内部重原子効果
内部重原子効果
基礎化学・基礎物理
光物性・光化学
電子遷移の前後においてスピンの向き(角運動量)は保存される必要があり、反転することはできない。しかし、軌道角運動量の変化が伴えば、スピンの向きを変えることができる。この時、スピンと軌道が相互作用するため、スピン-軌道相互作用という。また、原子が重くなるほどその軌道角運動量は大きくなり、スピン軌道相互作用も大きくなるため、スピン反転しやすくなる。これを重原子効果と呼ぶ。有機分子の光吸収や発光といった過程は、一重項の基底状態と励起状態との間の遷移によるものであり、一重項 - 三重項間の遷移はスピン禁制のため通常は起こりにくい。しかし、臭素やヨウ素などの高周期典型元素で置換された分子や、重金属錯体においては、これらの重原子に起因した強いスピン-軌道相互作用によって一重項 - 三重項間の遷移が起こりやすくなる。これを内部重原子効果と呼び、項間交差による蛍光消光やりん光増強の原因となる。
Contact us
Contact us for R & D and
property testing