ポーラロン
ポーラロン
応用物理・応用化学
半導体物理
ポーラロンとは、凝縮系物理学において、固体中の電子と原子の間の相互作用を記述するために用いられる準粒子を指す。電子が誘電体結晶中を運動すると、周囲の原子は静電相互作用を受け、平衡位置からずれて分極を生じ、電子の電荷をほぼ遮蔽する。この機構はフォノン雲として知られる。ポーラロンとはフォノン雲の衣をまとった電子をひとつの仮想的な粒子とみなしたものである。ポーラロンは元の電子と比べて移動度は低く、有効質量は大きくなる。有機半導体においては周囲の分極(電子、分子、および格子分極)が電荷担体を安定化(束縛)してポーラロンを形成すると考えられている。また、ポーラロンは、electronic polaron, vibronic polaron, lattice polaron などに分別でき、それぞれは、ポーラロン中心分子と周囲の分子の間に起こる電子雲の分極、分子振動周期と結合長の変化、分子配列の歪み、に起因する。ポーラロンに関する議論は、有機固体中の分子配列がある程度規則性を持ち、疑似的な結晶状態であることを前提としてなされる場合が多い。