遅延蛍光(遅延発光)
遅延蛍光(遅延発光)
基礎化学・基礎物理
光物性・光化学
遅延発光ともいう。電荷分離状態のような準安定状態に一度エネルギーが保持され、その後電荷再結合により放出されるエネルギーが光として放出される現象をいう。有機ELでは、一重項状態(S1)と三重項状態(T1)の間での遷移は、本来禁制であるため、T1からの遷移は起こりにくく、T1状態での寿命は長い。このT1状態において、外部から熱を受け取ると、三重項状態のより高い振動準位にエネルギーが上がり、S1に遷移することが可能となる。このようにしてS1に遷移すると、その発光(蛍光)は、T1からスタートしたS1の発光であるため寿命が長く、遅延蛍光と呼ばれる。遅延蛍光を利用することで、内部量子効率が25%以上の蛍光発光型有機EL素子の実現が期待され、注目を集めている。