マーカス理論

基礎化学・基礎物理
一般化学
マーカス理論は、ある化合物から別の化合物に電子が移動する反応の速度(電子移動速度)を記述するための理論である。ルドルフ・A・マーカスにより1956年から研究が進められた。電子が移る元となる化合物を電子ドナー、電子が移る先の化合物を電子アクセプターと呼ぶ。元々は、例えば Fe2+/Fe3+ イオンのような電荷のみが異る化学種の間での構造変化を伴わない電子の移動(外圏型電子移動反応)に取り組むために定式化されたものである。後に溶媒和距離や配位数の変化による効果が伴う(Fe(H2O)2+ と Fe(H2O)3+ では Fe-O 距離が異る)内圏型電子移動反応の寄与を取り込めるよう拡張された。有機半導体分野においても、ドナーとアクセプター間の電子移動などに対して本理論を適用することができ、重要である。

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