ペロブスカイト構造
ペロブスカイト構造
基礎化学・基礎物理
一般化学
ペロブスカイト(perovskite、灰チタン石)と同じ結晶構造をペロブスカイト構造と呼ぶ。例えば、BaTiO3(チタン酸バリウム)のように、RMO3 という3元系から成る遷移金属酸化物などが、この結晶構造をとる。理想的には、立方晶系の単位格子をもち、立方晶の各頂点に金属Rが、体心に金属Mが、そして金属Mを中心として、酸素Oは立方晶の各面心に配置している。酸素と金属Mから成る MO6 八面体の向きは、金属Rとの相互作用により容易に歪み、これにより、より対称性の低い斜方晶や正方晶に相転移して、この結晶の物性が劇的に変化する。例えば、対称性の低下により、モット転移を起こし、金属Mのサイトに局在していた価電子がバンドとして広がることができるようになり、金属Mのサイト同士のスピン間の相互作用による反強磁性秩序が崩れ、常磁性に転移するなどである。この歪みによる相転移は、温度の上昇による金属Rのイオン半径の増加や、金属Rサイトに不純物原子を導入することなどでコントロールすることができる。