液晶性
液晶性
基礎化学・基礎物理
一般化学
一般の物質は、融点において、3次元的な長距離の秩序性をもつ結晶から、ランダムな分子凝集形態をとる液体へと転移する。有機物の中には、結晶から温度を上げると、結晶にみられる分子配向や分子位置に関する秩序性の一部が失われ、ランダムな凝集形態をとる液体に比べて秩序性をもつ凝集状態(液晶相)が自発的に形成されるものがある。このような凝集状態(液晶相)を発現する特性を液晶性という。液晶性は、芳香環などからなる棒状、あるいは、円盤状の分子構造に柔軟な炭化水素鎖を置換した構造を持つ分子にしばしば現れる。液晶相は多様で、液晶表示に用いられる配向秩序性のみを残し、液体性の強いネマチック相から、結晶にきわめて近い秩序性を持つスメクチックE相など、多数の液晶相が知られている。