ドナー準位
ドナー準位
応用物理・応用化学
半導体物理
電子ドナーを半導体に混合させたときに出現するエネルギー準位を指す。シリコン半導体においては、4価の元素半導体シリコン(Si)に不純物として5価の元素ヒ素(As)を微量添加すると、Siとの共有結合から余ったAsの5番目の電子は、As陽イオンによる遮蔽されたクーロンポテンシャルによって束縛され、As陽イオンの周辺に存在する。このAs陽イオンに束縛された弱い結合の電子は、少しの熱エネルギーでSiの伝導帯に移り、キャリアーとなる。Asは電子を供給するのでドナーと呼ばれ、そのエネルギー準位(電子の束縛準位)がドナー準位である。ドナー準位は伝導帯のすぐ下に存在し、0.049eV程度の小さい値である。この場合は、電子がキャリア―となりn形半導体になる。一方、有機半導体の分野でドナー準位というと、電子ドナー性の分子を混合あるいは接合させた場合に、その分子のHOMO準位で代表させることが多い。