π結合エネルギー

基礎化学・基礎物理
一般化学
結合エネルギーとは,分子や結晶を構成する原子が、ばらばらの状態で存在する原子との間のポテンシャルエネルギーの差をいう。結合エネルギーは、分子の持つ全結合を切断するためのエネルギーの総和となる。炭素-炭素間の結合エネルギーでは、エタン(331kJ/mol)、エチレン(591kJ/mol)、アセチレン(827kJ/mol)と単結合より二重結合の方が、二重結合より三重結合の方が大きいが、エチレンとエタンのエネルギー差は260kJ/mol、アセチレンとエチレンのエネルギー差は236kJ/molと、どちらも単結合であるエタンの結合エネルギーより小さい。これは、パイ結合の結合エネルギーはシグマ結合の結合エネルギーより小さいことを意味する。一般的に,多重結合を持つ多くの化合物は,単結合の化合物より反応性が大きい。これは,パイ結合のエネルギーがシグマ結合のエネルギーより低いうえに,攻撃試薬がシグマ結合の電子よりパイ結合の電子に近づきやすいためと考えられている。なお,分子中の結合を一つ一つ切断するのためのエネルギーは,結合解離エネルギーという。

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