有機EL素子の動作メカニズム
有機EL素子の動作メカニズム
半導体素子
有機EL
有機EL素子の一般的な構造は、陽極と陰極およびこれら両電極に挟まれた有機層からなる。有機層は、機能が異なる多層からなることが一般的である。たとえば、正孔を注入する層、正孔を輸送する層、発光する層、電子を輸送する層、電子を注入する層などである。有機EL素子の動作メカニズムは、有機EL素子を構成する有機層に対して陰極から電子が、陽極からホールが注入され、それぞれのキャリアが輸送されて発光分子で再結合して励起子を生成する。この励起子が基底状態に戻るときに光によりエネルギーを放出するというのがその概要である。これを有機分子の観点から見ると、ホール輸送はホール輸送層を構成する分子が酸化されてラジカルカチオンを形成し、このラジカルカチオンが分子間の電子授受で移動する過程、電子輸送は電子輸送層を構成する分子が還元されてラジカルアニオンを形成し、このラジカルアニオン状態が分子間の電子授受で移動する過程、発光はラジカルカチオンとラジカルアニオンが接近、再結合して電子・ホール対(励起子)を形成し、この励起子が基底状態に戻る(失活過程)ときにエネルギーを放出する(発光する)過程ということができる。