分子軌道

基礎化学・基礎物理
一般化学
分子軌道は、分子中の各電子の波の様な振る舞いを記述する電子波動関数のことである。1個の電子の位置ベクトルの関数であり、原子に対する原子軌道に対応するものである。この関数は、特定の領域に電子を見い出す確率といった化学的、物理学的性質を計算するために使うことができる。初歩レベルでは、分子軌道は関数が顕著な振幅を持つ空間の「領域」を描写するために使われる。分子軌道は多くの場合、分子を構成する原子の原子軌道あるいは混成軌道や原子群の分子軌道を結合させて描写させる。代表的なものにLinear combination of atomic orbitals(LCAO)があり、各原子軌道が線形結合によって分子軌道を構成するという仮定に基づく手法である。分子軌道には、単結合に関与するσ起動、共役(多重結合)に関与するπ起動、非共有電子対が収容されるn軌道がある。有機色素において重要なものは、結合性のπ軌道から反結合性のπ*軌道へ電子が励起されるπ-π*遷移と、非共有電子対がπ*軌道へと遷移されるn-π*遷移である。

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