希土類錯体
希土類錯体
材料
有機半導体材料
希土類錯体は、希土類イオン(通常+3価の酸化状態が安定)と有機配位子で構成され、その特徴して、鮮やかな発光を示す点がある。たとえば、Eu(Ⅲ)錯体は赤色、Tb(Ⅲ)錯体は緑色に発光する。希土類錯体は4f軌道間遷移(4f-4f遷移)に基づく発光を可視領域から近赤外領域に示す。4f軌道は外殻に位置する完全に充填された5s軌道、5p軌道によって遮断されており、基底状態と励起状態の電子構造変化に対する有機配位子の影響が小さく(内部遮蔽効果)、イオン固有の発光位置は有機配位子が変わっても大きく変化しない。この内部遮蔽効果により、希土類錯体は発光ピークの半値幅が狭く非常に色純度の高い発光を示す。しかしながら、4f-4f遷移は Laporte 禁制であるため、希土類イオンの直接励起により十分な発光強度を得ることは困難である。このため、希土類錯体では配位子から希土類イオンへのエネルギー移動(アンテナ効果)がしばしば利用される。