カシャ(Kasha)の法則
カシャ(Kasha)の法則
基礎化学・基礎物理
光物性・光化学
カシャの法則は、電子励起した分子の光化学に関する法則である。その意味するところは、発光(蛍光もしくは燐光)のほとんどは、与えられた多重度の最低励起状態から起こる、というものである。1950年にアメリカの分光学者マイケル・カシャにより提唱された。この法則は、励起分子の発光スペクトルに関連する。光子を吸収すると、基底状態(S0と記し、一重項状態であるとする)にある分子は、光子の波長に応じて、いかなる電子励起状態(Sn(n>0)と記す)にも励起しうる。しかしながら、カシャの法則により、発光(S状態の場合は蛍光)のほとんどは、最低励起状態であるS1状態から起こると考えられる。S1状態からのみ発光が起こると考えられるので、この法則は、発光波長は励起波長に依存しない、と言い換えることができる。