大きく、液晶分子自身やイオン性の不純物が動くことによって生じるイオン伝導が起こりやすい。コレステリック相は、ネマティック相がねじれた構造をしており、ネマティック相を示す液晶材料にキラリティーを導入すると出現する。電気伝導という点では、ネマティック相と同じく、分子の配列がルーズなため電子伝導は起こりにくい。

カラムクロマトグラフィー
[よみがな] からむくろまとぐらふぃー
[英訳] column chromatography
カラムクロマトグラフィーとは、化合物の精製法のひとつで、筒状の容器に充填剤をつめ、そこに溶媒に溶かした化合物を流し、化合物によって充填剤との親和性が異なることや分子の大きさが異なることを利用して分離精製を行う方法のこと。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)や高効率液体クロマトグラフィー(HPLC)もカラムクロマトグラフィーの一種だが、通常カラムクロマトグラフィーと言う場合、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを指すことが多い。

間接遷移
[よみがな] かんせつせんい
[英訳] indirect bandgap
間接遷移とは、価電子帯の頂上Evと伝導帯の底Ecが一致しない、すなわち、波数空間(k空間)において、EvとEcが異なる波数ベクトル点に存在している場合をいう。伝導帯に励起された電子は、フォトンによるエネルギーの放出だけではなく、運動量保存の法則から運動量も放出する必要がある。ところが、フォトンは質量が小さく、ほとんど運動量がないめ、格子振動(フォノン)によって運動量を変化させた後に、フォトンとの相互作用で価電子帯に遷移する。間接遷移型半導体では、フォトンの放出よりもフォノンの放出が多いため、発光効率が低い。

緩和
[よみがな] かんわ
[英訳] relaxation
緩和とは、物理学においては、定常状態や平衡状態、基底状態など安定な状態へと系の状態が変化 (relax) することを指す。有機半導体単結晶での電荷輸送では、一つの分子から隣接分子への電子移動ごとに周囲の分極による緩和が行われる。

基底状態
[よみがな] きていじょうたい
[英訳] ground state
基底状態とは、系の固有状態のうち最もエネルギーの低い状態をいう。 一方、基底状態よりも高いエネルギーの固有状態は励起状態と呼ぶ。

輝度(cd/m2)
[よみがな] きど
[英訳] luminance
ディスプレイなどの平面状の光源における発光の大きさを表す指標であり、単位はcd/m2で現わされる。

輝度換算法
[よみがな] きどかんさんほう
[英訳] luminance conversion method
輝度換算法はスポット輝度計により測定した輝度から、発光輝度が方向によらず均一であるという仮定(完全拡散面の仮定)を用いて、全発光エネルギーを求める方法である。この方法は、実際の素子の空間的な発光パターンが完全拡散面から多少ずれていることや、輝度計の測定精度に限界があることなどの問題点もあるが、直接法に比べて非常に簡単に測定できることから広く用いられている。

基板
[よみがな] きばん
[英訳] substrate
基板とは、何らかの機能を実現するための部品を配置するための板、あるいは、その板と部品群をひとまとまりのものとして指すための呼称である。有機半導体、有機エレクトロニクス分野では、有機ELなどの有機薄膜デバイスを形成する下地となる板のことを指す。単純にガラス材質の板を指すこともあるし、ITOなどの薄膜電極が形成された機能性を持つ板のことを指すこともある。アクティブマトリックスの有機ELディスプレイを形成する下地の基板は薄膜トランジスタ(TFT)基板と呼ばれる。

逆光電子分光法
[よみがな] ぎゃくこうでんしぶんこうほう
[英訳] Inverse Photoemission Spectroscopy (IPES)
逆光電子分光法(IPES)は、エネルギーのそろった電子Ekを試料に照射し、この電子が空準位に緩和する際の発光hνを観測することで、空準位のエネルギーEbを求める。これにより、空準位の状態密度がわかる。逆光電子分光法(IPES)は光電子分光(PES)の逆過程とみなすことができる。ただし、PESでは電子を取り出すことで試料にプラスの電荷を注入するが、IPESでは試料にマイナス電荷をもつ電子を注入するという違いがある。IPESで観測される空準位の下端が電子輸送にかかわることで重要である。真空準位を基準とする空準位の下端のエネルギーが電子親和力である。

逆電圧降伏
[よみがな] ぎゃくでんあつこうふく
[英訳] breakdown
半導体のpn 接合では逆方向に大きな電圧を印加すると急激に大 きな電流が流れる。この現象を逆電圧降伏といい、降伏が始まる電圧を降伏電圧(breakdown voltage)という。

逆プレーナー構造
[よみがな] ぎゃくこーぷれーなーこうぞう
[英訳] inverted coplanar structure
ボトムコンタクト−ボトムゲート型の有機トランジスタ構造。

逆スターガ構造
[よみがな] ぎゃくすたーがこうぞう
[英訳] inverted staggered structure
トップコンタクト−ボトムゲート型の有機トランジスタ構造。

キャリア
[よみがな] きゃりあ
[英訳] carrier
電荷を担うもの。有機半導体の一般的なキャリアはホールや電子である。広い共役系を持つ分子の場合、電子が電子雲を経由して移動することが可能である。また、電荷移動錯体では、不対電子が長時間安定状態にあり、それがキャリアとなる。このタイプの有機半導体は電子供与性分子と電子受容性分子がペアになることで得られる。

キャリア移動過程
[よみがな] きゃりあいどうかてい
[英訳] carrier transfer process
ホールと電子の移動は、中性分子とそれぞれアニオンラジカルやカチオンラジカルをやりとりすることで、分子間をホッピングによって移動していると考えられている。有機半導体薄膜はキャリアを薄膜中に持たず、移動度が小さいため、そのキャリア移動は、空間電荷制限電流によって記述されると考えられている。

キャリア移動度
[よみがな] きゃりあいどうど
[英訳] carrier mobility
キャリア移動度とは、固体の物質中でのキャリアの移動のしやすさを示す指標であり、半導体の場合、キャリアとは、電子および正孔のことである。[定義] 物質に電場E をかけたとき、電場によって電子(もしくは正孔)が平均速度v で移動したとき、次式で定義される v=μE (μ: 移動度)。

キャリア拡散
[よみがな] きゃりあかくさん
[英訳] carrier diffusion
物質中のキャリアに濃度分布があるとき、均一な濃度分布になろうとしてキャリアが濃度の高いところから低いところへ拡散して移動すること。このキャリア拡散により流れる電流を拡散電流という。半導体中の全電流は電子と正孔のドリフト電流と拡散電流の和で表される。

キャリア散乱
[よみがな] きゃりあさんらん
[英訳] carrier scattering
半導体中でキャリア(電子や正孔)が散乱されるメカニズムは、フォノン散乱、イオン化不純物散乱、衝突イオン化散乱の3種類が主要なものである。これらが伝導率σを決める要素の移動度μを決めている。フォノンとは、結晶格子の熱振動を量子化したもので、つまり格子振動による散乱である。この格子振動による散乱は熱エネルギーによる原子の振動による散乱であるため、低温ではその影響は小さく高温ほど影響が大きい。キャリア移動度への影響は、温度 T の 3/2 乗に比例して大きくなる。イオン化不純物散乱は、ドナーやアクセプターのように、不純物がイオン化したものによる散乱である。これは、電子がイオン化した不純物によるクーロンポテンシャルによって散乱を受けるもので、ラザフォード散乱の問題と同じメカニズムである。温度による影響は、低温では電子は熱エネルギーが小さく移動速度も小さい。速度が小さな電子に対するクーロン力は大きいため大きく散乱される。一方、高温では電子の熱速度は大きいので、クーロンポテンシャル散乱の影響は小さい。イオン化不純物散乱は低温で主要であり高温では影響が少ない。移動度に対するイオン化不純物散乱の温度依存性は T の 3/2 乗に比例して、低温で主要な散乱メカニズムとなる。衝突イオン化による散乱は、電子が電界によって高速に加速され、そのエネルギーが結晶を構成している結合電子のエネルギーを超える場合、結合電子を破りイオン化してしまう現象である。インパクトイオン化という。電子が一個衝突すると、多数の電子とホールのペアを作り出すため増幅効果がある。

キャリア注入
[よみがな] きゃりあちゅうにゅう
[英訳] carrier injection
電極から半導体層へキャリア(電子または正孔)を注入すること。

キャリア注入型EL
[よみがな] きゃりあちゅうにゅうがたいーえる
[英訳] carrier injection type EL
有機ELは有機薄膜内にキャリアを注入し、蛍光色素上で再結合させて励起状態を形成し、発光を取り出すことからキャリア注入型EL と呼ばれる。

キャリア注入障壁
[よみがな] ちゅうにゅうしょうへき
[英訳] Carrier injection barrier
有機ELデバイスや有機薄膜太陽電池などの有機半導体デバイスにおいて、金属電極から有機分子層へキャリアが注入される際のエネルギー的な障壁を指す。金属電極の仕事関数と有機分子の最高占有軌道(HOMO)や最低非占有軌道(LUMO)とのエネルギー差がその指標となる。キャリア注入障壁が大きいと電極から電子やホールといったキャリアが有機分子層へ効率的に注入されにくいため、デバイスの効率が低下する。注入障壁を低減するためには、電極の仕事関数と有機材料の注入準位の中間的なエネルギー準位を持つ注入材料を間に挿入するなどの手法が知られている。

キャリアトラップ
[よみがな] きゃりあとらっぷ
[英訳] carrier trap
半導体内でキャリアが一時的に捕えられて動けなること。不純物原子や格子欠陥が原因で起こる。半導体内でドナー準位やアクセプタ準位以外で,伝導帯や価電子帯からかなり離れた禁制帯中の局在したエネルギー準位をもつものによる。半導体中のキャリアがトラップされる時は、もっているエネルギーを光や熱として放出して捕えられる。電子が捕えられることを電子トラップ,正孔が捕えられることを正孔トラップという。この場合,捕えられた電子や正孔は外部から適当なエネルギーをもらうと,また元の伝導帯や価電子帯に戻ってキャリアになる。

キャリアバランス
[よみがな] きゃりあばらんす
[英訳] carrier balance
エレクトロニクスデバイス内における電子とホールの発生バランスのことを指す。電子とホールが発光層内で再結合して発光する有機ELデバイスや、光が入射するとp型半導体とn型半導体の界面からホールと電子が分離して電流が発生する太陽電池で重要な特性で、これらキャリアの注入または分離バランスがとれていると効率が向上する。例えば、ホールが過剰である有機ELデバイスにおいて、キャリアバランスを改善するためには、電子注入層や陰極材料を変更することによって、電子の注入量を増加させることでキャリアバランスが向上できる。逆にホールの注入量を抑えることによってもキャリアバランスが向上できる。

キャリア密度(キャリア濃度)
[よみがな] きゃりあみつど
[英訳] carrier density
電荷キャリア密度またはキャリア濃度とは、体積あたりの電荷キャリアの個数である。国際単位系での単位は m?3 となる。他の密度と同じように、位置に依存する。キャリア密度は、電荷が持つことができるエネルギー範囲で電荷密度を積分することで得られる。電荷キャリア密度は粒子密度であり、体積 Vで積分するとその体積中の電荷キャリアの個数 Nとなる。電荷キャリアの密度は多くの場合ホール効果を用いて決定でき、電圧は密度の逆数に比例する。

吸収係数(吸光係数)
[よみがな] きゅうしゅうけいすう
[英訳] absorption coefficient
吸収係数または吸光係数とは、光がある媒質に入射したとき、その媒質がどれくらいの光を吸収するのかを示す定数。長さの逆数の次元を持つ。ランベルト・ベールの法則に従えば、媒質をある距離通過した光の強度と入射した光の強度の比の対数(吸光度)は、通過距離と比例関係にあり、その比例係数を吸収係数と呼ぶ。

吸収スペクトル/光吸収スペクトル
[よみがな] きゅうしゅうすぺくとる
[英訳] absorption spectrum
標準の光源に対し、対象物が吸収する光のスペクトルを吸収スペクトルという。無機半導体の光吸収はバンド間の電子遷移で吸収端から短波長側に連続的な吸収となる。有機半導体の光吸収は電子エネルギー準位間のヤブロンスキー(Jablonski)ダイアグラムに基づいて説明される。(分光スぺクトルも参照)

吸着質
[よみがな] きゅうちゃくしつ
[英訳] adsorbate
吸着される物質を吸着剤(adsorbent)、吸着する物質を吸着質(adsorbate)と呼ぶ。 例えば、吸湿剤を考えた場合、吸湿剤がadsorbentであり、水がadorbateである。吸着質の量は、モノレイヤ又はラングミュア等の単位を用いるか、表面への吸着が無視できる高温低圧状態での吸着剤質量を基準とした質量比(wt%)で表される。

吸収帯
[よみがな] きゅうしゅうたい
[英訳] absorption band
吸収帯とは、吸収スペクトルのある範囲が連続した吸収を示す部分をいう。吸収帯は幅の狭いいくつかの吸収が連続的に重なったもので、一般に分子の吸収スペクトルに現れる。可視および紫外領域の吸収スペクトルは、分子の電子状態に関する基底状態から励起状態への遷移によるものであることから電子スペクトルともよばれる。基底状態や励起状態には、分子の振動や回転にもとづく多数の状態が付随しているため、少しずつエネルギーの違ういろいろな振動状態や回転状態への電子遷移が可能であり、これらの遷移に相当して、わずかずつ波長の異なる光が吸収されることになる。このようにして吸収帯が現れる。

共役π電子系
[よみがな] きょうやくぱいでんしけい
[英訳] conjugated π electron system
π電子共役系と同義。

共役ポリマー(共役高分子)
[よみがな] きょうやくぽりまー
[英訳] conjugated polymer
共役ポリマーはポリマー主鎖に沿って共役π電子を持つ有機高分子であり、電子受容体(アクセプター)もしくは電子供与体(ドナー)を添加すること(ドーピング)によって電子伝導性を示し、導電性高分子として機能する。

共有結合結晶
[よみがな] きょうゆうけつごうけっしょう
[英訳] covalent crystal
共有結合結晶は、共有結合によって形成される結晶。一つの結晶粒で一つの分子(巨大分子)を形成しているため、化学式で表す際は形成される元素とその比率により表される。慣用的に共有結晶とも言われる。ダイヤモンドなどのように、共有結晶の中で各原子どうしは強い結合を形成する場合があり、その結果、融点が高かったり硬い性質を持つ場合がある。通常、電気伝導性はほとんどない。その他、ケイ素(シリコン)、二酸化ケイ素、炭化ケイ素などが共有結晶を作る。無機半導体の多くは、共有結合結晶をベースとしており、その結晶構造や電子軌道などの理解は、無機半導体そのものや無機半導体デバイスを理解する上で必須となる。

曲線因子(FF)
[よみがな] きょくせんいんし
[英訳] Fill Factor (FF)
FF=最大出力(mW/cm2) / 理想的最大出力(mW/cm2)。 ここで、理想的最大出力(mW/cm2) = 短絡電流密度(mA/cm2)x開放電圧(V)。

許容遷移
[よみがな] きょようせんい
[英訳] allowed transition
分子の電子状態が光学遷移を起こすためには次のような選択律が存在する。選択律に従って起こる遷移は許容遷移とよばれ、ルールに従っていない遷移は禁制遷移とよばれる。しかし、禁制遷移であっても分子内、分子間の摂動により遷移がおこることがある。@軌道に関する選択律(ラポルテの選択律):一つの光子を吸収する遷移においてはパリティ(偶奇性)の変化を伴う( g - u は許容、g - g および u - u は禁制)。Aスピンに関する選択律:スピン多重度Sは変化しない(スピン選択律)。B状態の対称性に由来する選択律。

キレート金属錯体
[よみがな] きれーときんぞくさくたい
[英訳] chelate metal complex
孤立電子対を持つ有機化合物や陰イオンが金属陽イオンに配位結合した化合物を金属錯体と呼ぶ。この場合、孤立電子対を持つ有機化合物やイオンを配位子という。一分子中に複数の配位子を有する化合物が金属と結合して形成される環状構造は特に安定であり、これをキレート環といい、この錯体のことをキレートと呼ぶ。

近紫外線
[よみがな] きんしがいせん
[英訳] near ultraviolet ray
近紫外線は波長範囲が 380-200 nm の電磁波である。

禁制遷移
[よみがな] きんせいせんい
[英訳] forbidden transition
分子の電子状態が光学遷移を起こすためには次のような選択律が存在する。選択律に従って起こる遷移は許容遷移とよばれ、ルールに従っていない遷移は禁制遷移とよばれる。しかし、禁制遷移であっても分子内、分子間の摂動により遷移がおこることがある。@軌道に関する選択律(ラポルテの選択律):一つの光子を吸収する遷移においてはパリティ(偶奇性)の変化を伴う( g - u は許容、g - g および u - u は禁制)。Aスピンに関する選択律:スピン多重度Sは変化しない(スピン選択律)。B状態の対称性に由来する選択律。

禁制帯(バンドギャップ)
[よみがな] きんせいたい
[英訳] forbidden band, energy gap, band gap
バンドギャップを参照

近赤外線
[よみがな] きんせきがいせん
[英訳] near infrared ray
近赤外線は波長がおよそ0.7-2.5 μm(700-2500 nm)の電磁波で、赤色の可視光線に近い波長を持つ。性質も可視光線に近い特性を持つため「見えない光」として、赤外線カメラや赤外線通信、家電用のリモコン、生体認証の一種である静脈認証などに応用されている。光ファイバーでもこの波長帯が使われ、代表的な波長は1.55μmである。

空間電荷制限電流
[よみがな] くうかんでんかせいげんでんりゅう
[英訳] Space Charge Limited Current (SCLC)
半導体などで,電流の大きさが空間電荷によって支配されるような条件になっているときの電流をいう。

空乏層
[よみがな] くうぼうそう
[英訳] depletion layer
空乏層とは、半導体のPN接合部やショットキー接合、MOS接合において見られる電子や正孔(キャリア)のほとんど存在しない領域のこと。多数キャリアを欠くことで帯電し、電気二重層と内蔵電場を形成する。キャリアの移動に対しては1種の障壁として作用する。 空乏層の幅は印加電圧によって変化する。正方向に電圧をかけることによって縮小または解消する。逆方向に電圧をかけた場合には、その範囲が広がり、電子の移動を妨げる。 厚みが1nm前後またはそれ以下になるとトンネル効果を示す。ダイオードやトランジスタなど各種の半導体素子で利用される。

蛍光
[よみがな] けいこう
[英訳] fluorescence
蛍光とはスピン状態の変化を伴わない電子状態間の遷移にともなう発光のことをいう。有機半導体の場合、実質的に、一重項励起状態から、基底状態(一重項状態)への遷移(緩和)の際に生じる発光のことを指す。スピン状態の変化を伴わないため、一般的に遷移の速度定数は大きく、発光寿命は短い。

蛍光量子収率
[よみがな] けいこうりょうししゅうりつ
[英訳] fluorescence quantum yield
(蛍光量子収率)=(蛍光として放出された光子数)/(吸収した光子数)で定義される。光を吸収した物質の蛍光発光のしやすさを表す。

ゲート絶縁膜
[よみがな] げーとぜつえんまく
[英訳] gate insulator, gate insulating layer
ゲート絶縁膜とは、電界効果トランジスタ (FET) において、ゲートとチャネル(基板)の間に存在する絶縁膜のことである。

ゲート電極
[よみがな] げーとでんきょく
[英訳] gate electrode
電界効果トランジスタ(FET)を構成する電極の一つで、キャリアの流れを制御する(キャリアの通る道幅をコントロールする)役割を担う。

ゲスト
[よみがな] げすと
[英訳] guest
有機材料に別の有機材料を混合する際、大多量の有機材料の方をホスト、少量混合される有機材料の方をドーパントあるいはゲストと呼ぶことがある。例えば、多層型有機ELの発光層において、主に電荷輸送を担うホスト材料の中に少量のドーパント(ゲスト)を発光を担う材料として混合することがある。

結合エネルギー
[よみがな] けつごうえねるぎー
[英訳] binding energy
結合エネルギーとは、互いに引き合う複数の要素からなる系において、その系がひとところに寄り集まって存在する状態と、粒子がばらばらに存在する状態との間での、ポテンシャルエネルギーの差のこと。結合エネルギーが大きいほど、その結合は強固で安定であると言える。有機太陽電池においては、励起状態において、正孔ー電子対となっている状態から、自由電荷の正孔と電子に分かれるために必要なエネルギーとして使われることがある。

結合長(結合距離、原子間距離)
[よみがな] けつごうちょう
[英訳] bond length (bond distance) (interatomic distance)
分子構造において、結合長または結合距離は、分子内の2つの原子の間の平均距離である。 結合長は結合次数と関連しており、結合の形成に参加する電子が多くなるほど結合は短くなる。また結合長は、結合強さ及び結合解離エネルギーと逆相関の関係にあり、結合が強くなるほど結合長は短くなる。2つの同じ原子の間の結合長の半分は、共有結合半径と等しい。結合長は、X線回折を用いて固相で測定されるか、回転分光法を用いて気相で見積もられる。結合を共有する2つの原子の組は、分子ごとに異なる。例えば、メタン中の炭素-水素結合の長さは、クロロメタン中の長さとは異なる。しかし、全体構造が同じ場合は、一般化することが可能である。炭素-炭素間の結合距離では、エタン( 153pm )、エチレン( 134pm )、アセチレン( 121pm )と単結合より二重結合の方が,二重結合より三重結合の方が短い。

結晶
[よみがな] けっしょう
[英訳] crystal
結晶とは原子や分子が空間的に繰り返しパターンを持って配列しているような物質である。

結晶格子
[よみがな] けっしょうこうし
[英訳] crystal lattice
結晶中で規則正しく配列している粒子の三次元的配列を表したものを結晶格子という。結晶格子の最小となる単位を単位格子という。代表的な金属の結晶格子には、面心立方格子、体心立方格子、六方最密構造の三つがある。結晶格子において 1 個の粒子をとりまく最近接の粒子数を配位数という。

結晶性
[よみがな] けっしょうせい
[英訳] crystalline
分子が規則的に並んだ「結晶構造」を持つものを結晶性という。

結晶性高分子
[よみがな] けっしょうせいこうぶんし
[英訳] crystalline polymer
秩序だった分子配列をもつ高分子化合物の総称。ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、セルロースなどがある。融点を示し、部分的な結晶構造をもつものが多く、一般的に硬くて剛性が高い。

結晶粒界(粒界)
[よみがな] けっしょうりゅうかい
[英訳] grain boundary
結晶粒界は、多結晶体において二つ以上の小さな結晶の間に存在する界面である。液体が冷却されるなどして固体になるとき、始めに多数の微小な結晶(結晶粒)が形成され、それぞれが別々に成長して多結晶体になる。このとき個々の結晶の方向を揃えておくことは困難である。一方、個々の粒子が単結晶からなる粉末を焼結させる過程においても、あらかじめ結晶の方向を揃えたり途中で結晶の方向を変えたりすることは困難である。いずれの場合も形成された多結晶体を構成する結晶は隣接する結晶と方向が異なっている。すなわち結晶と別の結晶との間に残された不連続な境界面が結晶粒界となる。

ケミルミネッセンス
[よみがな] けみるみねっせんす
[英訳] chemiluminescence
化学発光または、ケミルミネセンスとは、化学反応によって励起された分子が基底状態に戻る際、エネルギーを光として放出する現象である。この中で分子単独が励起状態を形成するものを直接発光と呼び、系内に存在する蛍光物質等へエネルギー移動し、蛍光物質の発光が観測されるものを間接化学発光と呼ぶ。

原子軌道(電子軌道)
[よみがな] げんしきどう
[英訳] atomic orbital (electron orbital)
原子軌道とは、原子核のまわりに存在する1個の電子の状態を記述する波動関数のことである。電子軌道あるいは単に軌道とも呼ばれる。

原子軌道エネルギー
[よみがな] げんしきどうえねるぎー
[英訳] atomic orbital energy
それぞれの原子軌道について、その軌道に存在する電子が持つエネルギーが決まっている。これを原子軌道エネルギーと呼ぶ。原子核に近いほど原子核からの引力が強くなるためエネルギーは低い。

項間交差
[よみがな] こうかんこうさ
[英訳] intersystem crossing
一重項状態が非輻射的に三重項状態へ変わるとき、または逆に三重項が一重項へ変わるとき、この過程を項間交差という。 系間交差と呼ばれることもある。項間交差においては、励起電子のスピンの反転が起こる。 2つの励起状態の振動準位が重なるとき、遷移によるエネルギーの変化が小さいために項間交差が起こる確率は高くなる。

交換反発力(交換斥力)
[よみがな] こうかんはんぱつりょく
[英訳] exchange-repulsion
電子雲の重なりによって生じる短距離での斥力であり、重なり積分の大きさに比例する。分子間距離が離れていくにつれ、指数関数的に減衰していく。強い方向依存性を持つ。Pauli 反発力とも呼ばれる。

光子
[よみがな] こうし
[英訳] photon
光子とは光の粒子である。物理学における素粒子の一つであり、光を含む全ての電磁波の量子かつ電磁力の媒介粒子である。光量子(light quantum)とも呼ばれる。

格子振動
[よみがな] こうししんどう
[英訳] lattice vibration
格子振動とは、結晶中の原子(格子)の振動のこと。振動の駆動力は熱であるが、絶対零度においても、不確定性原理から原子(格子)は振動している(零点振動)。格子振動は、熱伝導の原因の一つであり、比熱とも関係が深い。また、格子振動によって電子が散乱される(電気伝導に影響)。

格子定数
[よみがな] こうしていすう(こうしじょうすう)
[英訳] lattice constant
格子定数とは、結晶軸の長さや軸間角度のこと。単位格子の各稜間の角度 α,β,γ と、各軸の長さ a,b,c を表す6個の定数である。その性質上、格子の形状によっては一部の値のみで表すことが出来る。例えば、立方格子ではa = b = cかつα = β = γ=90°であるため、aの値のみで表すことができ、斜方格子ではα = β = γ=90°であるため、a,b,cのみを指定すればよい。軸の長さの単位は普通オングストローム(A)を用い、自明として単位を付けずに数値のみを書く場合が多い。X線の波長は約1 Aであるため、X線の回折によって格子定数を求めることが可能である。

格子分極
[よみがな] こうしぶんきょく
[英訳] lattice polarization
格子分極とは、注入した電荷とそれが周囲の分子に引き起こす双極子の相互作用に基づいて周辺分子の格子位置からの変位に基づいた分極である。有機半導体中の電荷担体の移動では、電荷担体が一分子中に滞在する時間は格子分極に要する時間より短く、格子分極は伴わないと考えられている。

構造規則性
[よみがな] こうぞうきそくせい
[英訳] structural order
共役高分子はモノマーが連結して1本の分子鎖が形成されている。モノマーが立体的に対象ではなくheadとtailが定義できる場合、共役高分子がhead-to-tailで規則的に連結されている場合、構造規則性が高いと呼ばれる。モノマーとしてアルキルチオフェンが用いられる場合、そのポリチオフェン体の物性は構造規則性に大きく左右されることが知られている。

光束(lm)
[よみがな] こうそく
[英訳] luminous flux
光束とは、ある面を通過する光の明るさを表す物理量である。SI単位はルーメン(記号: lm)。

光束維持率
[よみがな] こうそくいじりつ
[英訳] lumen maintenance factor
「光束維持率」とは、LEDが最初(新品の時)と比べて、どれくらい明るさを維持しているか を割合(%)で表したもので、LED製品の寿命を考える上で用いられる指標。 一般的なLED照明器具の場合、光束維持率が70%に落ちるまでの使用可能時間で寿命が設定されている。

光電エネルギー変換効率(光電変換効率)
[よみがな] こうでんえねるぎーへんかんこうりつ
[英訳] photoelectric power conversion efficiency
得られる電気エネルギ(電力)を入射した光のエネルギーで割ったものである。測定においては100 mW/cm2 の光源(疑似太陽光)を用いて評価することが多い。

光電子
[よみがな] こうでんし
[英訳] photoelectron
光電子は、光電効果によって、光のエネルギーを吸収し、物質表面から外部に放出された自由電子と、固体の内部に留まるが励起されて伝導(光伝導)に寄与するようになった電子の総称である。また、光電子による電流を光電流と呼ぶ。

光電子収量分光法 (PYS)
[よみがな] こうでんししゅうりょうぶんこうほう
[英訳] Photoemission Yield Spectroscopy (PYS)
紫外光電子分光法 (UPS)を参照

光電子分光
[よみがな] こうでんしぶんこう
[英訳] Photoemission Spectroscopy(PES)
光電子分光(PES)は、試料にエネルギーhνの単色光を照射し、被占準位にある電子を真空準位よりも高いエネルギーに励起する。励起した電子の運動エネルギーEkを測定することで、準位エネルギーEbを測定する。これにより被占準位の状態密度がわかる。被占準位の上端は、ホールの輸送を担うことから重要である。真空準位を基準とする非占有準位の上端のエネルギーがイオン化(閾値)エネルギーである。

光電変換
[よみがな] こうでんへんかん
[英訳] photoelectric conversion
光エネルギーを電気エネルギーに変換すること。光励起による電荷分離状態は、一般にその逆反応が速やかに起こり、光エネルギーを他の化学エネルギーや電気エネルギーに変換して取り出すことは必ずしも容易ではない。光励起された状態からエネルギー移動や電子移動を効果的に行うことにより、速やかに逆反応の起こりにくい電荷分離状態をつくり出し、電流として取り出すことが必要である。具体的には、金属と半導体の接触界面のショットキー効果を用いたセレン光電池や、シリコンなどの半導体単結晶のpn接合を用いた光電池などで実現されている。

光度(cd)
[よみがな] こうど
[英訳] luminous intensity
点光源から発する光の単位立体角当たりの光束。単位はカンデラ(cd)。

高分子半導体
[よみがな] こうぶんしはんどうたい
[英訳] semiconducting polymer
半導体的な性質をもつ高分子を指す。電導度の値が金属と絶縁体の中間的な値を示さないものであっても、その光吸収帯や発光帯が可視光領域に存在したり、注入した電荷を良好に輸送できれば、高分子半導体と呼ばれることもある。

光量(lm・s)
[よみがな] こうりょう
[英訳] quantity of light
一定の面を一定時間内に通過する光のエネルギーの総量。単位(lm・s)。

コープレーナー構造
[よみがな] こーぷれーなーこうぞう
[英訳] coplanar structure
トップコンタクト−トップゲート型の有機トランジスタ構造。

コヒーレント
[よみがな] こひーれんと
[英訳] coherent
コヒーレントとは、波動が互いに干渉しあう性質を持つことを表す言葉で、二つまたは複数の波の振幅と位相の間に、一定の関係があることを意味する。電磁波であるラジオやテレビの電波は、その周波数や位相、波面がきれいに揃った波であるのに対し、光は電磁波の一種であるが、自然光は位相と周波数が揃っていない。レーザ光はコヒーレント性の高い光であり、拡散しにくく、遠方まで届きやすい性質を持つ。

サイクリックボルタンメトリー
[よみがな] さいくりっくぼるたんめとりー
[英訳] Cyclic Voltammetry (CV)
サイクリックボルタンメトリーとは、電極電位を直線的に掃引し、応答電流を測定する手法である。電気化学分野において、最も基本的であり、多用される測定法である。静止溶液中に電極を配し、電位をくり返し掃引した際に流れる電流を測定して得られる電流?電位曲線(サイクリックボルタモグラム、CV)を解析し、酸化還元特性などを調べる測定法である。電位を制御しながら電流を測定できるポテンショスタットに作用極・参照電極・対極を接続し、支持電解質を含んだ溶液に3電極を浸し、一定の掃引速度で電位を増減させて電流値を測定する。電位を負側へ掃引すると還元波が生じ、電位を正側へ掃引すると酸化波が生じ、電位と電流から酸化還元系の標準電位を知ることができる。

再結合
[よみがな] さいけつごう
[英訳] recombination
電荷分離とは反対に、電子と正孔が結合すること。有機ELにおいては、電極から注入された正孔と電子が結合することであり、励起分子を生成し、その後発光などを引き起こす。

再結晶
[よみがな] さいけっしょう
[英訳] recrystallization
固体物質の精製法の一つ。目的の固体物質を適当な溶媒に溶かし、再び結晶を析出させて不純物を除く方法。温度による溶解度の差を利用して、高温度でつくった飽和溶液を冷却するか、あるいは、飽和溶液から溶媒を徐々に蒸発させるなどの方法がある。

最高占有軌道(HOMO)
[よみがな] さいこうせんゆうきどう (ほも)
[英訳] Highest Occupied Molecular Orbital, HOMO
HOMOまたは最高被占軌道とは、電子に占有されている最もエネルギーの高い分子軌道である。そのエネルギー準位は有機半導体の物性として重要な指標である。

最大視感度
[よみがな] さいだいしかんど
[英訳] maximum spectral luminous efficacy
最大視感度とは、視感度が最大となる光の波長である。明るい場所では、多くのヒトが波長555nmで視感度が最大となるため、明所最大視感度は波長555nmとされる。555nmでの視感度は683lm/Wとされる。

最低非占有軌道(LUMO)
[よみがな] さいていひせんゆうきどう (るも)
[英訳] Lowest Unoccupied Molecular Orbital, LUMO
LUMOまたは最低非占有軌道とは、電子に占有されていない最もエネルギーの低い分子軌道である。そのエネルギー準位は有機半導体の物性として重要な指標である。

作用スペクトル
[よみがな] さようすぺくとる
[英訳] action spectrum
ある光依存現象について、その反応を定量的に測定し、各波長の単色光がその反応をひき起こす効率を波長を横軸にして表したもの。光依存現象に関与する光受容体の吸収スペクトルを推定することができる。逆にある物質の吸収スペクトルが既知であれば、作用スペクトルとの比較から、その物質が主たる光受容体であるか否かが判定できる。

酸化還元系
[よみがな] さんかかんげんけい
[英訳] oxidation-reduction system (Redox system)
酸化とは、物質、分子または原子が電子を失う過程をいい、還元とは、逆に物質、分子または原子が電子を得る過程をいう。ある物質の酸化型と還元型の混合系を酸化還元系と呼び、この系の中で、酸化反応と還元反応は可逆的に起こりうる。自然界で起こる多くの物質変化において、酸化還元反応は基本的で重要な反応といえる。色素増感太陽電池においては、電子を陽極から酸化物まで運ぶために、ヨウ素とヨウ化物イオン間の酸化還元系の電解質溶液を用いることがある。

酸化還元電位
[よみがな] さんかかんげんでんい
[英訳] redox (oxidation-reduction) potential
酸化還元電位とは、ある酸化還元反応系における電子のやり取りの際に発生する電位(正しくは電極電位)のことである。物質の電子の放出しやすさ、あるいは受け取りやすさを定量的に評価する尺度である。単位はボルト(V)を用い、標準水素電極を基準として表わされるが、実際には標準水素電極の代わりに、銀?塩化銀電極やカロメル電極など実用的な基準電極を基準にして酸化還元電位を測定することが頻繁に行なわれる。したがって、酸化還元電位を表記する際には、基準電極を必ず明記せねばならない。

三重項状態/三重項励起状態/励起三重項状態
[よみがな] さんじゅうこうじょうたい
[英訳] triplet state
一重項基底状態にある分子中の電子が光吸収などによってより高いエネルギー状態へ励起したとき、励起一重項状態または励起三重項状態となる。三重項状態では励起電子は基底状態の電子と対ではなくなり、平行スピン(同じ向きのスピン)となる。三重項状態への励起では、禁制遷移であるスピンの反転を含むため、分子が光吸収によって直接的に三重項状態を作る確率は低い。一方、一重項励起状態から系間交差により三重項励起状態に遷移しやすい化合物が知られている。

三重項励起子
[よみがな] さんじゅうこうれいきし
[英訳] triplet exciton
三重項励起状態にある分子のことを指す。電子とホールの再結合で分子が励起状態になる場合に、1:3の割合で一重項励起子と三重項励起子が生じる。一重項励起子と三重項励起子の違いは励起準位にある電子のスピンの向きが基底状態と違うか同じかということに起因している。再結合により分子が励起状態になったとき、励起準位にあるスピンの向きが打ち消し合っていれば、励起一重項状態である。スピンの向きが同じであれば、励起三重項状態である。

三重項励起子生成効率
[よみがな] さんじゅうこうれいきしせいせいこうりつ
[英訳] triplet exciton production efficiency
有機分子の励起状態には、一重項励起状態(S1)と三重項励起状態(T1)の二つのスピン多重度の異なる状態が存在する。燐光型有機EL素子において、生成された励起子のうちEL 発光として利用されうる三重項励起子の生成割合を、三重項励起子生成効率と定義している。電子と正孔の再結合による励起子生成過程では、スピン統計則に従って、一重項励起子が 25%の確率で、三重項励起子が 75%の確率で生成すると考えられている。このうち、一重項励起子が系間交差によって三重項励起子に全て変換される場合には、三重項励起生成効率は100%となる。

CCD(電荷結合素子)
[よみがな] しーしーでぃー
[英訳] Charge-Coupled Device(CCD)
通常の半導体集積回路では、一般に、その上に作り込まれたそれぞれの素子の間は金属層のパターンによる配線によって、電気的に接続され信号がやりとりされる。これに対し、隣り合った素子の間の電荷的な結合を利用して、次々と電荷の状態が送り出されることにより信号がやりとりされる素子がCCD(電荷結合素子)である。

CMOS(相補型MOS)
[よみがな] しーもす
[英訳] Complementary MOS( CMOS)
CMOS(相補型MOS)とは、P型とN型のMOSFETをディジタル回路(論理回路)の論理ゲート等で相補的に利用する回路方式(論理方式)、およびそのような電子回路やICのことである。また、そこから派生し多義的に多くの用例がみられる。CMOSイメージセンサ(CMOSを用いた固体撮像素子)を単にCMOSと言う場合がある。

紫外光電子分光法(UPS)
[よみがな] しがいこうでんしぶんこうほう
[英訳] Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy (UPS)
紫外光電子分光法は、原子価領域の分子軌道エネルギーを決定するために用いられる分析法。紫外線を吸収した分子によって放出される光電子の運動エネルギースペクトルを測定する。光は固体内部まで進入するため、表面数層の領域の価電子状態を調べることができる。各種材料の仕事関数評価にも用いられる。

視感度
[よみがな] しかんど
[英訳] luminosity factor
視感度は、分光視感効果度とも呼ばれ、人間の目が最も強く感じる波長約555ナノメートル(nm)の光を1として、他の波長の明るさを感じる度合いを比を用いて表現したもの。

閾値
[よみがな] しきいち
[英訳] threshold
しきい値(閾値)は、境目となる値のこと。半導体では、伝導帯の最低エネルギー準位は、他の物質との電子の授受の閾値と相関があり、価電子帯の最高エネルギー準位は、他の物質との正孔の授受の閾値と相関する。

閾値電圧
[よみがな] しきいちでんあつ
[英訳] threshold Voltage
一般に、デジタル信号を H(もしくは 1)/L(もしくは 0)信号として検知するのに必要となるしきい値となる電位を指す。有機トランジスタの例では、ゲート電極に電圧を印加すると、ゲート電圧とソース電圧の電位差により、ソース電極から有機層内にキャリアが注入されてチャネルを形成し、キャリアが流れることによる電流が観察される。このチャネルが形成され始める電圧のことを閾値電圧と呼ぶ。また、有機ELの例では、発光が始まる電圧を指して閾値電圧と呼ぶことがある。

色素増感
[よみがな] しきそぞうかん
[英訳] dye sensitization
可視光応答性のない半導体などの表面に色素を吸着させ、半導体に光電流発生などの可視光応答を生じさせることができる。これを色素増感作用という。n型半導体の場合、色素増感作用で注入された電子により、銀イオンが還元されて銀粒子となる作用は、銀塩カラー写真として利用されている。また、色素増感作用を利用した太陽電池は色素増感太陽電池と呼ばれる。

色素増感太陽電池
[よみがな] しきそぞうかんたいようでんち
[英訳] Dye Sensitized Solar Cell(DSC, DSSC)
色素増感太陽電池は、色素が光を吸収して電気に変える仕組みの有機系太陽電池である。 酸化物半導体(酸化チタン、酸化亜鉛など)の表面に色素を吸着させることにより変換効率が大きく向上することが確認されて以来、次世代太陽電池として注目を集めている。 低照度環境での発電能力が高く、ほかの太陽電池にはできないデザイン設計(カラー、絵柄模様、フレキシブルなど)が可能である。

四極子(四重極)
[よみがな] しきょくし
[英訳] quadrupole(quadrapole)
四極子または四重極とは、モーメントが等しい双極子が、2個逆向きに接近して並んでいるような単極子の分布をいう。

自己組織化
[よみがな] じこそしきか
[英訳] self-organization
自己組織化とは、物質や個体が系全体を俯瞰する能力を持たないにも関わらず、個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つ大きな構造を作り出す現象のことである。自発的秩序形成とも言う。幾何学的な形状を持つ雪の結晶の成長など自然現象の中にも見出すことができる。

仕事関数
[よみがな] しごとかんすう
[英訳] work function
仕事関数とは、固体内にある電子を、固体の外、正確には真空中に取り出すために必要な最小限のエネルギーの大きさのことである。

失活
[よみがな] しっかつ
[英訳] deactivation
有機半導体分野で失活とは、一般に励起状態のエネルギーが失われることを指す。例えば、有機ELにおいて、励起エネルギーが熱として失われる現象などを指す。しかし、有機ELにおいて、励起エネルギーが光を伴って基底状態に戻る場合には、一般に失活とは呼ばない。これは、発光の取得を目的とする有機ELにおいて、目的とする発光が得られる所望の物理過程だからである。このように、失活とは、目的とする物理現象以外の経路でエネルギーを失うことに対して用いられる。

遮断周波数
[よみがな] しゃだんしゅうはすう
[英訳] cutoff frequency
トランジスタは入力信号をある係数を持って増幅し、出力する機能を有する。その増幅が得られなくなる周波数を遮断周波数と定義する。

重原子効果
[よみがな] じゅうげんしこうか
[英訳] heavy atom effect
原子核の周りでは電子が軌道運動(公転運動)している。また、電子は自転運動(電子スピン)もしている。電子の公転と自転により誘起された二種類の磁気モーメントは相互作用する。それをスピン-軌道相互作用という。重い原子のときほど公転による磁気モーメントの大きさが大きくなるため、このスピン-軌道相互作用の大きさも大きくなる。そして、これが大きければ大きいほどスピン反転がしやすくなり、重原子ではスピン禁制則が弱まる。これが重原子効果である。

自由電子
[よみがな] じゆうでんし
[英訳] free electron
自由電子とは、束縛を受けていない電子のこと。電子気体(フェルミ気体)とも呼ばれることがある。通常、電子は何らかの束縛を受けているため、自由電子は実在しないが、問題を簡潔にし自然科学への理解を助ける。この自由電子を用いたモデルを、自由電子モデル(Free electron model)と言う。現実の電子系について、それらが自由電子であると仮定する近似を自由電子近似と言う。

シュレーディンガー方程式
[よみがな] しゅれーでぃんがーほうていしき
[英訳] Schrodinger equation
シュレーディンガー方程式は、物理学の量子力学における基礎方程式である。シュレーディンガー方程式の解は一般的に波動関数と呼ばれる。波動関数はまた状態関数とも呼ばれ、量子系(電子など量子力学で取り扱う対象)の状態を表す。シュレーディンガー方程式は、ある状況の下で量子系が取り得る量子状態を決定し、また系の量子状態の時間的変化を記述する。

昇華精製
[よみがな] しょうかせいせい
[英訳] sublimation
昇華精製とは、不純物が混入している原料を、物質の昇華・堆積温度の差異を用いて精製する方法。有機半導体の精製方法として重要である。ただし、揮発できない材料(高分子系など)には適用できない。

状態密度
[よみがな] じょうたいみつど
[英訳] density of states(DOS)
固体物理学および物性物理学において、系の状態密度(DOS)とは、微小なエネルギー区間内に存在する、系の占有しうる状態数を各エネルギーごとに記述する物理量である。気相中の原子や分子のような孤立系とは異なり、密度分布はスペクトル密度のような離散分布ではなく連続分布となる。あるエネルギー準位において DOS が高いということは、そこに占有しうる状態が多いことを意味する。DOS がゼロとなることは、系がそのエネルギー準位を占有しえないことを意味する。一般的に DOS とは、空間的および時間的に平均されたものを言う。局所的な変動は局所状態密度 (local density of states, LDOS) と呼ばれ区別される。

蒸着速度(蒸着レート)
[よみがな] じょうちゃくそくど
[英訳] deposition rate or evaporation rate
真空蒸着法において、有機薄膜は分子を少しずつ平らに積んでいくことによって形成されるが、その形成速度を蒸着速度と呼ぶ。単位は Å/s や nm/s で表し、一秒間にどれくらい薄膜を積層させることができるかで示す。

照度(lx)
[よみがな] しょうど
[英訳] illuminance
照射面の明るさ(単位面積あたりに入射する光束)。単位はルクス(lx)。

触針式膜厚計(触針式段差計)
[よみがな] しょくしんしきまくあつけい(しょくしんしきだんさけい)
[英訳] stylus profiler / contact-type thickness meter / probe type step profiler
薄膜の膜厚を評価するための装置。先の尖った針で表面をなぞっていき、薄膜が存在する部分と存在しない部分の段差を測定する。水平方向にはmm単位でスキャンでき、垂直方向(膜厚方向)にはオングストロームオーダーの分解能を持つ。有機薄膜デバイスの有機層の膜厚は、通常、数十〜数百nm程度と薄いが、触針式膜厚計で測定が可能である。

ショットキー型構造
[よみがな] しょっときーがたこうぞう
[英訳] Schottky type structure
電極と有機半導体層の界面に形成されるショットキー障壁によりキャリア注入を制御する有機トランジスタ構造。

ショットキー障壁
[よみがな] しょっときーしょうへき
[英訳] Schottky barrier
半導体と金属を接合させたとき、半導体部分に、金属の仕事関数と半導体の持つ電子親和力(フェルミエネルギー)の差が、障壁として現れる場合がある。これをショットキー障壁と呼ぶ。

真空準位
[よみがな] しんくうじゅんい
[英訳] vacuum level
真空準位は、内部に構造を持たない電荷を持った粒子(荷電粒子)が、真空中に孤立(かつ単独)で存在し、加えて運動エネルギーがゼロの状態にある時の最低のエネルギー準位のこと。

真空準位シフト
[よみがな] しんくうじゅんいしふと
[英訳] vacuum level shift
有機デバイスにおいて、電極と有機半導体層の界面の電子構造は、両者の真空準位が一致するMott-Schottkyのモデルには従わず、後者の真空準位が前者よりも低くシフトする。これが真空準位シフトである。真空準位シフトの原因としては、接合界面の有機分子の双極子などによって、電気二重層の形成などが考えられている。

真空蒸着
[よみがな] しんくうじょうちゃく
[英訳] vacuum deposition
真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱し気化もしくは昇華させて、離れた位置に置かれた基板の表面に付着させ、薄膜を形成するプロセスを指す。蒸着材料、基板の種類により、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。

真性半導体
[よみがな] しんせいはんどうたい
[英訳] intrinsic semiconductor
真性半導体とは、添加物を混じえていない純粋な半導体のことを指す。英語名からi型半導体と呼ばれることもある。真性半導体におけるキャリアは、価電子帯から伝導帯に熱励起された電子と、価電子帯にできた同数の正孔である。

振動緩和
[よみがな] しんどうかんわ
[英訳] vibrational relaxation
有機分子のエネルギー状態において、エネルギー的に高い振動状態から低い振動状態へ無放射遷移する過程をいう。

振動子強度
[よみがな] しんどうしきょうど
[英訳] oscillator strength
分光学でスペクトルの解析に用いられる量で、原子を古典的な調和振動子とみなして光の吸収、放出、分散を論ずるとき、特定の振動数をもった振動子の個数に対応する数。原子による可視光付近の光の吸収は,主として原子内電子と光の電場による双極子相互作用に起因し,原子の基底状態から種々の励起状態への光による遷移によって決まる。

振動準位
[よみがな] しんどうじゅんい
[英訳] vibrational level
振動準位は、分子の重心の移動を伴わず、核の相対的な位置の変位にともなう運動を表す量子状態である。分子内において核は、結合する隣接核と結合エネルギーに相当するポテンシャルの井戸を形成し、お互いばねで結ばれた様な状態にあるために、上記のような運動は振動運動によって記述される。振動準位間の遷移は振動遷移と呼ばれ、主に赤外分光法またはラマン分光法によって観測される。

振動励起
[よみがな] しんどうれいき
[英訳] vibrational excitation
系の温度が高くなると、分子を構成する原子の間の距離が振動するようになる。この振動エネルギーは飛び飛びの値をとり、その値を振動準位と呼ぶ。温度が高くなるにつれて、高い振動準位にある分子が存在するようになる状態を振動励起という。

水晶振動子式膜厚計
[よみがな] すいしょうしんどうししきまくあつけい
[英訳] quartz film thickness meter
真空蒸着時の膜厚の測定には、真空下で使用でき、オングストロームオーダーの膜厚計測が可能な水晶振動子式膜厚計が用いられる。水晶振動子の固有振動数は非常に安定で、交流電場を印加すると、水晶振動子の固有振動数と交流電場の振動数が等しくなったところで共振現象が起こる。この水晶振動子表面に物質が蒸着すると、水晶振動子の固有振動数は低い方向へ変化する。この変化量は蒸着物質の質量に比例するので、共振周波数の変化を精度よく検出し、蒸着物の付着質量を膜厚に換算すれば膜厚が測定できることになる。

垂直遷移
[よみがな] すいちょくせんい
[英訳] vertical transition
分子が外部からエネルギーを吸収して異なる電子状態に遷移する場合、フランク-コンドンの原理にもとづき、その原子間距離をかえずに遷移することを指す。

スイッチングTFT
[よみがな] すいっちんぐTFT
[英訳] switching TFT
アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイにおいて、1素子を動かすために最低限必要なトランジスタは2個である。1つはスイッチングトランジスタであり、EL電流を決定する信号を読み取るか、読み取らないかのタイミングを決定する役目を果たす。

スターガ構造
[よみがな] すたーがこうぞう
[英訳] staggered structure
ボトムコンタクト−トップゲート型の有機トランジスタ構造。

ストークスシフト
[よみがな] すとーくすしふと
[英訳] Stokes shift
ストークスシフトは、同一の電子遷移の吸光および発光スペクトル(例えば蛍光やラマンなど)のバンド極大の位置の間の差(波長あるいは周波数単位)である。名称はアイルランドの物理学者ジョージ・G・ストークスに由来する。系(分子あるいは原子)が光子を吸収する時、系はエネルギーを得て、励起状態に入る。系が緩和する1つの方法は光子を放出しエネルギーを失うことである(他には熱エネルギーを失う方法もある)。放出された光子が吸収された光子よりも小さいエネルギーを持つ時、このエネルギー差がストークシフトである。放出される光子のエネルギーが吸収された光子のエネルギーより大きい時は、このエネルギー差は反ストークスシフトと呼ばれる。

スピン軌道相互作用
[よみがな] すぴんきどうそうごさよう
[英訳] spin orbit coupling
スピン軌道相互作用とは、電子のスピンと電子の軌道角運動量との相互作用のこと。この相互作用により、縮退していた電子のエネルギー固有値が分裂する。最低エネルギーの多重項を知るためにフントの規則とよばれる実験則が有効である。

スピン禁制遷移
[よみがな] すぴんきんせいせんい
[英訳] spin forbidden transition
化合物に紫外光や可視光を照射すると電子遷移が起こるが、その際、電子遷移前のスピン多重度と電子遷移後のスピン多重度は同じでなければならない。つまり、一重項からは一重項へ、三重項からは三重項への電子遷移しか起こらない。これがスピン禁制則である。言い換えると、電子遷移の際にスピンの反転は起こらない。

スピンコート
[よみがな] すぴんこーと
[英訳] spin coat
スピンコートとは平滑な基材を高速回転させる事により遠心力で薄膜を付着させる手法である。回転速度が速いほど生成される薄膜は薄くなる。中心と周辺で膜厚を均質にする必要がある。スピンコートは半導体製造工程に於いて広範囲に使用されている。

スピン多重度
[よみがな] すぴんたじゅうど
[英訳] spin multiplicity
量子化学における多重度は、全スピン角運動量をSとしたとき、2S+1で定義される。 多重度は、スピン角運動量の向きのみが異なる複数の縮退した量子状態(波動関数)を区別するために使われている。有機半導体において重要な多重度は次の2つである。全ての電子が対になっている場合はS = 0で、多重度は1であり一重項(singlet)と呼ばれる。不対電子が2個の場合はS=1で多重度は3であるから三重項(triplet)と呼ばれる。

すべり角
[よみがな] すべりかく
[英訳] slip angle
すべり角とは、色素分子が会合体を形成する場合などの分子の長軸と会合体の伸長方向がなす角度。たとえば、色素分子のπ電子共役系では、平面性が高く大きな置換基が存在しない場合にはそのまま積み重なり(すべり角が大)、大きな置換基が存在する場合には置換基を避けてずれて積み重なる(すべり角が小)。H会合体を形成する色素は前者に対応し、J会合体を形成する色素は後者に対応する。

スメクチック液晶相
[よみがな] すめくちっくえきしょうそう
[英訳] smectic liquid crystal phase
ネマティック相に比べ、より位置的な制約を受けることで2次元の層状構造を持っているのがスメクティック相である。分子の移動可能な範囲が比較的狭いため、ネマティック液晶よりも硬い液晶相であることが知られている。また、ネマティック相の冷却によりスメクティック相が現れることがある。スメクティック相は、層構造の違いにより多くの種類の液晶相が知られている。

正孔(ホール)
[よみがな] せいこう
[英訳] hole
ホール参照

正孔密度(ホール密度)
[よみがな] せいこうみつど
[英訳] hole density
バンド理論を用いると、電子密度は伝導帯での体積当たりの電子の個数であり、正孔密度は価電子帯での体積当たりの正孔の個数である。キャリア密度は半導体で重要であり、ドーピング過程で重要な量である。

精製
[よみがな] せいせい
[英訳] purification
精製とは、混合物を純物質にする工程、あるいはその技術。化学的に合成したり、抽出などにより得た化合物は、多くの場合、いくつかの化合物の混合物であるため、単一で純度の高いものにするために精製を行う。 重要な精製技術に、再結晶、蒸留、昇華、クロマトグラフィーなどがある。

積層型有機EL素子
[よみがな] せきそうがたゆうきいーえるそし
[英訳] multilayer organic EL device
積層型有機 EL素子は、有機EL素子の発光に必要な各機能(電荷輸送、発光など)を、それぞれの機能に特化した材料からなる層に分離したことを特徴としている。各層がそれぞれの機能を効率よく発揮することで、低電圧、高輝度が可能となっている。

接触抵抗
[よみがな] せっしょくていこう
[英訳] contact resistance
2つの導体を互いに接触させて電流を流すと、その接触部に電圧降下と温度上昇が生じる。 これは接触部に抵抗ができるためで、その値は導体の種類、圧力、酸化膜の有無、吸着気体の状態、電流密度などによって異なる。有機電界効果トランジスタでは、ソース電極/有機半導体層および有機半導体層/ドレイン電極の接触抵抗を小さくし、その影響を抑えることが応答速度を速めるために重要である。

遷移
[よみがな] せんい
[英訳] transition
原子や分子は、特有ないくつかのエネルギー状態(エネルギー準位)をもっている。最もエネルギーの低い状態を基底状態、それ以外の状態を励起状態といい、エネルギーの低いものから、第1励起状態、第2励起状態(n =1, 2, …)と名づけられている。原子や分子内の電子は、光を吸収することによってエネルギーを手に入れ、より高いエネルギー準位へと移動する。一方、エネルギー準位の低い方へ原子や分子の状態が移動する時は、光を放射することによってエネルギーを外に出す。この様に、光を放出したり吸収したりしてエネルギー準位が移り変わる事を遷移という。

遷移エネルギー
[よみがな] せんいえねるぎー
[英訳] transition energy
分子のエネルギーの最も低い安定な状態が基底状態,その他のエネルギーの高い状態が励起状態である。状態(準位)間の移り変わりを遷移という。遷移にはエネルギーの出入りを伴ない、遷移エネルギーと呼ばれる。

遷移確率
[よみがな] せんいかくりつ
[英訳] transition probability
量子力学に従う系において、原子や分子が電磁場など外部から作用を受けて、単位時間内に、ある定常状態から別の定常状態に遷移する確率。具体的には、基底状態にある原子が光を吸収し、エネルギーが高い別の定常状態に遷移する頻度などを指す。

前駆体
[よみがな] ぜんくたい
[英訳] precursor
ある化学物質について、その物質が生成する前の段階の物質のことを指す。化学反応によって前駆体から目的とする化合物を合成することができる。

増感色素
[よみがな] ぞうかんしきそ
[英訳] sensitizing dye
色素増感型太陽電池に用いられる色素で、酸化物半導体微粒子に吸着させることにより、半導体の分光感度を可視光の領域(?700nm)まで広げるために使用される色素を増感色素と呼ぶ。

双極子
[よみがな] そうきょくし
[英訳] dipole
双極子とは、一対の正負の同じ大きさの単極子がわずかに離れた位置に存在するものである。和訳せずダイポールと呼ばれることもある。 双極子は、負から正の単極子への方向ベクトルとその大きさとの積で特徴づけられる。このベクトルを双極子モーメントといい、このベクトルの方向との関係により指向性を持つ場となる。

相互貫入型接合有機薄膜太陽電池
[よみがな] そうごかんにゅうがたせつごうゆうきはくまくたいようでんち
[英訳] interpenetrating junction organic solar cell
有機太陽電池における電子受容性(アクセプター性、n型)分子と電子供与性(ドナー性、p型)分子の接合様式として、バルクヘテロ接合が適用されることが多い。しかしながら、この方法では電子集合体と電子受容体の望みの組織構造を得ることが難しく、より積極的に理想的な相分離構造を構築することが重要になっている。電子供与体と電子受容体が相互に入り込んだ構造の相互貫入型接合が電荷分離、電荷移動において好ましいが製造工程が複雑になるなどの課題がある。

ソース電極
[よみがな] そーすでんきょく
[英訳] source electrode
電界効果トランジスタ(FET)を構成する電極の一つで、キャリアを放出する(キャリアを流す源となる)役割を担う。

ソーラーシミュレーター
[よみがな] そーらーしみゅれーたー
[英訳] solar simulator
ソーラーシミュレーターとは、太陽光に近いスペクトル分布を持つ光を人工的に作り出した疑似太陽光発光装置。ソーラーシミュレータ(疑似太陽光源)は、高効率な太陽電池の研究、植物の光合成の研究、人工光合成の研究、光触媒の研究など太陽光の照射に関連する幅広い分野で使われている。

素子(半導体素子)
[よみがな] そし(はんどうたいそし)
[英訳] element (semiconductor device)
半導体素子とは、半導体の電気的特性を利用して作られる電気回路の構成要素である。 整流機能を有するダイオード、増幅機能を有するトランジスタなどがある。

疎水結合
[よみがな] そすいけつごう
[英訳] hydrophobic bond
水と親和性のない化学構造同士の間に作用する力を、その構造間の結合と表現して疎水結合と呼ぶ。ただし明確な結合ではなく、水になじまない部分同士が親水性の分子環境からはみ出して重なり合うことにより、相対的に安定化した状態と考えられる。具体的には、有機物のうちで、炭化水素鎖 (−CH2−)nやベンゼン環 (C6H6) のように炭素と水素の組合せから成る部分は疎水的であるため、それらの間には疎水結合が生じやすい。

大気中光電子収量分光法 (PYSA)
[よみがな] たいきちゅうこうでんししゅうりょうぶんこうほう
[英訳] Photoemission Yield Spectroscopy in Air ( PYSA)
光電子収量分光において、外部光電子を空気中で酸素に捕獲させてオープンカウンターで計測する方法。大気中で測定できるのでUPSよりも簡便である。

Time-of-Flight 法(TOF法、飛程時間法)
[よみがな] たいむおぶふらいとほう
[英訳] time-of-flight method
Time-of-Flight 法(TOF法、飛程時間法)は、キャリアが一定距離を移動する時間を測定することによってキャリアの平均速度vを測定して、移動度を求める手法。試料の厚さdが既知であれば、キャリアが試料を通過するのに要する時間t(過渡時間)を測定し、試料厚さdをその時間tで割ることにより、キャリアの平均走行速度が得られる。得られたキャリアの平均速度vを電界強度Eで割れば、キャリア移動度 μが算出できる(μ=v/E=d/Et)。有機半導体の電子物性を決める重要なパラメーターは、キャリア密度とキャリア移動度である。光照射や化学ドーピングなどの外部刺激によって大きく変動するキャリア密度と異なり,キャリア移動度は物質固有の物性値であり、有機半導体の評価やデバイス設計、分子設計を行ううえで重要なパラメーターである。キャリア移動度を測定するためのさまざまな手法がこれまでに開発されているが、 Time-of-Flight法(TOF法、飛程時間法)はバルクのキャリアのドリフト移動度を求める一般的な手法である。

ダイヤモンド型構造
[よみがな] だいやもんどがたこうぞう
[英訳] diamond structure (diamond type structure)
立方晶系に属する結晶構造の1種。単位胞の中に8個の原子があり,そのうちの4個ずつが2つの面心立方格子をつくり,それらは互いに立方対角線に沿ってその長さの 1/4 だけ移動した位置を占める。1つの原子には4個の最近接原子が正四面体の頂点の位置にある。共有結合をする炭素,ケイ素,ゲルマニウムなどの結晶にみられる。

太陽電池
[よみがな] たいようでんち
[英訳] solar cell
太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する電力機器である。主に、太陽光エネルギーを家庭用や産業用の電力として活用する目的で使用される。"電池"と表現されるが、電力を蓄える蓄電機能は持っていない。タイプは大きく分けてシリコン系、化合物系、有機系がある。

多結晶
[よみがな] たけっしょう
[英訳] polycrystalline
多結晶は、固体が多数の微小な単結晶すなわち微結晶から構成されていることを示す。多結晶の物体は、多結晶体または単に多結晶と呼ばれる。多くの金属やセラミックスは多結晶体である。多結晶は複数の単結晶から構成されているため、互いに隣接する単結晶間に結晶粒界と呼ばれる界面が存在する。一般に多結晶は単結晶より強度が弱い。

縦型構造
[よみがな] たてがたこうぞう
[英訳] vertical structure
有機トランジスタにおいて、ソース電極とドレイン電極を縦方向に配した構造。

ダビドフ分裂
[よみがな] だびどふぶんれつ
[英訳] Davydov splitting / factor group splitting
因子群分裂ともいう。気体や液体で観測される電子準位間の遷移に対する1本の吸収線が、同じ物質から成る固体 (分子結晶) では2本以上に分れる現象をいう。A.ダビドフにより発見された。分子結晶中で分子が方位を異にして配列する場合にこの分裂が起り、並進に対して等価でない n個の分子があると、n個のダビドフ多重項が生じる。この現象は、結晶をつくると励起状態が結晶全体で共有され、分子励起子をつくることに関連している。多くの分子結晶、たとえばベンゼン、ナフタリン、アントラセンなどで観測される。

[よみがな] 
[英訳] 

ダブルゲート型構造
[よみがな] だぶるげーとがたこうぞう
[英訳] double gate type structure
ゲート電極を上下に二つ配置する構造。

ダングリングボンド
[よみがな] だんぐりんぐぼんど
[英訳] dangling bond
ダングリングボンドとは、原子における未結合手のこと。無機系の半導体結晶において、結晶の表面や格子欠陥付近では、原子は共有結合の相手を失って、結合に関与しない電子(不対電子)で占められた結合手が存在する。 この手をダングリングボンドと呼び、半導体膜バルクとは異なる性質を示し、電荷トラップや消光サイトなどにもなりうることから注意を要する。有機半導体においては、半導体膜の構成単位は中性分子であることから、表面(界面)や膜の欠陥部においてもダングリングボンドは存在しないが、界面や膜の欠陥部はやはり半導体膜バルクとは異なると考えられ、注意を要する。

単結晶
[よみがな] たんけっしょう
[英訳] single crystal, monocrystal
単結晶とは結晶のどの位置であっても、結晶軸の方向が変わらないものをいう。単結晶の集合体が多結晶である。多結晶中の個々の単結晶を結晶粒という。

タンデム型太陽電池
[よみがな] たんでむがたたいようでんち
[英訳] tandem solar cell
タンデム型太陽電池とは、利用波長の異なる太陽電池を複数積み重ねた太陽電池で、スタック型、積層型などとも呼ばれる。太陽光のエネルギーをより無駄なく利用することで変換効率の向上が図れる。

断熱イオン化
[よみがな] だんねついおんか
[英訳] adiabatic ionization
分子と分子イオン両者の最低振動状態間の遷移に対応するイオン化。イオン化電位は、イオン化によって分子内の原子間距離が変わらない場合は、断熱イオン化電位と垂直イオン化電位は等しいが、変わる場合は、断熱イオン化電位は垂直イオン化電位より低い。

短絡電流
[よみがな] たんらくでんりゅう
[英訳] short circuit current
太陽電池の外部にかかる電圧が0Vの時の電流を短絡電流と呼ぶ。太陽電池の性能の一つの指標となる。

短絡電流密度
[よみがな] たんらくでんりゅうみつど
[英訳] short circuit current density
太陽電池において、光照射条件において、陽極と陰極間の電圧を0V(短絡)に設定した時に外部に流れ出る電流密度。一般に単位[mA/cm2]がよく使われる。

単量体(モノマー)
[よみがな] たんりょうたい
[英訳] monomer
モノマーとは単位が一個ということを意味し、一般に高分子(ポリマー)の構成単位や重合反応前の原料のことを指す。モノマーが2つ結合したものはダイマー(二量体)、3つ結合したものはトリマー(三量体)と呼ばれる。

遅延蛍光(遅延発光)
[よみがな] ちえんけいこう
[英訳] delayed fluorescence
遅延発光ともいう。電荷分離状態のような準安定状態に一度エネルギーが保持され、その後電荷再結合により放出されるエネルギーが光として放出される現象をいう。

チャージアップ
[よみがな] ちゃーじあっぷ
[英訳] charge up
チャージアップは、SEMあるいはESCAなどで絶縁体試料を測定している際、サンプルが帯電し適切な結果が得られなくなる現象のことである。SEMでは、サンプルに電子線を照射して発生する2次電子を観測している。したがって、サンプル表面からは常に電子が失われ続けるため、徐々に正に帯電する。ESCAでは、サンプルにX線を照射して発生する光電子を観測している。したがって、SEMの場合と同様に徐々にサンプルが正に帯電する。これにより仕事関数が大きくなるため、光電子の運動エネルギーが小さくなり、その結果、得られる結合エネルギーのスペクトルは高エネルギー側にシフトする。

チャネル
[よみがな] ちゃねる
[英訳] channel
有機トランジスタのゲート電極に電圧(Vg)を印加すると、ソース電極から有機半導体層にキャリアが注入されるようになり、有機半導体層にキャリアが蓄積され、電流が流れる。このキャリアが蓄積された部分を「チャネル」と呼ぶ。

チャネル長
[よみがな] ちゃねるちょう
[英訳] channel length
ソース電極とドレイン電極間の距離。

チャネル幅
[よみがな] ちゃねるはば
[英訳] channel width
ソース電極/ドレイン電極の幅。

直接遷移
[よみがな] ちょくせつせんい
[英訳] direct bandgap
直接遷移とは、価電子帯の頂上Evと伝導帯の底Ecが一致する、すなわち、波数空間(k空間)において、EvとEcが等しい波数ベクトル点に存在している場合をいう。「垂直遷移」と呼ぶこともある。伝導帯に励起された電子は、エネルギー差であるバンドギャップEgを光子(フォトン)の形で放出して価電子帯に遷移し、正孔と再結合する。直接遷移型半導体としては、GaN、GaAs、InP、InAsなどの化合物半導体があり、これらは光の発生効率が高いため、半導体レーザをはじめとする発光素子に用いられる。

直接法
[よみがな] ちょくせつほう
[英訳] direct method
外部発光効率を測定する方法としては、素子から放出される全ての光エネルギーを直接測定して、入力電気エネルギーとの比を取る方法(直接法)とスポット輝度計を用いて求めた発光輝度から間接的に全発光エネルギーを求める方法(輝度換算法)とがある。直接法には、素子の発光面を完全に覆うような受光面を持ち、発光波長領域で正確な検定がなされた受光素子を用いて計測する方法や、積分球内で素子を発光させて計測する方法、あるいは化学光量計を用いる方法などがある。

ディスコティック液晶相
[よみがな] でぃすこてぃっくえきしょうそう
[英訳] discotic liquid crystal phase
ネマティック相、スメクティック相が主に棒状分子によって構成されるのに対し、ディスコティック相の形成にはディスク状の芳香族分子が用いられる。ディスク上の分子は積層して通常は一次元カラム(カラムナー相)を形成する。

デクスター機構
[よみがな] でくすたーきこう
[英訳] Dexter electron transfer
デクスター機構は、励起電子状態が、ある分子(ホスト)から別の分子(ゲスト)へ移動することによるエネルギー移動機構のことである。 これはドナーとアクセプターの間の波動関数の重なりが必要であるので、一般には15-20Aオーダーの近距離でのみ起こる。 励起状態は1段階もしくは2段階の電子移動によって交換される。三重項励起子は、一般にこの機構でエネルギー移動する。

電界効果トランジスタ
[よみがな] でんかいこうかとらんじすた
[英訳] Field Effect Transistor (FET)
電界効果トランジスタは、ゲート電極に電圧を加えることでチャネル領域に生じる電界によって電子または正孔の密度を制御し、ソース・ドレイン電極間の電流を制御するトランジスタである。

電解質
[よみがな] でんかいしつ
[英訳] electrolyte
電解質とは溶媒中に溶解した際に、陽イオンと陰イオンに電離する物質のことである。これに対し、溶媒中に溶解しても電離しない物質を非電解質という。一般に電解液は電気分解が起こる以上の電圧をかければ電気伝導性を示すが、電解液でないものは電気抵抗が大きい。電解質溶液は十分に高い電圧(一般に数ボルト程度)をかけると電気分解することが可能である。「電解質」という名称はこのことから付けられた。

電荷移動遷移
[よみがな] でんかいどうせんい
[英訳] Charge Transfer (CT) transition
電荷移動遷移は、原子間での電子の移動を伴う遷移過程である。錯体化学などで用いられることの多い概念である。CT遷移は配位子から中心金属へ、あるいは中心金属から配位子へなど、異なる原子間での電子移動を伴う遷移過程をさす。配位子から中心金属への電子移動をLMCT (Ligand to Metal Charge Transfer) 遷移、逆のことをMLCT (Metal to Ligand Charge Transfer) 遷移という。LMCT遷移は配位子が電子豊富なもの、すなわちベンゼン環など不飽和結合を有する化合物を含む場合に起きやすい。CT遷移はラポルテ許容遷移のため吸光度は大きくなる。

電荷移動度
[よみがな] でんかいどうど
[英訳] charge carrier mobility
キャリア移動度を参照。

電荷生成
[よみがな] でんかせいせい
[英訳] charge generation
自由電荷が存在しない状態から電荷が生成することを指す。有機薄膜太陽電池の場合では、光照射によって生じた励起子が p 型有機半導体/n 型有機半導体界面で電子と正孔に分離するして電荷生成が起こる。生成した電子は n 型有機半導体を、正孔は p型有機半導体を移動し、集電極で回収される。

電荷担体(電荷キャリア)
[よみがな] でんかたんたい
[英訳] charge carrier
電荷担体または電荷キャリアとは、電荷を運ぶ自由な粒子を指し、特に電気伝導体における電流を担う粒子を指す。例えば、電子やイオンがある。金属では、伝導電子が電荷担体となる。各原子の外側の1個または2個の価電子は金属の結晶構造の中を自由に移動できる。この自由電子の雲をフェルミ気体という。半導体では、電子と正孔(ホール)が電荷担体となる。正孔とは価電子帯の空席になっている部分を粒子のように移動するものと捉えた見方であり、正の電荷を担う。 不純物半導体では、不純物(ドーパント)をドープすることで、電子や正孔の濃度を増すことができる。ドーピングによって増やされた電荷キャリアを多数キャリアと呼び、相対的に減った電荷キャリアを少数キャリアと呼ぶ。具体的には、n型半導体中の電子とp型半導体中の正孔が多数キャリアとなり、n型半導体中の正孔、p型半導体中の電子が少数キャリアとなる。pn接合にみられる空乏層には電荷担体はほとんどない。

電荷注入
[よみがな] でんかちゅうにゅう
[英訳] charge injection
半導体や絶縁体に、電極からまたは光照射などにより、熱平衡以上に電荷(正孔 and/or 電子) を注入すること。

電荷注入効率
[よみがな] でんかちゅうにゅうこうりつ
[英訳] charge injection efficiency
電極から有機半導体への電荷注入効率は、その系で実測される電流量と、オーミック接触が達成された場合に流れる空間電荷制限電流(SCLC)の比と定義される(電荷注入効率=注入電流/SCLC)。

電荷分離
[よみがな] でんかぶんり
[英訳] charge separation
光照射によって半導体中に生じた電子ー正孔対(励起状態)を自由な電子と正孔へと空間的に分離すること。光を電気に変換するためには、光励起で生じる電荷分離状態をいかに効率よくつくるかが重要である。

電荷分離界面
[よみがな] でんかぶんりかいめん
[英訳] charge separation interface
有機太陽電池の電子供与体と電子受容体の界面を電荷分離界面という。この界面で電荷分離・再結合が行われるため、界面の構造はデバイスの性能向上に非常に重要である。界面の接合には、PNヘテロ接合、バルクヘテロ接合、相互貫入型接合などがある。

電荷輸送
[よみがな] でんかゆそう
[英訳] charge transport
ある物質内を自由電荷(電子あるいは正孔)が輸送される現象を指す。有機分子からなるアモルファス、あるいは多結晶薄膜などの凝集体における伝導は、一般に、個々の分子が電荷の移動サイトとなり、分子から分子 へ電荷が移動するホッピング伝導で、分子を構成する芳香環を含むπ電子共役系に関わる分子軌道が伝導を担ってる。一般に、有機物においては、条件が整わない限り、無機半導体で見られるバンド伝導は起こらない。電荷移動の素過程は隣接する分子間の電荷移動(一電子酸化還元反応)と考えることができる。

電気化学
[よみがな] でんきかがく
[英訳] electrochemistry
電気化学は、物質間の電子の授受と、それに付随する諸現象を扱う化学の分野である。 物理化学、分析化学、化学工業などとの繋がりが深い。電気化学では、電解質溶液の性質・電極反応の速度、界面での電気化学的現象などを扱う。これらの現象は電気化学ポテンシャルを基礎として、相互に関与しあった複雑な理論体系を築いている。

電気化学発光セル
[よみがな] でんきかがくはっこうせる
[英訳] Light-Emitting Electrochemical Cell ( LEC)
発光電気化学セル(LEC)は発光材料と電解質(イオン液体等)からなる発光層を電極で挟む構造の発光デバイスであり、原理的に単層構造でも発光する有機系発光素子の一種である。印加された電圧によって電極付近で電気化学的な還元反応(陰極)および酸化反応(正極)がおこり、ラジカルアニオンとラジカルカチオンが生成されることで電気二重層が形成される。そして異極性のイオンが発光層上で衝突して励起状態の中性分子を生成し、励起状態から基底状態への失活で発光が起きる。このとき、電気二重層によって生じた界面電場により電気抵抗が減少し、また、イオン性液体を発光層へ加えることによってイオン伝導性を高めることができる。発光性材料に電解質を添加することで正極と負極の間を発光層のみの単層とすることが可能であり、作製の簡便さや、厚膜化が可能などの特長がある。

電気素量
[よみがな] でんきそりょう
[英訳] elementary charge
電気素量は、電気量の単位となる物理定数であり、約1.6x10-19クーロンである。陽子あるいは陽電子1個の電荷に等しく、電子の電荷の符号を変えた量に等しい。素電荷、電荷素量とも呼ばれる。一般に記号 e で表される。 原子核物理学や化学では粒子の電荷を表すために用いられる。

電気抵抗率(抵抗率、比抵抗)
[よみがな] でんきていこうりつ
[英訳] electrical resistivity
電気抵抗率は、どんな材料が電気を通しにくいかを比較するために、用いられる物性値である。単に、抵抗率、比抵抗とも呼ばれる。単位は(Ω・m)である。慣例的に Ω・cm もよく使われる。電気抵抗Rの値は、電気抵抗率をρ、導体の長さをL、導体の断面積をAとすると、R=ρL/Aで示される。すなわち、ρ=RA/Lである。電気抵抗率ρの逆数1/ρを電気伝導率(導電率)と呼ぶ。

電気伝導率(電気伝導度、導電率)
[よみがな] でんきでんどうりつ
[英訳] electrical conductivity
電気伝導率とは、物質中における電気伝導のしやすさを表す物性量である。導電率や電気伝導度とも呼ばれる。理学系では電気伝導率、工学系では導電率と呼ばれる傾向がある。長さL、断面積Aの一様な導体の底面間における抵抗Rは、R=ρL/Aである。これは長さや断面積に依存しない。このときの比例係数ρを抵抗率あるいは比抵抗といい(含まれている不純物や温度によって変化する)、その逆数を電気伝導率という。式で表すと電気伝導率σは、σ=1/ρである。

電子
[よみがな] でんし
[英訳] electron
電子は素粒子のひとつであり、電子素量の負の電荷(-1.6x10-19クーロン)と質量9.1x10-31 kg (陽子の2000/1程度)を持つ。スピン数は1/2と-1/2を取りうる。有機半導体において、電荷(正孔・電子ともに)の移動を担っている。有機半導体の光吸収・発光・電荷分離・電荷輸送などの特性に関わりが大きいのは、最高占有軌道(HOMO)や最低非占有軌道(LUMO)の電子である。

電子移動度(キャリア移動度)
[よみがな] でんしいどうど
[英訳] electron mobility
電子移動度とは、固体の物質中での電子の移動のしやすさを示す量であり、キャリアの移動のしやすさを示す。半導体の場合、キャリアとは、電子および正孔のことである。移動度の定義としては、 物質に電場E をかけたとき、電場によって電子(もしくは正孔)が平均速度v で移動したとき、次式で定義される v=μE (μ: 移動度)。

電子エネルギー準位
[よみがな] でんしえねるぎーじゅんい
[英訳] electronic [electron] energy level
電子はとびとびのエネルギーしかとれず、このとびとびのエネルギーの状態を、エネルギー準位という。エネルギー準位がn=1の状態を基底状態とよぶ。異なるエネルギー準位へ状態が変化することを遷移という。電子が低いエネルギー準位から高いエネルギー準位に遷移した状態を励起状態と呼ぶ。

電子軌道
[よみがな] でんしきどう
[英訳] electron orbital
原子軌道を参照

電子供与体
[よみがな] でんしきょうよたい
[英訳] electron donor
電荷移動において、電子を供与する分子を電子供与体(ドナー分子D)、電子を受容する分子を電子受容体(アクセプター分子A)と呼ぶ。すなわち、D→D++eとなり、A+e→A−となる。

電子受容体
[よみがな] でんしじゅようたい
[英訳] electron acceptor
電荷移動において、電子を供与する分子を電子供与体(ドナー分子D)、電子を受容する分子を電子受容体(アクセプター分子A)と呼ぶ。すなわち、D→D++eとなり、A+e→A−となる。

電子親和力
[よみがな] でんししんわりょく
[英訳] Electron Affinity (EA)
電子親和力は、原子、分子(場合により、固体や表面も対象となる)に1つ電子を与えた時に放出または吸収されるエネルギー。放出の場合は正、吸収の場合は負と定義する。電子親和力が負であることは、陰イオンになり難いことを意味する。電気的に中性になる原子、分子の電子親和力は、それらが一価の負のイオンとなっている状態のイオン化エネルギー(イオン化ポテンシャル、電離エネルギーとも言う)と等しい。また、一価の正のイオンとなっているある原子、分子の電子親和力は、それらが中性の原子、分子のイオン化エネルギーと等しい。中性の原子、分子の電子親和力と中性の原子、分子のイオン化エネルギーは等しくない(この場合、通常イオン化エネルギーの方が値として大きい)。電子親和力は金属では仕事関数と一致するが、半導体の場合は、電子親和力は伝導帯の底から真空準位までのエネルギー差として定義されるため、フェルミ準位から真空準位までのエネルギー差として定義される仕事関数とは異なる値になる。

電子遷移
[よみがな] でんしせんい
[英訳] electronic transition
分子電子遷移は、分子中の電子があるエネルギー準位からより高いエネルギー準位へ励起した時に起こる。この遷移に関連するエネルギー変化は、分子の構造に関する情報から与えられ、色といった多くの分子の性質を決定する。有機化合物およびその他の一部の化合物における電子遷移は紫外・可視分光法によって決定することができる。この分光法からは、化合物に存在する電磁スペクトルの紫外あるいは可視領域における遷移が得られる。σ結合のHOMOを占有する電子はσ結合のLUMOに励起することができ、σ → σ*遷移と表わされる。同様に、π結合性軌道から反結合性π*軌道への電子遷移はπ → π*遷移と表わされる。nで示される自由電子対を持つ助色団は、芳香族性π結合遷移と同じように独自の遷移を持つ。こういった検出可能な電子遷移を経ることができる分子の部分は、遷移が電磁放射(光)を吸収し、これが電磁スペクトルのどこかで色として知覚されうるため、発色団と呼ばれる。次の分子電子遷移が存在する。σ → σ*、π → π*、n → σ*、n → π*、芳香族性π → 芳香族性π*。

電子注入
[よみがな] でんしちゅうにゅう
[英訳] electron injection
電子を有機半導体に注入すること。電極からの注入や、別の有機半導体から特定の有機半導体への電子の注入を指す。

電子注入材料
[よみがな] でんしちゅうにゅうざいりょう
[英訳] electron injection material
有機EL素子などにおいて、陰極から電子輸送層への電子注入を促進するために用いられる材料のこと。

電子注入層(バッファ層)
[よみがな] でんしちゅうにゅうそう
[英訳] electron injection layer
電子注入層は陰極と電子輸送層の間にあって、陰極と電子輸送層の間の電位障壁を下げ、陰極から電子輸送層への電子注入効率を改善させる役割を担う。

電子ブロック層
[よみがな] でんしぶろっくそう
[英訳] electron blocking layer
電子の移動をブロックする層。有機EL素子において、ホールが陰極から陽極に貫通してしまうと、電子は発光に寄与しないため、量子効率を下げる結果となる。これを防ぐために、発光層の界面において電子が抜け出ないようにブロックすることができれば、ホールの陰極への流出が防がれ、電子と再結合して発光に寄与する確率を上げることができる。

電子分極
[よみがな] でんしぶんきょく
[英訳] electronic polarization
電界の作用を受けて、原子・分子内の電子の分布が変化することで生じる誘電分極。特に価電子の移動によるものを指す。ベンゼン結晶では、ベンゼン分子に正孔を注入すると周囲のベンゼン分子中の電子が接近し、電子を注入すると遠ざかる(電子分極)。有機半導体においては、電荷担体が一分子中に滞在する時間は電子分極に要する時間より長く、常に電子分極を伴う。これに対し、無機半導体では、電荷担体の一つの格子点での滞在時間は短く、この間にいかなる分極も引き起こさず、周囲の電子も原子も止まったままとみなすことができる(剛体モデル)。

電子密度
[よみがな] でんしみつど
[英訳] electron density
バンド理論を用いると、電子密度は伝導帯での体積当たりの電子の個数であり、正孔密度は価電子帯での体積当たりの正孔の個数である。キャリア密度は半導体で重要であり、ドーピング過程で重要な量である。

電子輸送
[よみがな] でんしゆそう
[英訳] electron transport
半導体の中で電子が輸送されること。有機半導体の多くは、ラジカルアニオン種(電子)と中性分子との間のホッピング伝導として記載され、分子間の電子のやりとりは一電子酸化還元反応と捉えることもできる。

電子輸送材料
[よみがな] でんしゆそうざいりょう
[英訳] electron transporting material
電子を輸送する性質がある材料のことを指す。電子(negative charge)を受け入れて、運ぶ性質から、n型材料と呼ばれることもあり、また電子を受け取ってラジカルアニオンを形成しやすいことからアクセプター材料と呼ばれることもある。

電子輸送層(ETL)
[よみがな] でんしゆそうそう
[英訳] electron transporting layer
多層型有機EL素子において、電子を輸送する役割を担う層。

伝導帯
[よみがな] でんどうたい
[英訳] conduction band
伝導帯は、バンドギャップのある系において、バンドギャップの直上にある空のバンドのこと。フェルミレベルよりも高いエネルギーにあり電気伝導に寄与する。

伝導電子
[よみがな] でんどうでんし
[英訳] conduction electron
伝導電子とは、物質(主に金属)において、電気伝導を担う電子のことを指す。半導体においては、伝導帯にある電子のことも伝導電子と呼ぶ(半導体において単に「電子」と言う場合、多くは伝導電子の意味になる)。価電子帯に存在する電子は、絶対温度とボルツマン定数の積に値するエネルギーを受け、このエネルギーがバンドギャップより大きい場合、価電子帯上端付近の電子が伝導帯へと励起され、この電子が伝導電子として振舞うことになる。金属においては、フェルミ準位が伝導帯内に存在するため、この熱的励起のエネルギーが非常に小さくともフェルミ準位以上のエネルギー帯域に電子が存在することになる。強く束縛を受けない伝導電子を自由電子と呼ぶ。

電流効率(視感効率)
[よみがな] でんりゅうこうりつ
[英訳] current efficiency
電流効率(視感効率)は正面輝度の電流密度に対する比である(cd/A)。比視感度を含むため同じ発光波長の素子間でしか比較できないが、電圧を含まないため発光材料自体の特性の評価や、一般に駆動電圧に深く関係する電極材料や積層構造の最適化を、電圧の影響を除いて考えることができる。

電流密度
[よみがな] でんりゅうみつど
[英訳] current density
電流密度は、単位面積に垂直な方向に単位時間に流れる電気量のことであり、電気量についての流束である。 単位は一般には A/m2 であるが、有機半導体の分野では慣用的にmA/cm2を用いることも多い。

電力効率
[よみがな] でんりょくこうりつ
[英訳] power efficiency
電力効率は全出力光束の投入電力に対する比である(lm/W)。ディスプレイや光源の評価に用いられる。しかし、ランバシアンの仮定と比視感度の両方が入っていることに注意が必要である。

導電性高分子(導電性ポリマー)
[よみがな] どうでんせいこうぶんし
[英訳] conductive polymer
導電性高分子または、導電性ポリマーとは、電気伝導性の高い高分子化合物の呼称である。代表的な物質としてはポリアセチレン、ポリチオフェン類などが挙げられる。性質は導体というより半導体であり、高分子半導体などと呼ぶ場合もある。

導電率
[よみがな] どうでんりつ
[英訳] conductivity
物質中における電気伝導のしやすさを表す物性量である。単位はS/mである。

透明OLED
[よみがな] とうめいおーえるいーでい
[英訳] transparent OLED
陽極・陰極ともに透明電極を用いるOLEDのことを指す。例えば、ディスプレイを透明OLEDとした場合、観察者は、ディスプレイに表示される画像とともに、ディスプレイの背後にある物体を見ることもできる(シースルー性)。透明OLEDディスプレイを例えばショーウィンドウに用いた場合、商品の現物とともに商品の説明をディスプレイに表示させることができる。

透明電極
[よみがな] とうめいでんきょく
[英訳] transparent electrode
透明電極とは電子機器に使用される電極であり、高い透明性と高い伝導性を併せ持つ特徴を有する。液晶ディスプレイや有機EL、タッチパネル、有機太陽電池などの電子表示装置に使用される。 いずれも化合物半導体の一種で従来は酸化インジウムスズが使用されてきたが、資源の高騰により、近年では代替素材の開発が進められ、酸化亜鉛、酸化スズ等が開発されつつある。他にポリアニリンやグラフェン等の有機材料の開発も進められている。

透明電極基板
[よみがな] とうめいでんきょくきばん
[英訳] transparent electrode substrate
透明電極が形成された基板のこと。一般的には、透明性と平滑性、低い線膨張係数の観点から、ホウ珪酸ガラスを基板に用いることが多い。有機EL の実験に用いるITO(Indium-Tin Oxide)透明電極基板は、面抵抗10~100Ω/ □のガラス基材品が比較的入手しやすく、初期特性評価などに用いられている。

ドーパント
[よみがな] どーぱんと
[英訳] dopant
ドーパントとは、半導体にドーピング(混合)される不純物のことを指す。有機半導体層内に電子あるいは正孔を生じさせるために混合するn-ドーパントやp-ドーパントの他、発光中心として有機層内に混合するなど、目的に応じてドーパントの種類も変わる。

ドーピング
[よみがな] どーぴんぐ
[英訳] doping
ホスト材料中にゲスト材料を添加すること。ドープされた分子は、ドーパントやゲストと呼ばれる。ドーパントは発光中心や、電荷発生、素子の長寿命化などの役割を果たし、素子の性能向上に寄与する。

トップエミッション構造
[よみがな] とっぷえみっしょんこうぞう
[英訳] top emission structure
有機ELパネルのデバイス構造の一種で、ボトムエミッションが基板を通過して有機EL素子の光を取り出すのに対して、トップエミッションは基板を通過せず、有機EL素子の光を基板表面側に取り出す構造である。この構造はTFTアレイ上に有機EL素子を形成後、発光層の上に透明電極を成膜する。TFTの数やレイアウトによらず高い開口率(画素面積に対する発光面積の割合)を保てるため高精細化に有利である。

トップゲート型
[よみがな] とっぷげーとがた
[英訳] top gate type
有機トランジスタの代表的な構造の一つで、支持基板上に先に有機半導体層を成膜し、その“上(トップ)”にゲート絶縁膜、ゲート電極を配する構造は「トップゲート型」と呼ばれる。

トップコンタクト型
[よみがな] とっぷこんたくとがた
[英訳] top contact type
有機トランジスタの代表的な構造の一つで、有機半導体層の上面にソース/ ドレイン電極を配する構造を「トップコンタクト型」と呼ぶ。

ドライビングTFT
[よみがな] どらいびんぐTFT
[英訳] Driving TFT
アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイにおいて、有機EL画素の発光輝度(電流値)を制御するためには、最低2つのトランジスタが必要であり、その2つのトランジスタは役割によってスイッチングトランジスタとドライビングトランジスタと呼ばれる。ドライビングトランジスタは、一定の電流を有機EL素子に流す機能を果たす。ちなみに、電流を流す電力源としてキャパシタも必要であり、1ピクセルあたりの最低の回路構成は2トランジスタ、1キャパシタである。

ドリフト移動度
[よみがな] どりふといどうど
[英訳] drift mobility
半導体中において、電界のみが印加されたときに生じるキャリア移動の指標であり、ドリフト電流(→キャリアドリフト)に対してもとめられる移動度。キャリアは電界によって加速されるが、不純物原子などに衝突を繰り返すことによってドリフト速度とよばれる平均速度になる。このドリフト速度は電界に比例し、この比例定数をドリフト移動度とよぶ。

ドリフト電流
[よみがな] どりふとでんりゅう
[英訳] drift current
物性物理学や電気化学においてドリフト電流とは、電場が与えられたことで生じる電流または電荷キャリアの移動のこと。半導体材料に電場が与えられると、電荷キャリアの流れにより電流が生じる。 ドリフト電流中の電荷キャリアの平均速度はドリフト速度と呼ばれる。ドリフト速度とドリフト電流は移動度により特徴づけられる。 ドリフト電流、拡散電流、キャリア生成と再結合は、ドリフト-拡散方程式によって関連付けられる。

ドレイン電極
[よみがな] どれいんでんきょく
[英訳] drain electrode
電界効果トランジスタ(FET)を構成する電極の一つで、キャリアを吸収する(キャリアが流れていく出口となる))役割を担う。

ドレイン電流―ゲート電圧特性
[よみがな] どれいんでんりゅうーげーとでんあつとくせい
[英訳] drain current-gate voltage characteristics
伝達特性とは、ドレイン電流が飽和領域となるドレイン電圧印加条件下で、ドレイン電圧を一定に保ち、ゲート電圧を走査した電流―電圧特性である。

ドレイン電流−ドレイン電圧特性(静特性)
[よみがな] どれいんでんりゅうーどれいんでんあつとくせい
[英訳] drain current-drain voltage characteristics
静特性評価とは、ゲート電圧をある一定値にしておき、ドレイン電圧を走査しその時のドレイン電流を測定し、そのドレイン電流のゲート電圧依存性を評価したものである。

トンネル効果
[よみがな] とんねるこうか
[英訳] tunneling effect
トンネル効果、量子トンネル、またはトンネリングとは、非常に微小な世界において発生する物理現象であり、粒子が、ポテンシャル障壁を貫通し、あたかもトンネルを抜けたかのように反対側に現れる現象である。古典力学では説明できない現象であり、ハイゼンベルクの不確定性原理と、物質における粒子と波動の二重性を用いて説明することができる。例えば、電極と有機半導体の界面において、ショットキー接合が形成された場合、この接合を超えて電荷を注入するためには、ショットキー障壁を超える必要が一般にあるが、ショットキー障壁が非常に薄い領域に形成されている場合、電荷は障壁を超えずともトンネル効果によって注入されることが知られている。

内蔵電場 / 内蔵電位(拡散電位)
[よみがな] ないぞうでんば / ないぞうでんい
[英訳] built‐in electric field / built-in potential
半導体のpn接合においては、接合部で電子と正孔が再結合することにより消滅するため、接合部付近にキャリアの少ない領域(空乏層)が形成される。また、接合の両側では電子と正孔の密度が異なるため、拡散電流が流れる。空乏層のn型側では、本来存在する伝導電子が不足する一方で正電荷をもつドナーイオンが固定されているため正に帯電する。空乏層のp型側では、本来存在する正孔が不足する一方で負電荷をもつアクセプターイオンが固定されているため負に帯電する。その結果、空乏層は正に帯電した層と負に帯電した層が重なり合った電気二重層を形成し、内蔵電場が生じる。内蔵電場によって発生する静電ポテンシャルの差を拡散電位または内蔵電位と言う。内部電場は電子をn型領域へ正孔をp型領域へ引き戻そうとする。内蔵電場の発生によってドリフト電流も発生する。熱平衡状態では正味の電流はゼロであり、拡散電流とドリフト電流は釣り合っている。よってpn接合全体のフェルミ準位(化学ポテンシャル)は一定となる。

内部電界
[よみがな] ないぶでんかい
[英訳] inner electric field
有機EL素子の内部電界は、注入されたホールが、ホール輸送層と発光層の界面に蓄積することで形成されると考えられる。この電界は電子を注入する向きに形成され、ホールと比べて注入も移動しにくい電子を界面に導き、キャリア注入バランスを向上させて、外部量子効率を向上させると考えられる。

内部転換
[よみがな] ないぶてんかん
[英訳] internal conversion
最低励起一重項状態から、基底状態の高い振動順位を経て基底状態の最低順位へと無輻射遷移することを内部転換という。

内部量子効率
[よみがな] ないぶりょうしこうりつ
[英訳] internal quantum efficiency
内部量子効率(ηφ(int))は次式で定義される有機ELの性能を示す重要な指標である。ηφ(ext) = (発生したフォトン数) / (素子に注入したキャリア数) x 100。

二層型構造(シングルヘテロ構造)
[よみがな] にそうがたこうぞう
[英訳] double layer structure
有機層2層からなるデバイス構造。1987年に報告された最初の高効率有機EL素子の基本的なコンセプトであり、ホール輸送層と電子輸送兼発光層から成っていた。その後、さらに機能分離を進め、多層化することによってデバイス性能が向上している。

熱活性化遅延蛍光
[よみがな] ねつかっせいかちえんけいこう
[英訳] Thermally Activated Delayed Fluorescence( TADF)
熱活性化遅延蛍光(TADF)とは、最低三重項励起状態(T1)から最低一重項励起状態(S1)へ熱的に励起されることで逆項間交差(Reverse intersystem crossing: RISC)を起こし、遅れて生成したS1状態から観測される蛍光である。TADFを応用することで重原子を用いることなく高い発光量子収率を達成することができるため、有機エレクトロルミネッセンス(EL)を利用した有機発光ダイオード(OLEDs)への応用が期待されている。

熱失活
[よみがな] ねつしっかつ
[英訳] heat inactivation
有機材料において、励起状態から発光を伴わずに分子振動など熱によって基底状態に戻る非放射失活のこと。三重項励起子は従来、熱として失活することが多かったが、近年では燐光として取り出したり、一重項励起に転換し直して光として取り出したりする工夫がされ、大幅な発光効率の向上に結び付いている。

ネマチック液晶相
[よみがな] ねまちっくえきしょうそう
[英訳] nematic liquid crystal phase
棒状分子が一次元に配向しており、個々の分子は長軸方向に比較的自由に移動できる状態にある液晶状態。最も柔らかい部類の液晶相であり、流動性が大きく粘度が小さいことが知られている。ネマティック液晶分子として、シアノビフェニル系などの誘電率異方性(Δε)の大きい棒状分子を用いることで、電場による分子配向の高速制御が可能となる。

濃度消光
[よみがな] のうどしょうこう
[英訳] concentration quenching
発光層中の発光材料の濃度が高くなると、発光材料分子間の相互作用により発光効率が極端に低下する現象を濃度消光と呼ぶ。

配位
[よみがな] はいい
[英訳] cordination
結晶中の一つの原子を近接の電子が取り巻くこと、原子またはイオンのまわりに原子、分子、またはイオンが配列することをいう。狭義には、錯体における配位子のように、比較的強い化学結合の存在する場合をいい、配位子の数を配位数という。

配位子
[よみがな] はいいし
[英訳] ligand
配位子とは、金属に配位する化合物をいう。配位子は孤立電子対を持つ基を有しており、この基が金属と配位結合し、錯体を形成する。

配位子場
[よみがな] はいいしば
[英訳] ligand field
配位子が中心金属イオンの電子に及ぼす静電場、および配位子の分子軌道がつくる場のことを指す。

π共役高分子(π共役ポリマー)
[よみがな] ぱいきょうやくこうぶんし
[英訳] π-conjugated polymer
π共役高分子は、二重結合と単結合が交互につながった構造を持ち、その主鎖上をπ電子が自由に動き回ることができるため、従来の高分子(ポリマー)にはない導電性や発光性などの特異的な性質を有している。そのため、トランジスタ、EL(エレクトロルミネッセンス)、太陽電池などの電子デバイスの材料として注目されている。

π結合エネルギー
[よみがな] ぱいけつごうえねるぎー
[英訳] πbinding energy
結合エネルギーとは,分子や結晶を構成する原子が、ばらばらの状態で存在する原子との間のポテンシャルエネルギーの差をいう。結合エネルギーは、分子の持つ全結合を切断するためのエネルギーの総和となる。炭素-炭素間の結合エネルギーでは、エタン(331kJ/mol)、エチレン(591kJ/mol)、アセチレン(827kJ/mol)と単結合より二重結合の方が、二重結合より三重結合の方が大きいが、エチレンとエタンのエネルギー差は260kJ/mol、アセチレンとエチレンのエネルギー差は236kJ/molと、どちらも単結合であるエタンの結合エネルギーより小さい。これは、パイ結合の結合エネルギーはシグマ結合の結合エネルギーより小さいことを意味する。一般的に,多重結合を持つ多くの化合物は,単結合の化合物より反応性が大きい。これは,パイ結合のエネルギーがシグマ結合のエネルギーより低いうえに,攻撃試薬がシグマ結合の電子よりパイ結合の電子に近づきやすいためと考えられている。なお,分子中の結合を一つ一つ切断するのためのエネルギーは,結合解離エネルギーという。

π電子共役系
[よみがな] ぱいでんしきょうやくけい
[英訳] π-electron conjugated system
単結合と二重結合が交互に連なった分子構造を持つ有機化合物、あるいはその共役構造のことを指す。二重結合と単結合が交互に並んだ分子では、二重結合のπ結合の電子は、二重結合の部分だけに存在するのではなく、単結合部分や別の二重結合の部分にも存在しうる非局在化が一般に生じている。このようなとき、分子がπ電子共役系をもつという。分子軌道法の観点からは,ベンゼンを例にとると,6個の炭素原子の2pz軌道から形成されるπ軌道に6個のπ電子が入っていると考える。有機半導体はπ電子共役系を基本骨格としており、特別な光・電子物性を発現するベースとなっている。

π電子系化合物
[よみがな] ぱいでんしけいかごうぶつ
[英訳] π-electron system compound
π電子系化合物は、その分子骨格に共役したπ電子系を持ち、そのπ電子系に基づいて特異な電子的、光学的、および磁気的特性を発現する。これまでに、環状炭化水素、アヌレン、複素環式化合物、およびそれらのカチオン種やアニオン種など、様々な構造をもつπ電子系化合物が合成された。これらπ電子系化合物がもつ電子的、光学的物性に着目し、これらを巧みに利用することで、有機トランジスタ(OFET)、有機EL(OLED)、および有機系太陽電池(OPV、 DSSC、ペロブスカイト太陽電池)など、有機エレクトロニクスの開発研究が急速に発展している。

パウリの排他原理
[よみがな] ぱうりのはいたげんり
[英訳] Pauli exclusion principle
パウリの排他原理とは、2つ以上のフェルミ粒子(電子、陽子、中性子など)は、同一の量子状態を占めることはできない、という原理である。1925年にヴォルフガング・パウリによって提唱された。パウリの定理、パウリの排他律、パウリの禁制、パウリの禁則などとも呼ばれる。

薄膜トランジスタ
[よみがな] はくまくとらんじすた
[英訳] Thin Film Transistor (TFT)
薄膜トランジスタは、電界効果トランジスタの1種で、基本的に三端子素子である。主に液晶ディスプレイ に応用されている。

パッキング構造
[よみがな] ぱっきんぐこうぞう
[英訳] packing structure
パッキングとは、固体や薄膜中で分子がどのように集合しているかを表す用語である。定義は曖昧である。例えば、π電子をもつ芳香環同士が重なっているπーπスタッキングなどの集合状態などが一例である。結晶などの長距離秩序をもつ集合体の分子間の重なりを指す場合もあるし、アモルファス薄膜内における短距離秩序における分子間の配向や重なりなどを指す場合もある。

バックプレーン
[よみがな] ばっくぷれーん
[英訳] backplane
バックプレーンとは、一般に、電子機器内部の回路基板の一種で、基板などを挿入する複数のコネクタ間の通信や電源供給を行うためのもの。有機ELディスプレイにおいては、ガラス基板上にトランジスタや電極配線、絶縁膜などを形成した基板を指すことが多い。有機EL以降の工程(フロントプレーンとも呼ばれる)を開始できる状態の基板のことで、有機ELの片側の電極(通常陽極)までが形成されたものを指すことが多い。

発光開始電圧
[よみがな] はっこうかいしでんあつ
[英訳] light emission start voltage
有機ELにおいて発光が開始される電圧のこと。よく設計された有機ELデバイスにおいては、発光材料の光学的エネルギーギャップ(eV)に相当する電圧付近で発光が始まる。それより低い電圧では、電流が流れても発光しない。発光開始電圧以上で、電圧上昇に対する電流の増え方が急になり、電流の量に応じて発光するようになる。

発光過程
[よみがな] はっこうかてい
[英訳] light emission process
有機ELの発光過程は、陰極および陽極に電圧をかけることにより各々から電子と正孔を注入する。注入された電子と正孔がそれぞれの電子輸送層・正孔輸送層を通過し、発光層で結合する。結合によるエネルギーで発光層の発光材料が励起される。その励起状態から再び基底状態に戻る際に光を発生する。励起状態(一重項)からそのまま基底状態に戻る発光が蛍光であり、一重項状態からややエネルギー準位の低い三重項状態を経由し基底状態に戻る際の発光を利用すれば燐光である。励起しても光に上手く利用できないエネルギーは無放射失活(熱失活)する。

発光効率
[よみがな] はっこうこうりつ
[英訳] luminous efficacy
光源に与える電力(W=ワット)に対し、光源から発する全光束(lm=ルーメン)の効率を評価する指標で、ランプ効率と呼ばれることもある。単位は、電力あたりの全光束を示すlm/Wを用いる。

発光材料
[よみがな] はっこうざいりょう
[英訳] emitting material
一般には発光性の有機材料のことを指す。狭義には、有機ELにおいて、デバイスの発光を担う材料のことを指す。

発光寿命
[よみがな] はっこうじゅみょう
[英訳] emission lifetime
蛍光やリン光の寿命のこと。電子励起状態の重要な性質で、発光寿命から励起状態の電子構造スピン状態を明らかすることができ、励起状態がエネルギーを失うメカニズムに関係する。蛍光寿命は5ns(1ns=10のマイナス9乗秒)以下なのに対し、リン光寿命は1ns以下のものもあれば1sを越えるものもある。

発光スペクトル
[よみがな] はっこうすぺくとる
[英訳] emission spectrum
原子や分子が、エネルギーの高い励起状態から低い状態へ遷移するときに放射する、電磁波のスペクトルの総称。

発光性励起子
[よみがな] はっこうせいれいきし
[英訳] luminous exciton
発光に関与する励起子のこと。以前は、一般に一重項励起子のこと(一重項励起子を参照)を指したが、最近は三重項からの発光も広く活用されている。

発光性励起子生成効率
[よみがな] はっこうせいれいきしせいせいこうりつ
[英訳] luminous exciton production efficiency
発光に関与する励起子の生成効率のこと。以前は、一般に一重項励起子の生成効率(一重項励起子を参照)を指したが、最近は三重項からの発光も広く活用されている。

発光層(EML)
[よみがな] はっこうそう
[英訳] Emitting Layer
多層型の有機ELにおいて、発光を担う有機層のことを指す。

発光ダイオード
[よみがな] はっこうだいおーど
[英訳] Light Emitting Diode (LED)
発光ダイオードはダイオードの一種で、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子である。ここでは、無機半導体を用いる発光ダイオードについて記載する。無機の発光ダイオードの発光領域は、半導体を用いたpn接合で作られ、発光はこの中で電子の持つエネルギーを直接光エネルギーに変換することで行われる。電極から半導体に注入された電子と正孔は異なったエネルギー帯(伝導帯と価電子帯)を流れ、pn接合部付近にて禁制帯を越えて再結合する。再結合時に、バンドギャップ(禁制帯幅)にほぼ相当するエネルギーが光として放出される。放出される光の波長は材料のバンドギャップによって決められ、赤外線領域から可視光線領域、紫外線領域まで様々な発光が得られるが、基本的に単一色で自由度は低い。ただし、青色、赤色、緑色(光の三原色)の発光ダイオードを用いることであらゆる色(フルカラー)が表現できる。

発光波長
[よみがな] はっこうはちょう
[英訳] emission wavelength
LEDなどの発光体から発せられる光の波長であり、発光波長を強度とともに表示したものは、発光スペクトルと呼ばれる。単位はnm(ナノメートル)。スペクトルの強度が一番高い波長をピーク波長という。

発光量子収率
[よみがな] はっこうりょうししゅうりつ
[英訳] emission quantum yield
発光量子収率とは、物質が吸収した光子のうち、蛍光あるいはリン光として放出される光子の割合を表すもので、 量子収率が高いほど発光効率が良く、発光強度が強いことになる。

パッシブマトリクス駆動(単純マトリクス駆動)
[よみがな] ぱっしぶまとりくすくどう
[英訳] passive matrix drive
液晶パネルや有機ELパネルの駆動方式の一つで、格子状に張り巡らされた導線の各交点に画素を置き、縦横の両方が通電している画素を点灯させる方式。互いに直行するX軸、Y軸の二方向に画素数と同じ本数の導線が引かれ、両者に挟まれる形で交点に各画素が並んでいる。両軸ともいずれか一本を選んで通電することにより、その交点にある素子の点灯状態を制御することができる。構造が単純で低コストだが、選択した画素の周囲の画素にもわずかに電圧がかかり影響を受けてしまうため、にじみや乱れが生じやすく、コントラストも低い。

バッファ層
[よみがな] ばっふぁそう
[英訳] buffer layer
有機ELデバイスや有機薄膜太陽電池などの有機半導体デバイスにおけるバッファ層とは、金属電極と有機化合物層の間に置かれる層で、無機電極の仕事関数と有機層のイオン化ポテンシャルを近づけて、電子やホールといったキャリアが電極から有機層へ注入される際の障壁を低減させる役割を担う。

波動関数
[よみがな] はどうかんすう
[英訳] wave function
広い意味では波動現象を記述する関数をいうが、量子力学におけるものを指すことが多い。量子力学では、電子、光子などの微粒子は粒子的性質と波動的性質の両方をもっていて、そのふるまいは波動関数によって表されると考える。波動関数は波動方程式(シュレーディンガー方程式)に従い、粒子の種類やその粒子がどのような条件の下におかれているかによって定まる。

バルクヘテロ接合
[よみがな] ばるくへてろせつごう
[英訳] bulk heterojunction
有機太陽電池のバルクヘテロ接合とは、電子受容性(アクセプター性)と電子供与性(ドナー性)の有機半導体分子を混ぜ合わせたブレンド膜内において、アクセプター性とドナー性分子が接合している状態を指す。アクセプター性とドナー性分子をそれぞれ単独膜として接合させた場合(シングルヘテロ接合)に比べて広い電荷分離界面(アクセプター性とドナー性分子の界面)を有することができる。また、数十nmレベルで相分離した混合層となることで、励起子を効率良く電荷分離界面に到達させることが可能である。

バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池
[よみがな] ばるくへてろせつごうがたゆうきはくまくたいようでんち
[英訳] bulk hetero junction organic solar cell
バルクヘテロ接合の構造を有する有機薄膜太陽電池のこと。

反射電極
[よみがな] はんしゃでんきょく
[英訳] reflective electrode
有機EL素子において、内部で生じた発光を反射する電極。ボトムエミッション型では、基板と逆側に配置され、トップエミッション型では基板上に配置される。反射率が低いと光損失があるため、反射電極の材質は、一般にアルミ系か銀系が用いられる。

バンドギャップ
[よみがな] ばんどぎゃっぷ
[英訳] band gap
結晶のバンド構造における、禁制帯のエネルギー幅。価電子帯の上部から伝導帯の下部までのエネルギーの差を指す。この幅が広いと絶縁体、狭いと半導体になり、かつ半導体の特性を左右する。有機半導体においては、主にHOMO-LUMOのエネルギー差を指すことが多い。光吸収などで光学的に測定した値と、サイクリックボルタンメトリーなどの電気化学的手法で測定した値で差がでることも多く、観測手法などの明示が必要となる。

バンド構造
[よみがな] ばんどこうぞう
[英訳] band structure
バンドとは、エネルギー差が非常に小さい数多くのエネルギー準位の集まりを、エネルギー的に連続であると見なしたもの。例としてN個の炭素原子から成るダイアモンド結晶中の電子のバンド構造を考える。もし炭素原子同士が互いに遠く離れていた場合、それぞれの炭素原子は同じエネルギーのs軌道とp軌道をもつ(縮退)。炭素原子が互いに近づくと軌道が重なり、異なるエネルギーを持つN個の軌道に分裂する。 Nは非常に大きい数であるため分裂したエネルギーの間隔は非常に狭く、連続的な帯状であると見なすことができる。これをエネルギーバンドまたは単にバンドと呼ぶ。 原子間距離では、価電子帯と伝導帯と呼ばれる2つのバンドを作る。それぞれ化学結合における結合性軌道と反結合性軌道に対応する。エネルギー的に隣り合うバンドのエネルギー差(エネルギーギャップ)はバンドギャップと呼ばれる。ダイアモンドの伝導帯と価電子帯のバンドギャップは5.5 eVである。バンドギャップにはエネルギー準位は存在しない。

バンド伝導
[よみがな] ばんどでんどう
[英訳] band conduction
シリコンなどのエネルギーバンドを形成する半導体における電荷の伝導機構を指す。シリコン中の電荷は、個々のシリコン原子に束縛された「粒子」ではなく、シリコン結晶の全体に拡がった「波動」としての性質をもち、電気伝導のメカニズムは、ちょうど水面を波が拡がっていくように、連続的な波動の伝播として説明することができる。有機半導体の中でもルブレンの単結晶は、シリコンの場合と同じように、分子の枠を超えて拡がった「波動」としての伝導電荷が実現することが明らかになっている。「波動」的な電荷は、結晶を構成する個々の原子に属することなく、広い範囲に拡がって存在しているため、電気伝導は連続的になり、速く移動することが可能になる。

バンド理論
[よみがな] ばんどりろん
[英訳] band theory
束縛状態の電子が取りうるエネルギー準位は、特定の準位のみに限定され飛び飛びに(離散的に)なる。一方、固体中の外殻電子は、隣接する原子と電子との相互作用により、電子の取りうるエネルギー準位の幅が広がって連続的(バンド構造)になる。これがバンド理論である。一方で、電子が取りえないエネルギー準位も依然として存在し、バンドとバンドの間の空隙(ギャップ)となる。これをエネルギーバンドギャップという。エネルギーバンドの特徴は、絶縁体と金属の違いを説明することができる。絶縁体や半導体では、フェルミ準位は価電子帯と伝導帯の間のギャップの中に存在するため、自由電子が存在しない。一方、金属はエネルギーバンドの中にフェルミ準位が存在するため、バンドギャップを超えることなく電子がエネルギーを得ることができる、すなわち、わずかなエネルギーで電子を動かし、電流を流すことができる。

PN接合
[よみがな] ぴーえぬせつごう
[英訳] pn junction
pn接合とは、半導体中でP型半導体の領域とN型半導体の領域が接している部分を言う。整流性、エレクトロルミネセンス、光起電力効果などの現象を示す。

pn接合型有機薄膜太陽電池
[よみがな] ぴーえぬせつごうがたゆうきはくまくたいようでんち
[英訳] pn junction organic solar cell
電子受容性(アクセプター性、n型)分子と電子供与性(ドナー性、p型)分子を接合させた構造を持つ有機薄膜太陽電池のことを指す。同種(ホモ)分子間の接合ではなく、異種(ヘテロ)分子間の接合をベースとすることから、ヘテロ接合型と呼ばれることもある。電子受容性分子の単独膜と電子供与性分子の単独膜を接合させたシングルヘテロ接合構造と電子受容性分子と電子供与性分子を混合したバルクヘテロ接合構造などがある。

p型半導体
[よみがな] ぴーがたはんどうたい
[英訳] p-type semiconductor
p型半導体とは、正孔(ホール)が多数キャリアとして電荷を運ぶ半導体である。正の電荷を持つ正孔が移動することで電流が生じる。例えば、シリコンなど4価元素の真性半導体に、微量の3価元素(ホウ素、アルミニウムなど)を添加することでつくられ、不純物半導体に分類される。P型半導体をつくる為の添加物をアクセプタといい、この添加物によって形成された準位をアクセプタ準位と呼ぶ。正( positive)の電荷を持つ正孔が多数キャリアであることから、英語の頭文字をとってp型半導体と呼ばれる。有機半導体におけるp型半導体は、一般に電子ドナー性のπ電子系有機化合物のことを指し、HOMOが真空準位に対して浅いエネルギー準位に位置し、電子を他の分子などに与えやすい性質を特徴とする。p型有機半導体は、電子を与えた後にラジカルカチオン(正の荷電体)となり、これが有機半導体の正孔として機能する。

ピーク波長
[よみがな] ぴーくはちょう
[英訳] peak wavelength
吸収スペクトルや発光スペクトルにおいて、強度が極大あるいは最大となる波長のことを指す。例えば、有機ELの発光においては、極大波長で発光スペクトルを代表させることなどに使われる。

pチャネルトランジスタ
[よみがな] ぴーちゃねるとらんじすた
[英訳] p-channel transistor
電界効果トランジスタのドレイン・ソース間の電流が流れる領域をチャネルという。p型チャネルでは正電荷を帯びた正孔がキャリアとなる。これに対し、n型チャネルでは負電荷を帯びた電子がキャリアとなる。

光電荷分離
[よみがな] ひかりでんかぶんり
[英訳] photocharge separation
光電荷分離は、ある中性分子に光を照射したときに生じる光励起状態から、電子アクセプター分子あるいは電子ドナー分子との間で電子移動が起き、大きな化学エネルギーをもつ陽イオン−陰イオン対(これを電荷分離状態と呼ぶ)を生成する反応である。

光伝導性
[よみがな] ひかりでんどうせい
[英訳] photoconductivity
半導体や絶縁体に短波長の光を照射し、物質内部の伝導電子が増加して電気伝導率が増加する物質の性質を光伝導性(光導電性)あるいは内部光電効果と呼ぶ。半導体や絶縁体において、価電子帯や不純物準位などにある電子が光子のエネルギーを吸収すると伝導帯などへ励起される。この励起された電子を光電子と呼ぶ。これによって伝導電子や正孔が増加し、導電性が増す。この性質を光伝導性(光導電性ともいう)。この時の電気伝導率の増加刄ミは、キャリアの電荷を e、キャリアの寿命を τ、移動度を μ、体積・時間あたりの光子数を f、1光子あたりに生じるキャリア数(量子効率)を η として、刄ミ=eτμηf で表される。この効果は半導体のみならず、酸化物や硫化物、有機物など非常に多様な物質で見られる。

光電流
[よみがな] ひかりでんりゅう
[英訳] photocurrent
物質が光を吸収して可動な電荷が発生し、その電荷が伝導することによって生じる電流のことを指す。有機半導体においては、紫外〜可視光を吸収して励起子(分子内で正と負の電荷が生じた状態)が生成し、電界等によって正孔と電子に分離して自由電荷となる。この正孔 and / or 電子が電界に応じて伝導することで光電流として観測される。

光取出し過程
[よみがな] ひかりとりだしかてい
[英訳] emission extraction process
有機ELにおいて、有機層中の発光を空気中へ取り出す過程のこと。有機層の屈折率は1.7近辺であり、屈折率1.0の空気中に取り出す過程において、大部分の光は屈折率の界面で全反射して失われてしまう。

光取出し効率
[よみがな] ひかりとりだしこうりつ
[英訳] light-extraction efficiency
光取出し効率は、有機層中で発生した光が光取り出し面から空気中へ取り出される割合である。一般に有機EL 素子からの光取り出しの効率は、20%程度と考えられている。光取り出し効率を高めるために、これまでにさまざまな手法が検討されてきたが、決定的な解決策は見つかっておらず最も大きな課題の一つである。

ピクセル(画素)
[よみがな] ぴくせる(がそ)
[英訳] pixel
コンピュータで画像を扱うときの色情報 (色調や階調) を持つ最小単位、最小要素。しばしばピクセルと同一の言葉として使われるドットとは、後者が単なる物理的な点情報であることで区別される。例えばディスプレイにおいて320×240ピクセルの画像を100%表示すれば320×240ドットとなるが、200%表示ならば640×480ドットとなる。

比視感度
[よみがな] ひしかんど
[英訳] luminosity function, or photopic luminous efficiency function
比視感度とは、ヒトの目が光の各波長ごとの明るさを感じる強さを数値で表したものである。明るい場所に順応したときに、ヒトの目が最大感度となる波長での感じる強さを "1" として、他の波長の明るさを感じる度合いをその比となるよう、1以下の数で表したものである。明るい所では555nm付近の光を最も強く感じ、暗いところでは507nm付近の光を最も強く感じるとされる。標準比視感度とは、国際照明委員会(CIE)と国際度量衡総会では、ヒトの比視感度の平均から世界標準となる「標準比視感度」が規定された。標準比視感度には「明所視標準比視感度」と「暗所視標準比視感度」がある。特に断らない場合は、視感度といえば明るい環境でのヒトの目の感じ方である明所比視感度のことを指す。

微小共振器EL
[よみがな] びしょうきょうしんきいーえる
[英訳] microcavity EL
微小共振器構造を持つ有機ELのこと。有機ELは、2つの電極に挟まれており、透明電極であっても、屈折率の差が大きいために、有機層と電極の界面では反射成分がある。有機層側に反射された光は、有機層内の光と干渉する。有機EL素子の膜厚は一般に光の波長のオーダーであり(100nm-200nm)、比較的強い光干渉が内部で起こる。透明電極を反射率が高い半透明電極とすれば、この光干渉がより強くなり、デバイス全体として微小共振器として設計可能である。

微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)
[よみがな] びしょうきょうしんきこうぞう
[英訳] microcavity structure
光共振器とは、特定の間隔の対向する鏡面によって一定の波長の光のみを選別する機能を有する素子である。閉じ込める次元の数により、3次元共振器(箱、ドット)、2次元共振器(細線)、1次元共振器(面、薄膜)と区別される。特に、この特性長を発光波長のオーダーにまで小さくし、発光媒体自身を共振器内部に置い たものを微小共振器と呼ぶ。発光波長のオーダーの特性長の共振器構造では、共振の生じるそれぞれの波長の間隔が十分に広くなり、素子内部で発生する発光を共振構造により制御して素子外部に取り出すデバイスがきわめて効果的に実現できる。

非輻射緩和(非放射緩和)
[よみがな] ひふくしゃかんわ(ひほうしゃかんわ)
[英訳] non-radiative relaxation
励起状態から基底状態に戻る際に、光でなく熱を放出してエネルギーが緩和されること。

比誘電率
[よみがな] ひゆうでんりつ
[英訳] relative permittivity
比誘電率とは、媒質の誘電率と真空の誘電率の比 ε / ε0 = εrのことである。比誘電率は無次元量であり、用いる単位系によらず一定の値をとる。

ヒュッケル近似の分子軌道法(HMO法)
[よみがな] ひゅっけるきんじのぶんしきどうほう
[英訳] Huckel's molecular orbital method
量子論を化学に応用してみると、それまで不可解であったさまざまな現象に 説明を付けることできる。分子の電子の状態を量子論的に計算することは一般には大計算であるが、 1931年にE.Huckel が考案したHuckel 近似を用いると、その大雑把な近似にも関わらず、分子の電子状態の定性的振舞を比較的簡単に 知ることができる。ヒュッケル法では電子に関する積分に対して以下のような近似を導入する。・重なり積分の値は同じ原子軌道同士では1、異なる原子軌道の間では0とする。・クーロン積分(ハミルトニアン行列の対角要素)の値は同じ種類の原子では等しいものとし、パラメータα によって表す・共鳴積分(ハミルトニアン行列の非対角要素)の間に結合を持つ原子間でのみ0でない値をもつとし、パラメータβによって表す。

表面プラズモン共鳴
[よみがな] ひょうめんぷらずもんきょうめい
[英訳] Surface Plasmon Resonance(SPR)
表面プラズモン共鳴(SPR)とは、固体あるいは液体中の電子が、固体あるいは液体に入射した光によって集団振動を誘導される現象、あるいは、その集団振動のことである。共鳴条件は、光量子(フォトン)の周波数が表面電子の自然周波数(原子・分子中で電子は、正電荷である原子核の復元力に対して周期的に振動している)と一致する時に達成される。ナノメートルサイズの構造におけるSPRは局在表面プラズモン共鳴と呼ばれる。SPRは平面的な金属表面(通常金や銀)あるいは金属ナノ粒子の表面に対する物質の吸着を測定するための多くの標準的手段の基礎である。

ピンチオフ
[よみがな] ぴんちおふ
[英訳] pinch off
トランジスタのゲート電極とソース電極の間に電位差があると、ソース電極から有機層内にキャリアが注入されてチャネルを形成する。チャネル内のキャリア数はドレイン電極に近づくにつれて少くなる。一方、ドレイン電極とソース電極間の電位差が大きくなるとチャネルはドレイン電極から次第に離れ、ついには完全に離れる。この完全に離れる点をピンチオフという。

ファンデルワールス結合
[よみがな] ふぁんでるわーるすけつごう
[英訳] van der Waals binding
電荷を持たない中性の原子あるいは分子が、主としてファンデルワールス力で凝集している場合を、化学結合の区分の一つとしてファンデルワールス結合と呼ぶ。永久双極子(双極子モーメント)を持つハロゲン化アルキルなど電荷的には中性であるが定常的に分極している物質の凝集も、必ずしも典型的なファンデルワールス力ではないが、ファンデルワールス結合の範疇に含める。それ故、ファンデルワールス結合の元になる分子間力という意味で、広義のファンデルワールス力が定義されることが多い。

ファンデルワールス力
[よみがな] ふぁんでるわーるすりょく
[英訳] van der Waals force
ファンデルワールス力は、原子、イオン、分子の間に働く力(分子間力)の一種である。ファンデルワールス力は、励起双極子やロンドン分散力などが元になって引力が働くと考えられている。すなわち、電荷的に中性で、かつ双極子モーメントがほとんどない無極性な分子であっても、分子内の電子分布は、定常的に対称で無極性な状態が維持されるわけではない。瞬間的には非対称な分布となる場合があり、これによって生じる電気双極子(双極子モーメント)が、同様にして出来た周りの分子の電気双極子同士と相互作用することによって凝集力を生じる。ファン・デル・ワールス力は最も弱い力であるが、それにも関わらず凝縮や凝集の過程、そして原子・分子物質の相挙動を支配する最も決定的な相互作用である。

封止
[よみがな] ふうし
[英訳] encapsulation
有機ELや有機太陽電池などの素子は大気暴露されないよう作製直後に封止を行う。封止は大気暴露のないグローブボックス内で行う。封止の方法は、例えば、UV光硬化樹脂を封止ガラスに塗布して基板と付け合わせ、硬化剤部位に沿ってUV光を照射することで封止ガラスを基板に接着し素子を封止する。

フェルスター機構(蛍光共鳴エネルギー移動)
[よみがな] ふぇるすたーきこう
[英訳] Forster Resonance Energy Transfer (FRET)
蛍光共鳴エネルギー移動とは、近接した2個の色素分子の間で励起エネルギーが、電磁波にならず電子の共鳴により直接移動する現象。このため、一方の分子で吸収された光のエネルギーによって他方の分子にエネルギーが移動し、受容体が蛍光分子の場合は受容体から蛍光が放射される。一重項励起子は、一般にこの機構でエネルギー移動する。

フェルミ準位
[よみがな] ふぇるみじゅんい
[英訳] Fermi level
電子などのフェルミ粒子が、相互作用がない状態で、絶対零度において有する化学ポテンシャルのことをフェルミエネルギーあるいはフェルミ準位と呼ぶ。金属など、フェルミ準位にエネルギー準位が存在する場合、絶対零度ではフェルミエネルギーより高いエネルギー準位の占有数は0となることから「零度におけるフェルミ粒子によって占められた準位のうちで最高の準位のエネルギー」と表現される。一方、半導体や絶縁体の場合、フェルミエネルギーは伝導帯と価電子帯の間のバンドギャップの中にあり、エネルギー準位が存在しない。真性半導体のフェルミエネルギーはバンドギャップのほぼ中央に位置するが、ドープ量が多くなると、フェルミエネルギーの位置はバンド端の近くになる。半導体におけるフェルミ準位は、ドーピングによってコントロールすることができる。p型半導体とn型半導体を接合させた界面においては、フェルミ準位をそろえるように、バンド構造が曲がる挙動を示すことから、フェルミ準位を理解することは半導体工学上重要である。

フォトダイオード
[よみがな] ふぉとだいおーど
[英訳] photodiode
フォトダイオードは光センサーと呼ばれるものの一部で、素子のPN接合部に光を照射すると電流や電圧が発生する。構造は一般のダイオードと同様に、P型半導体とN型半導体のPN接合で構成される。N型半導体には動きやすい電子が多いため、その一部がP型半導体に移動して正孔と結合し電荷を打ち消し合い、空乏層と呼ばれる領域がでる。空乏層のN型半導体では電子がなくなるので+に、P型半導体では正孔がなくなるので−に帯電し、内部電界が発生する。空乏層に光を照射すると、そのエネルギーを得て電子と正孔が発生し、内部電界により電子はN型半導体側の電極へ、正孔はP型半導体側の電極へ移動し電力が発生する。これを光起電力という。

フォトルミネッセンス
[よみがな] ふぉとるみねっせんす
[英訳] Photoluminescence
フォトルミネッセンス(PL)とは、物質に光を照射し、分子の電子状態を励起し、その励起した分子が基底状態に戻る際に発生する光のこと。

フォトン(光子)
[よみがな] ふぉとん
[英訳] photon
光子(フォトン)とは、光の粒子である。物理学における素粒子の一つであり、光を含む全ての電磁波の量子かつ電磁力の媒介粒子である。

フォノン
[よみがな] ふぉのん
[英訳] phonon
固体における格子振動の音波を量子化したときのエネルギー量子。P.J.W. Debye(デバイ)が固体の比熱が低温で0に近づくことを説明するのに使った概念。光波を量子化して光子とよんだように、結晶中の音波を量子化してフォノンとよんだ。現在は結晶ばかりでなく、固体中の原子の振動を量子化するときはすべてフォノンとよぶようになっている。フォノンは、光子と同様に生成や消滅をすることができ、質量は存在しない。振幅が大きくなる、つまり振動が激しくなることはフォノンの数が増えることで表される。比熱や熱伝導はフォノン間の相互作用として、金属の電気抵抗や低温での超伝導はフォノンと電子との相互作用として説明される。

輻射失活/無輻射失活
[よみがな] ふくしゃしっかつ/ むふくしゃしっかつ
[英訳] radiation deactivation / non-radiation deactivation
一重項励起状態から一重項基底状態へ戻る過程は、スピン反転を伴わないため許容となりスムーズに起こる。 その際、光を放出しながら戻る過程を輻射失活と呼ぶ。これに対し、熱を放出しながら戻る過程を無輻射失活と呼ぶ。また、一重項励起状態から一重項基底状態への輻射失活を蛍光と呼ぶ。

不純物半導体(外因性半導体)
[よみがな] ふじゅんぶつはんどうたい(がいいんせいはんどうたい)
[英訳] extrinsic semiconductor
不純物半導体または外因性半導体とは、純粋な真性半導体に不純物(ドーパント)を微量添加(ドーピング)した半導体のこと。ドーピングする元素により、キャリアがホール(正孔)のP型半導体と、キャリアが電子のN型半導体に分類される。N型とP型のどちらになるかは、不純物元素の原子価、その不純物によって置換される半導体の原子価によって決まる。 例えば原子価が4であるケイ素にドーピングする場合、原子価が5であるヒ素やリンをドーピングした場合がN型半導体、原子価が3であるホウ素やアルミニウムをドーピング場合がP型半導体になる。

フラーレン
[よみがな] ふらーれん
[英訳] fullerene
フラーレン は、閉殻空洞状の多数の炭素原子のみで構成されるクラスターの総称である。共有結合結晶であるダイヤモンドおよびグラファイトと異なり、数十個の原子からなる構造を単位とする炭素の同素体である。最初に発見されたフラーレンは、炭素原子60個で構成されるサッカーボール状の構造を持ったC60フラーレンである。

フラーレン誘導体
[よみがな] ふらーれんゆうどうたい
[英訳] fullerene derivative
フラーレンに置換基を付加した化学構造を持つ化合物のことを指す。フラーレンは電子受容体として優れているが、フラーレンC60 そのものは電子親和力が高すぎて低い電圧しかとれない点と有機溶媒に対する溶解度が低い点に課題があり、その解決のために様々なフラーレン誘導体が開発されている。

プランク定数
[よみがな] ぷらんくじょうすう / ぷらんくていすう
[英訳] Planck constant
光子のもつエネルギーと振動数の比例関係をあらわす比例定数のことで、量子論を特徴付ける物理定数である。量子力学の創始者の一人であるマックス・プランクにちなんで命名された。SIにおける単位はジュール秒(記号: Js)である。プランク定数は2019年5月に定義定数となり、正確に6.62607015×10?34 Jsと定義された。

フランク・コンドン状態
[よみがな] ふらんく・こんどんじょうたい
[英訳] Franck-Condon state
古典的に、フランク・コンドンの原理は、電子遷移が分子の核の位置とその環境の変化を伴わずに起こる可能性が最も高いという近似である。得られた状態はフランク・コンドン状態と呼ばれ、関連する遷移は垂直遷移と呼ばれる。この原理の量子力学的定式化は、振電遷移の強度は遷移に関わる2つの状態の振動波動関数の間の重なり積分の二乗に比例する、というものである。

フランク・コンドンの原理
[よみがな] ふらんく・こんどんのげんり
[英訳] Franck?Condon principle
フランク・コンドンの原理とは、分光学および量子化学において、振動電子状態間の遷移確率(振電遷移の強度)を説明する法則である。 振電遷移とは、分子の電子エネルギー準位と振動エネルギー準位が光子の吸収や放出に起因して同時に変化することを指す。 この法則によれば、電子遷移に伴って起こる振動エネルギー準位間の遷移は、電子遷移をまたいだ2つの振動状態の波動関数の重なりが大きい程生じやすい。電子遷移は、原子核の運動の時間スケールと比べれば瞬間的に生じるため、もし分子が電子遷移に伴い新たな振動状態に移行するとすれば、遷移後の新たな振動状態は遷移前の原子核の位置および運動量を再現している必要がある。

プリンテッドエレクトロニクス
[よみがな] ぷりんてっどえれくとろにくす
[英訳] printed electronics
印刷技術を用いてガラスや高分子製の基板上に作製された電子装置。

フレンケル励起子
[よみがな] ふれんけるれいきし
[英訳] Frenkel exciton
フレンケル励起子は、励起状態の波動関数の広がりが格子定数に比べてずっと小さいような励起子のことである。この励起状態は格子点の原子・イオンの励起状態に近い。有機分子でよく見られる。励起子の典型的な半径は 0.1-1nm。 フレンケル励起子とワニエ励起子は“励起波”の中での極限的なモデルであり、実際の物質における励起子は両者の中間状態となる。

フロンティア軌道
[よみがな] ふろんてぃあきどう
[英訳] frontier orbital
分子の電子配置は、軌道エネルギーの低い分子軌道から順に電子を2個ずつ詰めていく(フントの規則)。そして、電子に占有されている最もエネルギーの高い分子軌道をHOMO(最高被占軌道)、電子に占有されていない最もエネルギーの低い分子軌道をLUMO(最低空軌道)と呼び、これらをフロンティア軌道と呼ぶ。フロンティア軌道理論では、フロンティア軌道の密度や位相によって分子の反応性が支配されると主張されている。実際には、有機反応論で主張されるように全電子密度によって反応部位が決まる反応と、フロンティア軌道の密度によって反応部位が決まる反応がある。前者は電荷支配の反応、後者は軌道支配の反応と呼ばれる。有機半導体においては、フロンティア軌道すなわちHOMOとLUMOは、電荷を注入、移動させるエネルギー準位として、また、発光や失活、状態間遷移を考える上で最重要となるエネルギー準位である。

分極
[よみがな] ぶんきょく
[英訳] polarization
化学結合を形成する二つの原子が異なる電気陰性度をもつときは、結合電子雲に偏りが生じ,負に帯電した部分と正に帯電した部分が生じる。これを分極と呼ぶ。

分極エネルギー
intermolecular interaction
[よみがな] ぶんきょくえねるぎー
[英訳] polarization energy
有機薄膜中では、多くの場合、電荷は一分子に局在して分子イオンを生成する。このイオンは、電気的に中性な周囲分子と相互作用し、そのエネルギーは 1 eV 程度である。これを分極エネルギーとよぶ。分極エネルギーはイオン化エネルギーや電子親和力に影響を与える。

分極率
[よみがな] ぶんきょくりつ
[英訳] polarizability
分極率とは、原子や分子の電子雲などがもつ電荷分布の相対的な偏りを表す物理量である。電荷分布は近くに存在するイオンや双極子の存在などによって引き起こされる外部電場によって歪められる。この歪められた電荷分布の通常の状態からの偏差が分極率である。分極率は、有機分子のイオン化エネルギーと電子親和力に影響を与える。

分光感度
[よみがな] ぶんこうかんど
[英訳] spectral sensitivity
光の検出系において、光の波長に対して感度がどのように変るかを表わしたもの。相対分光感度と絶対分光感度とがある。

分光スペクトル
[よみがな] ぶんこうすぺくとる
[英訳] optical spectrum
電磁波(光)をプリズムや回折格子といった分光器を通すことにより得られる光の波長ごとの強度の分布を分光スペクトルという。分光スペクトルには、対象物と光との関係により、光源スペクトル(対象物が発する光のスペクトル)、反射スペクトル(標準の光源に対し対象物で反射する光のスペクトル)、透過スペクトル(標準の光源に対し対象物を透過する光のスペクト)、吸収スペクトル(標準の光源に対し対象物が吸収する光のスペクトル)がある。

分子間相互作用
[よみがな] ぶんしかんそうごさよう
[英訳] intermolecular interaction
分子と分子の間に働く様々な相互作用を総括した用語。代表的な分子間相互作用には、静電相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、水素結合がある。また、水素原子とπ電子との相互作用、π電子間の相互作用、配位結合を介した相互作用、分子間の電子の移動に伴って生じる電荷移動相互作用も存在する。分子間相互作用は、分子やその集合体である液体や固体の性質を決定する要因となる。

分子軌道
[よみがな] ぶんしきどう
[英訳] Molecular Orbital (MO)
分子軌道は、分子中の各電子の波の様な振る舞いを記述する電子波動関数のことである。1個の電子の位置ベクトルの関数であり、原子に対する原子軌道に対応するものである。この関数は、特定の領域に電子を見い出す確率といった化学的、物理学的性質を計算するために使うことができる。初歩レベルでは、分子軌道は関数が顕著な振幅を持つ空間の「領域」を描写するために使われる。分子軌道は多くの場合、分子を構成する原子の原子軌道あるいは混成軌道や原子群の分子軌道を結合させて描写させる。代表的なものにLinear combination of atomic orbitals(LCAO)があり、各原子軌道が線形結合によって分子軌道を構成するという仮定に基づく手法である。

分子軌道法
[よみがな] ぶんしきどうほう
[英訳] molecular orbital method
量子化学において、分子軌道法、通称MO法とは、原子に対する原子軌道の考え方を、そのまま分子に対して適用したものである。分子軌道法では、分子中の電子が原子間結合として存在しているのではなく、原子核や他の電子の影響を受けて分子全体を動きまわるとして、分子の構造を決定する。分子軌道法では、分子は分子軌道を持ち、分子軌道波動関数は、既知のn個の原子軌道の線形結合(重ね合わせ)で表せると仮定する。原子軌道に対応して、分子全体に広がる一電子空間軌道関数である分子軌道によって、分子を構成する個々の電子の状態が記述されると考える。この分子軌道を計算して、分子の電子状態を求める方法が分子軌道法である。

分子結晶
[よみがな] ぶんしけっしょう
[英訳] molecular crystal
分子結晶とは結晶の分類の1つで、多数の分子が分子間の相互作用で結びついて形成している結晶のことを指す。一般に、共有結合結晶やイオン結晶に比べて柔らかい。分子結晶にはドライアイス(二酸化炭素)や、ヨウ素がある。分子結晶はさらに分子同士の結合力の種類により分類される。氷やナフタレンの固体が分子結晶の例であり、前者は水分子が水素結合で結びついた水素結合結晶、後者はナフタレン同士がファンデルワールス力で結びついたファンデルワールス結晶(分子性結晶)である。

分子構造
[よみがな] ぶんしこうぞう
[英訳] molecular structure (molecular geometry)
分子構造とは、分子の幾何学的構造をいい、例えば原子間距離や配向などをさす。分子構造を調べるには、主に回折法と分光法が用いられる。分子の構造は構成する原子の電子雲による斥力と、化学結合による引力との均衡により決定づけられる。前者は閉殻電子に起因するので球対称とみなすことができるが、後者は電子軌道はs軌道以外の原子価軌道や混成軌道は方向性をもつ。また、引力の大きさは内殻電子による遮蔽を受けた原子核の有効電荷と分子軌道上の電子分布により決定される為、結合力は構造の位置が変化すると原子間の結合性軌道の重なり具合により連続的に変化する。分子を構成する原子は内部エネルギーにより振動しているので、分子構造の示す位置は平均的な重心位置を意味する。

分子集合体
[よみがな] ぶんしのしゅうごうたい
[英訳] molecular aggregation
分子の集まりである分子集合体は、有機材料の機能発現に大きな影響を及ぼす重要なものである。例えば、有機エレクトロニクスデバイスでは、材料は薄膜や固体状態で用いられる場合が多い、その一方で分子のサイズには限りがあり、バルクでの機能発現は、固体状態でどのように分子が並ぶか、つまり分子がどのように集合体を構成するかに大きく依存する。

分子性固体
[よみがな] ぶんしせいこたい
[英訳] molecular solid
分子性固体とは、原子が共有結合によって分子を構成された分子が互いの弱い相互作用で集まって固体となるもの。固体の状態としては、単結晶、多結晶、アモルファスなどの状態がありうる。分子性固体である有機半導体は、分子の性質が固体の中に維持されている。

分子配向
[よみがな] ぶんしはいこう
[英訳] molecular orientation
分子配向とは、分子が一定方向に配列すること。分子の配向は有機・高分子系材料の諸物性や機能の発現と密接にかかわっている。たとえば、液晶ディスプレイは液晶分子の分子配向変化を利用して画像表示している。

分子配向性
[よみがな] ぶんしはいこうせい
[英訳] molecular orientation
分子が固体中において配列すること。

分子配列
[よみがな] ぶんしはいれつ
[英訳] molecular sequence (molecular arrangement)
「分子の並び」である分子配列は、分子の集合体の機能発現に影響を及ぼす。分子からなる物質の中には、電気を流すもの、磁石になるもの、光を発するものなど様々な機能を持つ物質が数多くある。植物などの光合成の反応中心では、様々な分子間の効率的な電子移動反応を利用して光エネルギーから化学合成を実現している。これらの機能で重要なことは、分子が単独で示す機能ではなく、複数の分子が集合体となってはじめてあらわれる機能である。従って、分子と分子の間の様々なやりとりが重要であり、分子同士がどのように配列するかに強い影響を受ける。

分子ファスナー効果
[よみがな] ぶんしふぁすなーこうか
[英訳] molecular fastener effect
長鎖アルキル基の分子ファスナー効果とは、結晶中でアルキル基同士が並ぶように配列し、アルキル基と連結されたコア部位も密に押し集められてパッキングする効果を指す。

分子分極
[よみがな] ぶんしぶんきょく
[英訳] molecular polarization
ベンゼン結晶では、格子点のベンゼン分子は、周囲のベンゼン分子とのC-H伸縮振動などにより、電子に対する分極が発生する(分子分極)。有機半導体中の電荷担体の移動では、電荷担体が一分子中に滞在する時間は分子分極に要する時間と同程度で、電荷移動に分子分極が伴うかどうかは個々の状況に依存すると考えられる。

平均演色評価数(Ra)
[よみがな] へいきんえんしょくひょうかすう
[英訳] average of Rendering index
→ Raを参照

平均自由行程
[よみがな] へいきんじゆうこうてい
[英訳] mean free path
平均自由行程とは、物理学や化学のうち、気体分子運動論において、分子や電子などの粒子が、散乱源による散乱で妨害されること無く進むことのできる距離の平均値のことを言う。粒子が平均自由行程だけ運動すると、他の粒子と平均して1回衝突する。 平均自由行程は、その系の特性や粒子により異なってくる。

平衡吸着量
[よみがな] へいこうきゅうちゃくりょう
[英訳] equilibrium adsorption amount
吸着剤が一定量の吸着質を吸着して安定である状態は、実際には吸着と脱着が等速な動的平衡状態にある。この平衡状態での吸着量(平衡吸着量)は、吸着質の濃度(気体の場合は分圧)と温度に依存する。

ヘテロ接合
[よみがな] へてろせつごう
[英訳] heterojunction
ヘテロ接合とは、異なる半導体同士の接合である。無機半導体においては、ヘテロ接合は通常は格子整合系または格子定数が近い材料系で作られる。半導体はそれぞれ固有のエネルギーバンドをもつため、一般にヘテロ接合ではバンドギャップの違う半導体を接合することになる。応用例としては、ヘテロ接合型太陽電池(HIT)、半導体レーザー、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)などがある。

放射失活(輻射失活)
[よみがな] ほうしゃしっかつ(ふくしゃしっかつ
[英訳] radiation deactivation
→ 輻射失活に同じ

ポーラログラフィー
[よみがな] ぽーらろぐらふぃー
[英訳] polarography
ポーラログラフィーは、電気化学における測定法のひとつ。ボルタンメトリーとして最初に考案された方法で、作用電極として滴下水銀電極を用い、直線的に電極電位を掃引して応答電流を測定する。ポーラログラフィーは、他の多くの電気化学測定法と同様に3極式の電気化学セルで行う。有機半導体薄膜の物性は構成分子の性質を反映するため、分子の電子エネルギー準位を測定することにより薄膜の電子構造の知見を得ることができる。ポーラログラフィーでは、有機半導体分子のLUMOとの電子のやりとりが平衡になる電極電位を還元電位として測定し、HOMOとの正孔のやりとりが平衡になる電極電位を酸化電位として測定する。

ポーラロン
[よみがな] ぽーらろん
[英訳] polaron
ポーラロンとは、凝縮系物理学において、固体中の電子と原子の間の相互作用を記述するために用いられる準粒子を指す。電子が誘電体結晶中を運動すると、周囲の原子は静電相互作用を受け、平衡位置からずれて分極を生じ、電子の電荷をほぼ遮蔽する。この機構はフォノン雲として知られる。ポーラロンとはフォノン雲の衣をまとった電子をひとつの仮想的な粒子とみなしたものである。ポーラロンは元の電子と比べて移動度は低く、有効質量は大きくなる。有機半導体においては周囲の分極(電子、分子、および格子分極)が電荷担体を安定化(束縛)してポーラロンを形成すると考えられている。

ホール
[よみがな] ほーる
[英訳] electron hole または hole
正孔は別名をホールともいい、シリコン半導体において、真性半導体であれば電子で満たされているべき価電子帯の電子が不足した状態を表す。有機半導体においては、有機分子から電子が1つ出ていき、ラジカルカチオンとなった状態を意味する。

ホール移動度
[よみがな] ほーるいどうど
[英訳] hole mobility
ホール移動度とは、固体の物質中でのホールの移動のしやすさを示す量である。[定義] 物質に電場E をかけたとき、電場によってホールが平均速度v で移動したとき、次式で定義される v=μE (μ: 移動度)。

ホール移動度 (Hall 移動度)
[よみがな] ほーるいどうど
[英訳] Hall mobility
ホール効果から求めた物質のホール定数Rと伝導率σの積をホール移動度μhという(μh = |R|・σ)。一般に物質中のキャリヤーの移動度を表すのに、このホール移動度 μh と、通常用いられる伝導移動度 μnとの間には、μh =γ・μn の関係がある。γは散乱係数で、高純度のSiやGeでは 3π/8、金属や金属間化合物では1である。

ホール効果(Hall効果)
[よみがな] ほーるこうか
[英訳] Hall effect
ホール効果とは、バンド伝導的に物質中を流れている電子に垂直な磁場を印加すると、ローレンツ力によりそれらと直交する方向に電圧が生じる現象。主に半導体素子で応用される。エドウィン・ホールによって発見されたことからこのように呼ばれる。有機トランジスタではゲート電圧を変調しながらホール効果を調べることで、ホッピング伝導とバンド伝導とを区別し、伝導機構を調べることができる。

ホール定数(Hall定数)、ホール係数(Hall係数)
[よみがな] ほーるじょうすう
[英訳] Hall constant, Hall coefficient
半導体試料の x 方向に電流Iを流し、これと直角の z 方向に磁界を印加すると、ホール効果により、両者と直交する y 方向にホール起電力 Vh が発生する。このホール起電力 Vh は、電流Iと磁束密度Bに比例した値をとり、その比例定数 Rh をホール定数(またはホール係数)という。Vh=Rh・IB/d (dは磁界の方向の試料の長さ)

ホール注入
[よみがな] ほーるちゅうにゅう
[英訳] hole injection
ホールを有機半導体に注入すること。電極からの注入の場合もあるし、別の有機半導体から特定の有機半導体への注入もありうる。

ホール注入材料
[よみがな] ほーるちゅうにゅうざいりょう
[英訳] hole injection material
多層型有機ELにおける役割分担のうち、ホールの注入を担う材料のこと。一般に、ホール輸送層のHOMO 準位と陽極の仕事関数との間にHOMO準位を有し、陽極から有機層へのホール注入障壁を下げる働きをする。

ホール注入層
[よみがな] ほーるちゅうにうにゅうそう
[英訳] hole injection layer
ホール注入層は陽極とホール輸送層の間にあって、陽極とホール輸送層間の電位障壁を下げ、陽極からホール輸送層へのホール注入効率を改善させる役割を担う。

ホールブロック層
[よみがな] ほーるぶろっくそう
[英訳] hole blocking layer
ホールの移動をブロックする層。例えば、有機EL素子において、ホールが陽極から陰極に貫通してしまうと、ホールは発光に寄与しないため、量子効率を下げる結果となる。これを防ぐために、発光層の界面においてホールが抜け出ないようにブロックすることができれば、ホールの陰極への流出が防がれ、電子と再結合して発光に寄与する確率を上げることができる。

ホール輸送
[よみがな] ほーるゆそう
[英訳] hole transport
有機半導体中をホールが輸送される現象を指す。

ホール輸送材料
[よみがな] ほーるゆそうざいりょう
[英訳] hole transporting material
多層型有機ELにおける役割分担のうち、ホールを輸送する働きをする材料のことを指す。

ホール輸送層
[よみがな] ほーるゆそうそう
[英訳] hole transport layer
多層型有機EL素子において、正孔(ホール)を輸送する役割を担う層のことを指す。

ホスト
[よみがな] ほすと
[英訳] host
有機材料に別の有機材料を混合する際、大多量の有機材料の方をホスト、少量混合される有機材料の方をドーパントあるいはゲストと呼ぶことがある。例えば、多層型有機ELの発光層において、主に電荷輸送を担うホスト材料の中に少量のドーパントを発光を担う材料として混合することがある。

ホスト材料
[よみがな] ほすとざいりょう
[英訳] host material
ホストに用いる有機材料のこと。

ホッピング伝導
[よみがな] ほっぴんぐでんどう
[英訳] hopping conduction
分子を構成単位とする有機半導体において、半導体内に生成した電荷が分子間をホッピングしながら移動する伝導メカニズムを指す。多くの有機半導体では、電荷は個々の分子に閉じ込められた「粒子」としての性質を強く示すことが知られており、電荷は個々の分子の内部に閉じ込められている時間が長く、移動が断続的になるため、移動速度は遅くなる。

ポテンシャルエネルギー
[よみがな] ぽてんしゃるえねるぎー
[英訳] potential energy
ポテンシャルエネルギーは重力場における“位置エネルギー”など、質点が持つ潜在的エネルギーのこと。原子軌道のポテンシャルエネルギーは核と電子が無限大の距離離れた(静電相互作用が0)時のエネルギーレベルを0とした時の、各原子軌道の安定化の度合いを表すエネルギー(核が造る静電場において原子軌道が獲得するエネルギー)である。

ポテンシャルエネルギー曲線
[よみがな] ぽてんしゃるえねるぎーきょくせん
[英訳] potential energy curve
分子のエネルギーは、ボルン・オッペンハイマー近似を用いてそれぞれの原子核間距離におけるシュレディンガー方程式を解いて求めることができる。原子核間距離に対してエネルギーをプロットしたものを分子のポテンシャルエネルギー曲線という。平衡核間距離のとき、エネルギーは最小値をとり、最も安定な分子となる。電子が原子核から無限遠に離れたときのエネルギーをゼロとする。

ボトムエミッション構造
[よみがな] ぼとむえみっしょんこうぞう
[英訳] bottom emission structure
有機ELパネルのデバイス構造の一種で、基板の下部に向けて光を放射する。製造工程が比較的簡単とされているが、この方式は画素回路と有機ELを平面的に配置するため、発光の開口率(画素面積に対する発光面積の割合)を高くできず、輝度を上げにくいという短所がある。

ボトムゲート型
[よみがな] ぼとむげーとがた
[英訳] bottom gate type
有機トランジスタの代表的な構造の一つで、支持基板上にゲート電極を配し、その上にゲート絶縁膜、有機半導体層を積層させる構造をとる。このようなゲート電極が有機半導体層の“下(ボトム)”にある構造を「ボトムゲート型」と呼ぶ。

ボトムコンタクト型
[よみがな] ぼとむこんたくとがた
[英訳] bottom contact type
有機トランジスタの代表的な構造の一つで、有機半導体層の下面にソース/ ドレイン電極を配する構造を「ボトムコンタクト型」と呼ぶ。

HOMO(最高被占軌道)
[よみがな] ほも
[英訳] Highest Occupied Molecular Orbital
電子に占有されている最もエネルギーの高い分子軌道のこと。有機半導体においては、HOMO準位と真空準位のエネルギー差がイオン化エネルギーとなる。

ボルタンメトリー
[よみがな] ぼるたんめとりー
[英訳] voltammetry
ボルタンメトリーは、電気化学における分析法のうち、測定する系にかける電位を変化させ、それに応答して変化する電流を計測し、それを解析することにより分析を行う方法の総称である。多くの化学反応は、電子のやり取りを伴う酸化還元反応であり、電圧を印加して反応を進行させることができる。電位を反応の駆動力とすれば、反応速度は電流値で見ることができる。物質の種類によって反応する電位が異なるので、その電位は反応物質の定性分析に利用できる。電流は反応物質の濃度に比例するので定量分析も行える。また、電極表面における化学反応の過程の解析などに用いられる。得られる電流-電位曲線をボルタモグラムという。

マーデルングエネルギー
[よみがな] まーでるんぐえねるぎー
[英訳] Madelung energy
マーデルングエネルギーは、イオン結晶物質における、イオン-イオン間の静電的相互作用によるエネルギーの総和。結晶における最隣接原子間距離をr 、最隣接の陽イオン‐陰イオンのペアの数をN 、イオンの価数をZ 、素電荷をe とすると、マーデルングエネルギーEは、E=−NαZ2 e2/r となる。ここでαはマーデルング定数と言われるもので、結晶構造によって値が変わる定数である。

無機固体
[よみがな] むきこたい
[英訳] inorganic solid
無機半導体においては、原子が共有結合によって結合して固体を形成するものが多く、その代表がシリコン単結晶である。無機半導体は個々の原子の性質と固体状態の性質には大きな乖離がある。これは、無機半導体においては、個々の原子が共有結合で結合しているために、電子が非常に数多くの原子上に非局在化しており、それによって元の原子の電子軌道と、共有結合した状態(巨大分子と捉えることもできる)の電子軌道が大きく異なるためである。

面抵抗率(シート抵抗)
[よみがな] めんていこうりつ
[英訳] sheet resistance
一様の厚さを持つ薄い膜やフィルム状物質の電気抵抗を表す量のひとつ。シート抵抗、表面抵抗率とも呼ばれる。単位(Ω/□ または Ω/sq)。

モル吸光係数(分子吸光係数)
[よみがな] もるきゅうこうけいすう
[英訳] molar extinction (absorption) coefficient
物質特有の光を吸収する際の定数で分子吸光係数ともいう。物質溶液はランベルト・ベールの法則に従い光を吸収する。 I=Io×10-dεc、ここでdは溶液層の厚さ、Cは物質のモル濃度、εは物質に特有なその光波長でのモル吸光係数、IoとIは液層透過前と後の光の強さである。物質溶液のモル濃度とスペクトルがわかれば、各波長でのεが決まる。逆に、ある波長でのεの知られている物質溶液の吸光度から濃度Cを決めることができる。

モルフォロジー
[よみがな] もるふぉろじー
[英訳] morphology
モルフォロジーとは、形態や構造のことを指し、形態や構造を扱う学問分野も意味する。有機半導体を薄膜材料として用いる有機ELや有機太陽電池、有機トランジスタ―において、有機半導体薄膜のモルフォロジーは、デバイス性能に大きな影響を持つ重要な要素である。例えば、薄膜の集合状態として、結晶、液晶、アモルファスなどがありうる。結晶は、結晶界面の有無によって単結晶と多結晶に分けられる。また、同じ分子であっても異なる結晶状態を取ることができ、ポリモルフィズムと呼ばれる。アモルファスとは結晶のような長距離秩序はないが、短距離秩序はある物質の状態を指し、短距離秩序として分子間の会合状態があり、その会合状態の違いによっても膜の性質は変化する。多成分系の薄膜のモルフォロジーはさらに複雑である。例えば、有機太陽電池においては、熱アニールや添加剤、溶媒蒸気などによってモルフォロジーを制御して性能を高める研究が多く行われている。

ヤブロンスキー(Jablonski)ダイアグラム
[よみがな] やぶろんすきーだいあぐらむ
[英訳] Jablonski diagram
ヤブロンスキーダイアグラム は、分子と光の相互作用を説明するためのエネルギー状態図。名称はポーランドの物理学者アレクサンデル・ヤブウォニスキ (Aleksander Jab?o?ski) にちなむ。吸光や発光、消光などの過程では、分子のエネルギーやスピン多重度が様々に遷移する。ヤブロンスキー図は、これらの過程を視覚的に表すために用いられる。

有機EL素子
[よみがな] ゆうきいーえるそし
[英訳] organic electroluminescent device / organic light emitting diode
有機EL素子とは、一般に電流を注入することで有機化合物を励起させて発光を得る素子のことを指す。有機EL素子の一般的な構造としては、陽極と陰極およびこれら両電極に挟まれた有機層からなる。有機層は、機能が異なる多層からなることが一般的である。たとえば、正孔を注入する層、正孔を輸送する層、発光する層、電子を輸送する層、電子を注入する層などである。

有機エレクトロニクス
[よみがな] ゆうきえれくとろにくす
[英訳] organic electronics
有機半導体をベースとしたエレクトロニクス。代表的なデバイスとして、有機トランジスタ、有機EL、有機太陽電池などが挙げられる。薄い、軽い、柔軟性に優れるなどの特長を有する。この特長は、@光・電子材料として用いる低分子や高分子系の有機材料そのものが、無機結晶と比べて軽く・柔軟であること、Aデバイス作製温度が無機デバイスよりも低いため、基板としてプラスチックフィルムが適用できることに起因する。また、印刷技術を用いた塗布プロセスを適用できれば、低価格化、大面積化が可能である。有機エレクトロニクスデバイスを用いる従来にない用途として、折り畳みスマートフォンのディスプレイ、照明機能をもつ壁紙、人体にフィットさせたバイオセンサーなどが挙げられる。

有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)
[よみがな] ゆうきえれくとろるみねっせんす
[英訳] organic electroluminescence
有機ELとは、一般に電流を注入することで有機化合物を励起させて得られる発光のことを指す。他方で、その現象を利用したデバイスや製品一般を指すために使われることもある。次世代ディスプレイのほか、LED照明と同様に次世代照明技術として期待されている。

有機金属化合物
[よみがな] ゆうききんぞくかごうぶつ
[英訳] organometallic compound
炭素原子と金属原子間の共有結合をもつ有機化合物の総称。ヒ素、亜鉛、水銀、マグネシウムを含む有機金属化合物は以前からよく知られていたが、近年、リチウムやアルミニウムを含む有機金属化合物が合成化学上重要な役割を果すことや、ケイ素を含む化合物がきわめて独特で有用な性質を示すことなどが知られ、有機金属化合物の研究が非常に盛んになった。現在では、稀有元素や人工放射性元素などを除き、金、白金はもちろん、ほとんどすべての金属元素の有機金属化合物が知られている。

有機光導電体(有機光伝導体)
[よみがな] ゆうきこうどうでんたい
[英訳] organic photoconductor (OPC)
有機光導電体とは、光を照射することによって導電性が高まる有機化合物である。 例えば、フタロシアニン誘導体やトリフェニルアミン誘導体が挙げられる。分子構造を変える事により感光する波長域を変えることが出来る。

有機色素
[よみがな] ゆうきしきそ
[英訳] organic dye / organic pigment
色素は可視光の吸収あるいは放出により物体に色を与える物質の総称。色素となる物質は無機化合物と有機化合物の双方に存在するが、有機化合物に存在する色素が有機色素である。染料や顔料の多くは色素である。なお、染料は色素が溶媒に溶解するものを指し、顔料は色素が溶媒に溶解せず、分散しているものを指す。

有機太陽電池
[よみがな] ゆうきたいようでんち
[英訳] Organic solar cell
有機太陽電池は、機能性高分子や有機色素などの有機化合物を主たる光電変換材料に用いるによる太陽電池を指す。有機太陽電池には、無機半導体を使用する太陽電池と同様の原理で発電する形式と有機色素を使用した形式がある。無機半導体を用いた太陽電池に対し、有機物では分子設計の自由度が高いため光吸収層(光電変換層)の吸収波長を太陽光に適した分子構造にする事で変換効率を高める事が試みられている。また、材料の精製に多大なエネルギーを必要とする無機半導体と比較して製法が簡便で生産コストが低くでき、着色性や柔軟性などを持たせられるなどの特長を有する。変換効率や寿命に課題があるが、その克服と実用化に向けて開発が進められている。

有機電界効果トランジスタ(OFET)
[よみがな] ゆうきでんかいこうかとらんじすた
[英訳] organic field effect transistor
トランジスタの活性層に有機半導体を用いた電界効果トランジスタのことを指す。電界効果トランジスタとは、ゲート電極に電圧を加えることでチャネル領域に生じる電界によって電子または正孔の密度を制御し、ソース・ドレイン電極間の電流を制御するトランジスタである。

有機電荷移動錯体
[よみがな] ゆうきでんかいどうさくたい
[英訳] organic charge‐transfer complex
電荷移動錯体とは、電荷が分子間で移動できる2つ以上の異なる分子の会合体である。会合により分子が静電気的に引きつけられ、錯体が安定化される力が生まれる。電子を供与する分子は電子供与体、電子を受容する分子は電子受容体と呼ばれる。これに対して、一般的な有機物は中性分子が構成要素となっており、それらがファンデルワールス力で凝集している。有機分子が正又は負イオンの状態になって、無機イオンや他の有機イオンと塩を作る場合もあるが、その場合でも有機分子は閉殻構造となり、不対電子を持たないのが通常普通である。電荷移動錯体の例として、ペリレン/ヨウ素、テトラチアフルバレン (TTF)/テトラシアノキノジメタン (TCNQ) などが挙げられ、高い電気伝導度や超伝導性をもつものがある。

有機電子供与体(有機p型半導体, ドナー)
[よみがな] ゆうきでんしきょうよたい
[英訳] organic electron donor
有機電子供与体とは、自分自身の電子を他の化学物質に転移させる有機半導体のことを指す。電子の授与は電子供与体自身を酸化させ、また、電子受容体を還元させる。電子供与体が電子を与える能力の程度はイオン化エネルギーとして測定できる。イオン化エネルギーとは、最高被占軌道(HOMO)から電子を放出させるのに要するエネルギーの大きさである。

有機電子受容体(有機n型半導体、アクセプター)
[よみがな] ゆうきでんしじゅようたい
[英訳] organic electron acceptor
有機電子受容体とは、電子を他の物質から自分自身へと移動させる有機半導体のことを指す。電子の受け取りは電子受容体自身を還元させ、また、電子供与体を酸化させる。電子受容体が電子を受け取る能力の程度は電子親和力として測定できる。電子親和力とは、最低空軌道(LUMO)を電子で満たしたときに放出されるエネルギーの大きさである。

有機導波路型レーザーダイオード
[よみがな] ゆうきどうはろがたれーざーだいおーど
[英訳] organic waveguide type laser diode
レーザーデバイスの構造は、(1)導波路型、(2)面発光型に分けられる。導波型は利得長が長く共振器一往復あたりの増幅率を大きくすることがで きる。面発光型は面発光デバイスである有機ELとのデバイス構造面でのマッチングがよく、また並列集積化が可能であることから、単独光源だけでなく光情報処理光源として期待され、研究段階にある。

有機トランジスタ
[よみがな] ゆうきとらんじすた
[英訳] organic transistor
トランジスタは一般に、電極、ゲート絶縁層、半導体層からなり、半導体材料に有機物を用いたトランジスタを有機トランジスタとよぶ。特に半導体層を薄膜形成したトランジスタは、薄膜有機トランジスタ(Organic Thin Film Transistor: OTFT)とよばれる。

有機薄膜
[よみがな] ゆうきはくまく
[英訳] organic thin film
導電性高分子などの有機半導体からなる薄膜。有機薄膜トランジスタ、有機EL、有機薄膜型太陽電池や有機薄膜CMOS(シーモス)イメージセンサーなどに用いられる。

有機薄膜太陽電池
[よみがな] ゆうきはくまくたいようでんち
[英訳] organic thin film solar cell /organic photovoltaic (OPV)
有機半導体を光電変換層に用いる太陽電池のこと。有機薄膜太陽電池の基本構成は、電子供与体(ドナー)、電子受容体(アクセプター)、陽極、陰極から成る。有機薄膜太陽電池に光を当てると、電子供与体 and/or 電子受容体が光を吸収して励起され励起子を生成する。その励起子が電子供与体と電子受容体の界面に移動し、電子供与体から電子受容体に電子が流れて電荷分離状態を形成する。すなわち、電子供与体は電子を電子受容体に渡して自身はカチオン(ホール)となり、電子受容体は電子を受け取ってアニオンとなる。次に、ホールが陽極側に、電子が陰極に流れることにより、外部回路に電流が流れて太陽電池となる。

有機薄膜トランジスタ(OTFT)
[よみがな] ゆうきはくまくとらんじすた
[英訳] organic thin film transistor
トランジスタの活性層に有機半導体を用いた薄膜トランジスタ。

有機発光材料
[よみがな] ゆうきはっこうざいりょう
[英訳] organic light emitting material
有機発光材料とは、ある種のエネルギー刺激を与えられたとき、それに対する応答として光を放出する機能を有する有機材料を言う。有機材料の発光過程は一種のエネルギー変換プロセスとしてとらえることが出来る。刺激源である入力エネルギー種としては、機械エネルギー、光エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギー等多種多様である。それぞれの刺激に対応してメカノルミネッセンス、フォトルミネッセンス、エレクトロルミネッセンス、ケミルミネッセンスと呼ばれている。

有機半導体
[よみがな] ゆうきはんどうたい
[英訳] organic semiconductor
有機半導体とは、半導体としての性質を示す有機物のことである。無機の半導体はその導電率が金属と絶縁体の中間的な物質と定義されており、狭義の有機半導体は同じく導電率で定義され、電荷移動錯体などが該当する。一方、広義の有機半導体と呼ばれるものの中には、導電率の定義によると絶縁体に分類されてしまうものも多い。そのような材料でも、電荷注入電極の選択などにより、無機半導体並みの電流密度を達成しうる。広義の有機半導体とは、バンドギャップ(HOMO-LUMOエネルギーギャップ)が比較的小さく、電荷輸送特性や発光特性などの光・電子特性を示す有機化合物全般を指していると考えられるが、あまり明確な定義はない。有機半導体の化学構造としては、π電子をもつ芳香族系の化合物が多い。

有機フォトダイオード
[よみがな] ゆうきふぉとだいおーど
[英訳] Organic Photodiode (OPD)
有機フォトダイオードは、有機半導体材料を電極で挟み込んだサンドイッチ構造のダイオードで、電子供与性(ドナー型)、電子受容性(アクセプター型)の2種の有機分子を含んでいる。それらの分子が光を吸収して励起されると、ドナー - アクセプター分子界面に励起状態が移動して電荷分離が誘起される。その後、生成したホールと電子がそれぞれの電極に捕集されて電流が発生する。

誘電率
[よみがな] ゆうでんりつ
[英訳] permittivity
誘電率は物質内で電荷とそれによって与えられる力との関係を示す係数である。電媒定数ともいう。各物質は固有の誘電率をもち、この値は外部から電場を与えたとき物質中の原子(あるいは分子)がどのように応答するか(誘電分極の仕方)によって定まる。誘電率は有機半導体薄膜の電子構造に影響を与え、分子周辺の誘電率は、電極上、バルク、表面の順で高くなり、電子親和力もこの順で大きくなる。反対に、イオン化エネルギーはこの順で小さくなる。

UV/オゾン洗浄
[よみがな] ゆーぶいおぞんせんじょう
[英訳] UV/ozone cleaning
UVオゾン洗浄法は、UV(紫外)光を利用した光酸化の工程や処理を指す。基板表面等を汚染している有機物質はUV光を吸収し分解しうる。また、空気中の酸素分子は184.9nmでオゾンになり、オゾンは253.7nmの波長で分解され、同時に活性酸素を生成する。有機物質の分解生成物は活性酸素と反応し、水や二酸化炭素などの揮発性分子(ex.CO2,H2O etc.)となり、基板表面から脱離する。このメカニズムから、184.9nmと253.7nmの両波長と酸素分子の存在が必要である。

UV-VIS吸収スペクトル
[よみがな] ゆーぶいびじぶるきゅうしゅうすぺくとる
[英訳] UV-VIS absorption spectrum
UV-VISスペクトルは、紫外線(UV)・可視光線(VIS)領域における対象物質の各波長の光の吸収を測定することにより得られるスペクトルである。UV-VISスペクトルは、その他のスペクトル同様、測定物質の同定や不純物の存在推定に用いられる。また、その領域の短い波長の吸収は、比較的高いエネルギーを必要とする分子内の電子遷移に起因することから、分子の電子的性質を特徴付けるのにも非常に役立つ。

溶液プロセス
[よみがな] ようえきぷろせす
[英訳] solution process
有機 EL などの有機デバイスは、通常、数 nm 〜 数十 nm の有機半導体膜を積層して作製される。その薄膜の作製方法は真空プロセスを用いる方法と溶液プロセスを用いる方法に大きくわけられる。一般に、真空プロセスとしては蒸着法、溶液プロセスとしてはインクジェット法やスピンコート法といった溶液塗布法が用いられる。

陽極
[よみがな] ようきょく
[英訳] anode
陽極 (Anode) とは、外部回路から電流が流れ込む電極のことを指す。外部回路へ電子が流れ出す電極とも言える。電気分解や電池においては、アノードは電気化学的に酸化が起こる電極である。

横型構造
[よみがな] よこがたこうぞう
[英訳] horizontal structure
有機トランジスタにおいて、基板面方向に(横方向に)ソース電極とドレイン電極を配した構造。

ランベルト・ベールの法則
[よみがな] らんべると・べーるのほうそく
[英訳] Lambert-Beer law
光の物質による吸収を定式化した法則である。媒質に入射する前の光の強度(放射照度)をI0、長さLの媒質を透過した後の光の強度をIとしたとき、吸光度Aは次のようになる。A=ーlog10(I/I0)=ECL=εcL ここでEは比吸光度、Cは媒質の質量対容量パーセント濃度、εはモル吸光係数、c は媒質のモル濃度。

リガンド
[よみがな] りがんど
[英訳] ligand
特定の受容体(レセプタ)に特異的に結合する物質。金属と有機物との間に形成される錯体においては、金属が受容体、有機物がリガンドとなり、リガンドは配位子と呼ばれることもある。生体のタンパク質においては、リガンドは、受容体の中のある決まった部位(リガンド結合サイト)に特異的に結合する。

理想的最大出力
[よみがな] りそうてきさいだいしゅつりょく
[英訳] ideal maximum power
理想的最大出力(mW/cm2) = 短絡電流密度(mA/cm2)x開放電圧(V) で定義される。ある太陽電池の理想的な最大出力であるが、実際の太陽電池では、0~1の間の値をもつFill Factor (FF) が掛け合わされた最大出力となる。

裏面反射による因子
[よみがな] りめんはんしゃによるいんし
[英訳] factor due to backside reflection
光取り出し面と反対側の裏面に等量放出された光が有機層/金属電極界面で反射し、光取り出し面から空気中に放出される裏面反射効果と、光取り出し面で反射した光がさらに裏面反射して、同様にして空気中に放出されるという多重反射効果が生じる。これは、有機層が発生する光に対して透明なために効果的に生じる。

臨界角による因子
[よみがな] りんかいかくによるいんし
[英訳] factor due to critical angle
有機ELの内部から光を取り出すということは、屈折率の高い有機層から屈折率の低い空気中に光を取り出さなければならない。このとき、有機層外部に放射される光は、入射角が臨界角に対応する立体角以内のものに限られる。

りん光
[よみがな] りんこう
[英訳] phosphorescence
有機EL材料が電流により励起されると、25 %が一重項状態、75 %が三重項状態となる。一般に三重項状態のエネルギーは一重項状態のエネルギーより低い。一重項状態から基底状態へ戻る際に発する光を蛍光、三重項状態から基底状態へ戻る際に発する光をりん光と言う。

りん光材料
[よみがな] りんこうざいりょう
[英訳] phosphorescent material
りん光を発する材料。有機化合物の場合、三重項励起状態から基底状態(一重項)に発光を伴う遷移をする化合物が該当する。三重項励起状態から基底状態(一重項)への遷移は一般に禁制であるが、イリジウムや白金などの重原子を導入した錯体がりん光材料として機能することが知られている。これらは有機EL素子の発光材料として用いることができる。

LUMO(最低空軌道)
[よみがな] るも
[英訳] Lowest Unoccupied Molecular Orbital
電子に占有されていない最もエネルギーの低い分子軌道のこと。有機半導体においては、LUMO準位と真空準位のエネルギー差が電子親和力となる。

励起
[よみがな] れいき
[英訳] excitation
量子力学で、原子や分子が外からエネルギーを与えられ、もとのエネルギーの低い安定した状態からエネルギーの高い状態へと移ること。

励起エネルギー
[よみがな] れいきえねるぎー
[英訳] excitation energy
励起とは、原子や分子が外からエネルギーを与えられ、もとのエネルギーの低い安定した状態からエネルギーの高い状態へと移ることであるが、この励起に必要なエネルギーが励起エネルギーである。

励起子
[よみがな] れいきし
[英訳] exciton
半導体又は絶縁体中で電子と正孔の対がクーロン力によって束縛状態となったもの。エキシトンとも呼ばれる。励起子は、光励起や電気的励起などによる電子-正孔の対生成によって生じる。

励起子解離
[よみがな] れいきしかいり
[英訳] exciton dissociation
励起子がその結合エネルギーを断ち切って電荷担体(電子と正孔)となること。結合エネルギーが大きい有機半導体の励起子解離を促進するためには、電圧をかける方法とヘテロ接合界面での電子エネルギー準位差利用する方法がある。ドナーとアクセプターによるヘテロ接合の有機半導体中では、ドナーの励起電子がアクセプターの伝導電子より高いエネルギー準位にある場合に、アクセプターに移動することができ、ドナーの励起子は解離して、ドナーに正孔が、アクセプターに伝導電子が生成する。また、励起子がヘテロ接合界面で解離するには、励起子は界面まで拡散しなければならない。しかし、励起の拡散距離(拡散長)は代表的な測定値で数nm〜数十nm程度と非常に短いため、励起子を効率よく解離するためにはドナーとアクセプターがバルクにわたって入り組んだバルクヘテロ接合が有効である。

励起子拡散長
[よみがな] れいきしかくさんちょう
[英訳] exciton diffusion length
励起子は生成してから失活するまでの間、有機分子間を移動することができる。この移動を励起子拡散といい、励起状態が伝播出来る平均的な距離が励起子拡散長である。

励起子結合エネルギー
[よみがな] れいきしけつごうえねるぎー
[英訳] exciton binding energy
励起子を電荷担体(正孔と電子)に解離するのに必要なエネルギーのことを指す。無機半導体中ではその値は小さく励起子は容易に解離するが、有機半導体中では大きく解離が困難である。有機半導体中において、励起子が解離した状態での電子と真空準位のエネルギー差が電子親和力であるので、励起子の結合エネルギーは、イオン化エネルギーと電子親和力の差から光学的遷移エネルギーを差し引いた値になる。有機半導体中の励起子の結合エネルギーは0.4eV程度が一つの目安と言われている。

励起子生成
[よみがな] れいきしせいせい
[英訳] exciton formation
ある物質の励起子の生成は、多くの場合、光励起などによって電子-正孔の対が生成することで起こる。 光励起による励起子は以下のように生成される。@光などの励起によって、絶縁体又は半導体の価電子帯の電子が伝導帯に遷移し、価電子帯に正孔が、伝導帯に電子が形成される。A正孔は正の電荷を持つため、負の電荷を持つ電子との間にクーロン引力が生じる。B陽子と電子がペアを組んだ状態が水素原子であるように、電子と正孔がペアを組んだ状態を一つの粒子として取り扱うことができ、この状態を励起子という。励起子は非金属結晶中における代表的な電子励起状態であり、光学特性に大きく影響する。

励起子生成効率
[よみがな] れいきしせいせいこうりつ
[英訳] exciton generation efficiency
有機EL素子において、電子と正孔の再結合による励起子生成過程では、スピン統計則に従うと、一重項励起子が25%の確率で生成され、三重項励起子が75%の確率で生成される。その後、S1からT1への系間交差、T1からS1への逆系間交差、T1とT1との相互作用(三重項-三重項消滅)などの過程を経て、定常状態の励起子の生成効率が決定されると考えられる。発光に寄与する励起子の生成効率を発光性励起子生成効率と定義づけることができる。

励起子阻止層
[よみがな] れいきしそしそう
[英訳] exciton blocking layer
有機ELにおいて、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層である。本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となる。素子の発光効率を向上させることができる。

励起状態
[よみがな] れいきじょうたい
[英訳] excited state
励起状態とは、量子力学において系の固有状態のうち、基底状態でない状態のこと。励起は、光、熱、電場、磁場などの外場によって引き起こされる。励起により、基底状態にあった固有状態は励起状態へ、励起状態にあった固有状態はより高いエネルギーを持った励起状態へ移る。

励起状態緩和
[よみがな] れいきじょうたいかんわ
[英訳] excited‐state relaxation
励起状態の分子は、分子内緩和や無輻射遷移、自然発光などの多くの緩和過程によって基底状態に戻る。また、励起1重項状態から励起3重項状態へ移行(項間交差)し、その後、発光を伴って基底状態に戻る緩和もある。

励起電子
[よみがな] れいきでんし
[英訳] Electron excitation
励起電子とは、高いエネルギーで運動している状態の電子である。このような状態は電子の光励起、電気的励起、あるいは熱励起によって作られる。ここで、励起した電子はいずれ低エネルギー状態(基底状態)へと戻るが、これは電子の緩和と呼ばれる。これは光の放射または 第三の粒子にエネルギーを与えることによって終わる。

レーザー色素
[よみがな] れーざーしきそ
[英訳] laser dye
レーザー色素とは、色素レーザー(窒素レーザ等の短波長の光源によって蛍光色素を励起することによる誘導放出を利用したレーザー)で使用される蛍光色素の一種である。

レーザー色素材料
[よみがな] れーざーしきそざいりょう
[英訳] laser dye
有機色素レーザーは、レーザー媒質として蛍光色素の一種であるクマリン、DCM、ピロメテン、ローダミン等のレーザー色素を使用する。アクリル樹脂にレーザー色素を分散させた固体色素レーザーもある。

ローレンツ力
[よみがな] ろーれんつりょく
[英訳] Lorentz force
荷電粒子が磁場中を運動するとき磁場により受ける力。電荷 q の粒子が磁束密度 B の磁場中を速度 v で動くとき,ローレンツ力は q(v×B) で表され,磁場と速度の両方に垂直である。このため粒子は磁場に垂直な方向に曲るが,仕事は受けない。また、粒子が電磁場中を運動するとき,電場 E による力をも含めて qE+q(v×B) をローレンツ力ということもあり,これは電磁場中の荷電粒子の運動を論じる基礎式としてよく用いられる。

ワニエ励起子
[よみがな] わにえれいきし
[英訳] Mott Wannier exciton
ワニエ励起子は、励起状態の波動関数の広がりが格子定数に比べてずっと大きいような励起子のことである。この励起状態は1つの格子点の周りに空間的に広がった状態で、電子と正孔が緩く束縛されている。 無機物半導体でよく見られる。励起子の典型的な半径は 1~10nmである。励起子束縛エネルギーは水素原子モデルと同じように見積もることができる。なお、フレンケル励起子とワニエ励起子は“励起波”の中での極限的なモデルであり、実際の物質における励起子は両者の中間状態となる。