電子遷移
電子遷移
基礎化学・基礎物理
光物性・光化学
分子電子遷移は、分子中の電子があるエネルギー準位からより高いエネルギー準位へ励起した時に起こる。この遷移に関連するエネルギー変化は、分子の構造に関する情報から与えられ、色といった多くの分子の性質を決定する。有機化合物およびその他の一部の化合物における電子遷移は紫外・可視分光法によって決定することができる。この分光法からは、化合物に存在する電磁スペクトルの紫外あるいは可視領域における遷移が得られる。σ結合のHOMOを占有する電子はσ結合のLUMOに励起することができ、σ → σ*遷移と表わされる。同様に、π結合性軌道から反結合性π*軌道への電子遷移はπ → π*遷移と表わされる。nで示される自由電子対を持つ助色団は、芳香族性π結合遷移と同じように独自の遷移を持つ。こういった検出可能な電子遷移を経ることができる分子の部分は、遷移が電磁放射(光)を吸収し、これが電磁スペクトルのどこかで色として知覚されうるため、発色団と呼ばれる。次の分子電子遷移が存在する。σ → σ*、π → π*、n → σ*、n → π*、芳香族性π → 芳香族性π*。